丹波市の中心を市役所がある氷上町成松と考えると、そこは周囲を丹波の山々に囲まれており、北東に五台山、南東に向山、西に白山と名峰を眺めることが出来る。ただそれらの山よりも間近にあって目立っているのは霧山ではなかろうかと思えた。標高は400mに満たないものの端正な富士型をしており、一度は登ってみたいと思える山だった。ただ小さな山だけに霧山だけを目指すのはどうかと思えて、登る機会を逃していた。その桐山をようやく登ることにしたのは2018年3月の最終日曜日のこと。この日は午前に白山を登っており、午後の山として向かったものである。好天が続いていたため、この日の視界はまさに春霞で、どの山並みも薄ぼんやりとしか見えなかった。白山の下山を終えたのは11時半過ぎだったが、パートナーの要望もあって産直市場に立ち寄ってから市辺集落に入った。登山口は二宮神社にあるはずだったので、駐車地点はそこより少し南東に位置する集落の墓地とした。その前は市辺公民館だったので、そちらに止めても良さそうだった。まずは集落内の細い車道を北西へと歩いた。浄現寺の前を通り過ぎると二宮神社への参道が右手に現れた。二宮神社に近づくと、古びた登山口標識を見たので、神社のそばの小径に入った。その先で神社の裏手を通ったので、神社の境内を抜けてきても登山道に入れるようだった。神社を離れると山裾に作られた猪垣(害獣避けフェンス)が現れて、その扉を抜けて先へと進んだ。意外なことにその辺りは道がはっきりしておらず、どこでも歩けてしまえそうだった。地図を見ると尾根を辿るのが正解と思えたので、右手に見える尾根へと近づいて尾根筋に出た。尾根歩きに移るとやはり正しかったようで、尾根上に赤テープを点々と見るようになった。ただ尾根道ははっきりしておらず、歩き易い所を探りながらのためマイナー感があることは否めなかった。それでも尾根筋ははっきりしていたので、尾根を外すことは無かった。周囲は雑木が主体で、その木々の隙間からときおり麓の風景が覗いていた。登るうちに尾根上に岩が目立つようになり、一際大きな岩を巻いたところ、その岩の上が絶好の展望台になっていた。正面には白山と弘浪山、その左手には高見城山の尾根が眺められた。ただ春霞の視界とあって風景は薄ぼんやりとしていた。その展望岩を過ぎて尾根登りを続けると、特に急坂も無いまま山頂到着となった。山頂には二等三角点(点名・氷上)があり、山名標識も立っていた。その三角点回りこそ開けていたが、周囲は植林が囲んでおり展望は無かった。木々に囲まれているとあって陽射しも無かったので、少し南に移動して陽の当たる所で休憩とした。そこからは少しだが展望があり、尾根続きの権現山の辺りが見えていた。どうも霧山山頂は印象としてはマイナー感があることは否めなかった。近くには幹線が通っていることでもあり、登山道を整備して山頂展望を良くすれば気軽にハイキングが楽しめるのにと思いながら暫しの休憩をとった。20分ほど休むと、下山はすんなりと往路を戻った。登っているときは尾根道がはっきりしないと思っていたが、下山となると意外に尾根道が分かって、スムーズな下りだった。ずっと尾根を辿って行くと、最後は自然と右手に下りてゲートのそばへと近づいた。そして二宮神社を通って市辺集落へと入って行った。
(2018/4記)(2018/8写真改定) |