TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨 
 
利神山    りかんざん 373.0m 佐用町
 
1/2.5万地図 : 佐用・土万
 
【2012年11月】 No.4 2012-102(TAJI&HM)
 
    道の駅「宿場町ひらふく」より  2012 / 11

 利神山は山頂に利神城跡が残っており、そこからの展望は悪くないため何度か訪れているが、いつも平福から始まる登山道をピストンしていた。その利神山を周回で、しかも簡単に歩けるルートはないものかと地形図の「佐用」を眺めると、南尾根が緩やかに伸びているのが目に付いた。しかも途中まで林道が付いている。登山道が無くとも、その尾根なら無理なく山頂まで歩けそうだった。そして下山路として平福コースを下れば周回になる。これで周回コースが決まったが、どうも利神山だけでは物足りなさ層なので、別の山との組み合わせで実行することにした。
 向かったのは2012年11月のことで、ちょっと膝を痛めて、きつい登山は出来ないときだった。足の状態を探るため、まずは散歩のようなハイキングとして大撫山を訪れた。軽い歩き方なら足は大丈夫とみたので、そこで午後は利神山で過ごそうと向かったものである。空は雲が多いながらも、青空の広がるときもある天気の日だった。車は平福の南にある矢倉橋のたもとに止めた。矢倉橋を渡って東側に出ると、南の方向へと歩いて行った。利神小学校を過ぎて殿町集落へと入った。そして地形図を見ながら林道の起点へと近づいた。林道はすぐに分かり、集落を過ぎるとゲートが現れたが、開いていた。その先は落ち葉が積もっており、林道はあまり利用されていないようだった。また周囲の様子や立て札から、一帯は別荘地として開発されたものの、ほとんど利用されずに放置されてしまっているようだった。ところで集落を離れてから、なぜか一匹の黒猫が後をつけてきていた。オスの黒猫で、ときに足に摺り付いてきた。毛艶が良いことから、どうも飼い猫のようだった。この辺りを歩く人が珍しいのか、追ってきているようだった。林道の終点が近づくと一軒の別荘を見たが、すっかり朽ちていた。バブル期に建てられたのかも知れない。黒猫は依然として離れようとはせず、とうとう林道の終点まで付いてきた。林道が終わってからも尾根にはコンクリートの小径が付いていたので、それを歩いた。その小径はすぐに終わり、その先はヤブだった。どうも開墾地が放置されてのヤブのようだった。少し歩いてみたが、けっこうヤブがきつかった。そこで左手の林に逃げて、林の中を歩いた。黒猫はもう居ないだろうと思っていたのだが、パートナーのそばを相変わらず付いていた。林を進んで、300mほどのピークに立つ。そこからは尾根なりに登った。尾根の切り開き道が現れて、これは楽になったと思ったのだが、長くは続かず雑木のちょっとしたヤブに突っ込んだ。小枝を手で払い除けながら進むことになったが、厳しいと言うほどでも無かった。それと地形図の通りに終始緩やかなのは助かった。尾根なりに進んでいると、尾根が削られたようになっている所に出た。そこを越すと、また同じような地形が現れた。どうやら城跡に入ったようで、そこは堀切になっているようだった。木立を通して山頂の石垣が間近に見えていた。相変わらず黒猫は付いて来る。林を抜けると石垣が現れて、本格的に城跡に入った。石垣は傷みがひどくなっており、今にも崩れそうな所もあったので、慎重にそばを通った。平福コースが合流して、そこより一登りした所が山頂の本丸跡だった。黒猫君はとうとう山頂まで一緒だった。前回は桜の季節に来たのだが、今回は11月とあって、山頂の桜は葉を赤く色づかせていた。また周囲の雑木も紅葉が進んでいた。この日良かったのは視界が澄んでいたことで、播州北部の山並みがくっきりと眺められた。そして近くの尾根が紅葉に彩られた姿を見せていた。少し冷たい風が吹く山頂だったが、暫し山頂展望を楽しんで過ごした。そして下山は予定通り平福コースを下ることにした。ここで気になったのは、登山標識に関するものが全く無いことだった。、以前は付いていたように思えたので、少し訝しかった。下山でも黒猫君は付いてきた。この下山路にはカエデの木が多くあり、ちょうど紅葉の見頃とあって見事な赤さだった。そのカエデの広がる辺りは傾斜がきつく、尾根筋がはっきりしなかったが、そこを過ぎると尾根ははっきりして、もう尾根の小径を辿るだけだった。緩やかに南西方向へ下って佐用川が近づくと、北側の斜面へと入った。ところで黒猫君だったが、尾根の下りを続けているときは付いてきていたのだが、平福の町へと尾根筋をこちらが離れたとき、一声大きく「ニャー」と鳴くと、反対側の斜面へと入って行った。ちゃんと帰るコースを知っていたようで、この日は黒猫君なりに楽しく過ごせたようだった。麓に下り着くと、智頭急行の下を潜って線路の西側に出た。後は南へと歩いて、駐車地点へと戻って行った。
(2012/12記)(2021/2改訂) 
<登山日> 2012年11月10日 12:35矢倉橋スタート/12:54林道ゲート/13:11林道終点/13:22[300m]ピーク/13:56〜14:25山頂/14:54平福コース登山口/15:02エンド。
(天気) 雲の多い晴れ。陽射しは現れたり消えたりだったが、山頂では比較的良く陽射しを受けた。山頂の気温は16℃ほどで、空気に爽やかさがあった。その山頂では少し冷たさのある風を受けたが、強くは無かった。視界は良く澄んでいた。山頂で佇むうちに西の空から薄雲が広がってきた。下山を終える頃は、ほぼ曇り空に変わっていた。
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この矢倉橋のそばから歩き始めた 橋を渡ると南へと歩いて行った JR智頭線の下を潜った
利神小学校のそばを通って行く 殿町集落を抜けて行く 地図を見ながら林道に通じる車道に入った
林道の入口にはゲートがあったが、開いていた 一匹の黒猫が途中から現れて一緒に林道を歩き出した 周囲は樹林が広がる風景となった
「売土地」の標識を見た 一帯は別荘地として開発さ
れたようだが計画は頓挫したと思われた
なぜか、この黒猫君がずっと付いてくるのだった 毛
艶が良いので飼い猫と思われた
林道の終点手前で一軒の別荘を見た 但し廃屋になっ
ていた
林道の終点に着く ゲートの位置から17分だった 林道終点からは南西方向に大撫山が見えていた 林道終点からは、尾根上に歩道が付いていた
歩道は長くは続かずその先はヤブ地だった 別荘地と
して開拓した後に放置した結果のようだった
展望も現れたが、ヤブ地だけに進むのに難儀した ヤブ地を歩く意味がないので、そばの樹林に入ったと
ころ、ずっと歩き易かった
小さなピークに着いた 地図を見ると300m程の標
高だった すっかり樹林に囲まれていた
300mピークを越すと、ぐんと歩き易くなった 相
変わらず黒猫君は付いてくる
ずっと歩き易いことを期待したのだが、途中から灌木
の小枝を押しのけながら歩くことになった
堀切のような所を登る 黒猫君も登っている もう一つ急斜面を登ることになった 城跡に入ったようで、崩れた石垣を見る
木立の隙間から山頂の本丸跡が見えていた 平坦地となったが、少しササヤブになっていた 二の丸跡に近づいた
石垣に沿って歩いた 二の丸跡に出て、山頂の本丸跡を見上げた
山頂に着いた そこは本丸跡としての落ち着きある雰囲気が漂っていた 山頂の四等三角点(点名・利神山)を見る

