国道29号線を姫路から北上してくると、姫路市林田町の中心に近づいたころに北西方向に小ぶりな山が見えてくる。それが北山で、初めて訪れたのは1999年4月初旬のことだった。車は林田町に入って、ヤエガキ酒造の裏、林田川の土手道に駐車とした。林田川河畔の桜がちょうど満開になっており、カラシナの黄色い花との組み合わせが美しかった。土手道から農道へと暫く歩いてから国道29号線を横切った。そして林田町と新宮町を結ぶ峠道へと入った。始めは車も通れる道幅だったが、次第に荒れてきて、徒歩のみ可能な道となった。所々で笹が繁っていた。次第に両側は植林地に変わってくると、その間伐による倒木が道を塞ぐことがあった。峠一帯も植林地となっていた。峠からは北に向かって尾根筋を登って行った。尾根道は無かったが、植林の中を縫うようにして登った。始めは緩やかだったが、次第に傾斜が増してきた。尾根の西斜面は植林地で、東斜面は笹ヤブとなっていた。途中で丈の低い笹原が現れたので、そこに立ち寄ってみた。一帯の傾斜は緩やかで、東から南にかけて広々と展望が現れていた。澄んだ空の下、近くには伊勢山から書写山、峰相山が眺められ、遠くは六甲山、淡路島、家島諸島がくっきりと見えていた。そこから上はまた笹の丈が高くなって、それをかき分けて登って行った。山頂が近づくと一段と傾斜はきつくなったが、笹は疎らになってきた。山頂手前の350mピークに着くと、そこは雑木に囲まれており、展望は今一つだった。ただ満開のツツジが鮮やかだった。そこから山頂まではもう僅かな距離だった。少し下って登り返して行くと、笹が刈らた所が現れて、そこはまずまず展望があった。程なく山頂に着いた。そこも雑木に囲まれてはいたが、先ほどのピークよりは展望があった。西は枝越しだったが、金輪山に新龍アルプスの尾根が眺められ、北から東にかけては黒尾山に雪彦の尾根が見えていた。また明神山が山頂部のみを覗かせていた。休憩は少し戻って、笹ヤブが刈り払われて東の展望のきく傾斜地でとった。その昼食後、ちらほら見えていたワラビを少々摘んだ。下山は同じコースを引き返した。麓に着くと、本当に春爛漫の暖かさだった。
(2002/6記)(2012/6改訂)(2022/1写真改訂) |