暑い日の登山は滝巡りが面白いのではと考えて、7月の第2土曜日は兵庫北部の山を予定していた。ところが前日で終えて帰ってくる予定だった出張が長引いて、その日は現地泊まりとなってしまった。結局、帰宅したのは土曜日の午後1時過ぎだった。せっかくの晴れの日なのに半日を棒に振ったことになった。ただその時間からでもパートナーは近くの山でも登りたいと言う。外は30℃を越える暑さだった。そこで木陰の多い山なら過ごし易かろうと考えて、軽い散歩のような登山をしようと鶏籠山に向かうことにした。前の週に的場山に登っていたので、二週連続のたつの市の山だった。車は公民館の駐車場に止めた。鶏籠山の後で図書館に立ち寄る考えがあってのことだった。静かな城下町を歩き出すと、やはり午後の日盛りで、気温は33℃まで上がっていた。紅葉坂が近づくと左手に龍野神社への石段が現れるが、そこが木陰道になっていた。それを見て石段の途中にある聚遠亭に立ち寄りたくなった。この日は暑いながらも湿度は高くないようで、木陰を登り出すとすっと涼しさを感じた。気温も27℃まで下がってきた。けっこう良い感じで登れることに気を良くして、聚遠亭に立ち寄ることよりも石段登りを続けることにした。龍野神社が近づくと、その手前より龍野神社を迂回する形で野見宿禰の墓への石段が始まっているが、今度はそちらに入った。そして野見宿禰の墓を守る石の扉の前に立った。そこは標高では150mの位置だった。ここまでは参道だったが、その先も登山道として尾根道がずっとあって、的場山まで続いている。その尾根道も午後とあって木陰道になっていた。そうなると当初の鶏籠山だけの散歩登山の考えは消えて、少ししっかり登りたいと考えが変わってきた。それはこのまま的場山の野見宿祢コースで的場山山頂に立ち、両見坂コースで下山する。両見坂からは、漸く当初の予定だった鶏籠山登山道に入る考えだった。尾根道は急坂で始まったが、尾根は木陰になっているだけで無く涼しい風もあって、先ほどの石段よりも更に気分良く登って行けた。ただ急坂は暫く続いていたので、やはり汗はけっこうかくことになった。ときどき背後にたつの市街が眺められたが、この日はモヤの強い視界で、薄ぼんやりとした見え方だった。20分ほど登って漸く尾根は緩くなった。その先は一段と木陰道で、薄暗いと言えるほどだった。おかげで気温以上に涼しく感じられた。木立も先ほどまでよりも大きな木を見るようになった。その緩やかな道のままに前方に的場山無線中継所が現れて、その縁を歩くと、両見坂コースに合流した。そこより階段の道を少し登った所が的場山の山頂だった。突然の思い付きで二週連続の山頂となったが、先週とは大違いの視界だった。山頂から見る南の風景は一段とモヤの強いもので、瀬戸の海はモヤの中に溶け込んでいた。そのため山頂では5分の休憩だけで切り上げた。そして予定通り、両見坂コースを下って行く。二週続けてのことなので登山道のイメージは頭の中で出来ており、何となく前週の確認をしながら下っている感じだった。その途中の展望地でのことだが、そこから揖保川流域の眺めが良いことは分かっていたが、少し南よりに立つと、的場山の山頂が見上げるようにして眺められた。この両見坂コースも展望地から先は急坂が続いた。両見坂峠に立ったのは16時の10分前。すぐに鶏籠山への登山道に入った。的場山の道はすっかり山道の雰囲気だったが、こちらは遊歩道の延長のような感じで、しかも緩やかとあって、散歩登山だった。自然林(鶏籠山国有林)の中を小鳥のさえずりを聞きながら登って行く。遊歩道と言っても人工的なことは無く、自然なままの道なので、山に浸っている感じがして悪くなかった。ただ両見坂からでは標高差は100mも無く、両見坂から10分も登れば山頂だった。城跡の雰囲気ある山頂で暫く憩いたかったが、あまり風が通っておらず、ここに来て少し蒸す感じもあった。おなじみの雰囲気を感じた後はすぐに下山にかかった。下山は龍野城の方向へと、二の丸を通って南へと下って行く。その龍野城へのコースは尾根を歩くのでは無く、作られた経路を歩くもので、矢印が無いと少し分かりづらい所があった。それでも道らしき所を歩くようにすれば、まずはコースを外れることは無かった。最後に紅葉坂に向かう道と龍野城に向かう道に分かれたが、そこは龍野城への道をとる。最後に城門のそばに出て、その門をくぐると、城の石垣沿いを歩くようになった。そして城下町へと入って行った。簡単に鶏籠山だけのつもりが的場山から鶏籠山へと周回で歩くことになったが、暑い盛りのハイキングとしてはまずまず涼しく歩けて、いい雰囲気で終始出来たのは良かった。
(2010/8記)(2021/1改訂) |