山頂に立って南か
ら南西にかけてを
望む
佐用の市街地の背後に船岩を見る 八塔寺山を大きく見る 山頂に立って改めて大撫山を眺めた
北西に那岐山、北に後山、北東に黒尾山を見る
那岐連山を大きく見る 袴ヶ仙の方向を大きく見る

後山の尾根を大き
く見る
駒の尾山の左手を見ると、沖ノ山が山頂を覗かせていた 植松山の方向を大きく見る 手前の行者山が紅葉していた

東に黒尾山と水剣
山を見る
駒の尾山を大きく見る 植松山を大きく見る 黒尾山を大きく見る
山頂の桜が紅葉していた 尾根の紅葉を眺めた 山頂から平福の家並みを眺めた
下山は平福コースへ 黒猫君も一緒だった 山頂(本丸跡)を振り返った 少し下った所で、見事に色付いたカエデを見た
一帯は紅葉の見頃だった 紅葉を見上げた 一部でコースがはっきりしていなかった
尾根を辿るようになった 黒猫君はまだ付いてくる 尾根から北の方向を見た 智頭急行が蛇行していた 途中にあったベンチで一休みとする
共同アンテナのそばを通った 紅葉したハナミズキを見る 尾根の東屋は今にも崩れそうだった
尾根を離れたとき、佐用川そばの土蔵風景を見た 尾根の北側の斜面を下った このときは黒猫君とはお
別れしていた
智頭急行の線路そばに下りてきた
線路に沿って北へと歩いた 智頭急行の下を潜った 線路の西側に出ると、南へと駐車地点を目指した
   
殿町トンネルから特急列車が出てきた 殿町トンネルのそばを通り過ぎれば駐車地点は近かった 駐車地点に着いたときは、すっかり曇り空になっていた