この大倉山には前回は2006年7月に登っていたが、このときカメラのレンズフードを落としていた。その落とした位置がどうも山頂手前にあった風倒木地のように思われ、それが心の片隅に引っかかっていた。そこで半年後の2007年1月始め、5日の午後にそのレンズフードが見つかるかも知れないとの期待で再訪した。ごく簡単に登ろうと、前回の下山で見つけたコースを登って行くことにした。それは大倉山の北にある谷からで、西麓にある中小企業大学校の北に広がる農地の一本道を行き詰めた位置から始まるコースだった。農道を車が入れる所まで進めると、山道に変わる手前に駐車スペースがあったので、そこに駐車とした。いざ歩き出そうとすると、前回に下り着いた位置がうろ覚えだったため、取り付き地点がつかめず、そこで山道なりに歩を進めることにした。案の定、山道はすぐに怪しくなってきたため、右手の山肌に取り付いた。やや急斜面だったが、下生えは少なく適当に登って行くと、すぐに尾根に出た。そこには尾根道が見えており、その小径を前回は下ったようだった。もう小径を登って行くだけだった。程なく送電塔に着くと、そこから道はいっそうはっきりして、ハイキング道と呼べるほどになって来た。歩き易いままに進むと山頂が見えてきて主尾根に出た。そして程なく山頂手前の風倒木地に辿り着いた。まずはそこを過ぎて山頂に立つことにした。山頂は午後の光に軟らかく照らされており、物憂い雰囲気が漂っていた。その山頂で一休みを終えると、伐採地に戻っていよいよレンズフード探しだったが、風倒木地は一部が伐採されており展望がすっきりと広がっていた。そうなると先に展望を楽しむことにした。薄モヤがかった視界ながらも前回よりは良く見えており、左手に明神山、正面に薬師峰、そして北東遠くに笠形山が眺められて、この大倉山で一番の眺めではと思えた。その展望を眺めていると、気分はすっかり登山モードで、レンズフード探しの気持ちは萎んでしまった。何よりも探す場所が広過ぎるので、もう探す気持ちは消えており心にあった引っかかりも霧消していた。そして登山を終えた気持ちになって下山に向かった。当然往路を辿っての下山だったが、送電塔から小径のままに下って行くと、下り着いた所は駐車地点とは2,3メートルと離れていない草陰だった。
(2007/2記)(2014/1改訂)(2020/2写真改訂) |