日光寺山は深山とセットで南面側から登られることが多いように思われるが、地図を見ると北面側にも幾つか破線の道が描かれていたので、一度北面側からも登ってみようと考えていた。向かったのは2016年8月下旬のこと。連日暑い日が続いていたが、この日は雲の広がる空で、暑さは和らいでいた。往路として選んだコースは西尾根にある322mピークに直登するコースで、地図を見ると保喜集落の一角から破線の道が描かれていた。ナビを登山口辺りにセットして近づくと、保喜集落を抜けて斜面を登るようになり、墓地の前に出た。駐車スペースがそばにあったので、そこに駐車とした。いざ地図に示された破線路を辿ろうとしたところ、なぜか辺りに小径が見えなかった。山裾は害獣除けフェンスで仕切られていたので、そのフェンス沿いを歩いてみると、一カ所通り抜けられるようになっていた。その先に目印テープが見えたので、それを辿って行くことにした。単に歩き易そうな所を登るだけだったが、テープを追ううちに尾根を登るようになった。多少ヤブっぽい程度で登って行けたが、途中でそれは破線のコースでは無いことに気付いた。地図の破線は尾根に付いているのだが、その尾根は現在歩いている尾根の一つ東寄りの尾根のようだった。それも標高230m辺りまで登って送電塔に出会った位置で、破線の道と合流することになった。後は尾根の小径を登ることになったものの、倒木が行く手を塞いでいたり灌木に煩わされたりと、歩き易くなったとも言えなかった。それも登るうちに次第に歩き易くなり、ゲートの位置から40分ほどで主尾根に出た。そこは322mピークだったが、山名標識が立っておりカラタチ山の名が付いていた。また三等三角点(点名・北浦谷)を見た。ピークは樹林に囲まれていたため展望は無かったが、涼しい風があって暫し休憩とした。休憩後は主尾根を東へと歩いて日光寺山を目指した。概ね歩き易いと言えたが、倒木があったりして歩き難い所も現れた。日光寺山との間には小さなピークが幾つかあったので、上りだけでなく下りもあったが尾根の傾斜は緩やかだった。常に樹林に囲まれていたので展望に関しては悪いと言えたが、ときおり木々の隙間から日光寺山の姿が望めた。その尾根に突然難所が現れた。そこは尾根がキレットになっており、ロープを掴んで急斜面を下った。そして登り返した。再び易しい尾根歩きになったとき、ぽつんと言った感じで大きな岩が現れた。その岩には「田原の雨乞い岩(仮称)」の名が付いていた。320mピークに着くと、そこからは北の方向に登山道が分岐していた。そして歩く方向が北東から南東に変わった。相変わらず緩やかな登りだったが、日光寺山が近づくと少し傾斜が増して上り坂が続いた。そしてカラタチ山から70分で山頂到着となった。最高点には電波塔が建っており、その傍らで休憩とした。近くには四等三角点(点名・日光寺)を見るも、周囲は樹林になっており、展望は無かった。それでも山頂ではそれまでよりも強い風を受けることになり、その夏とは思えぬ涼しさで快適に過ごせた。昼食を済ませると、少しは展望を得ようと辺りを探ることにした。電波塔の管理のため山頂まで車道が通じており、その車道を歩いて行くと北側に少し展望が現れて笠形山が覗いていた。その先にも電波塔や無線塔が建っており、そちらも木々に囲まれていたものの、無線塔の傍らからは南の方向が少し望めた。展望を楽しんだ後は再び風の涼しさを楽しみ、そして下山に移った。下山は往路コースを320mピークまで引き返して、そこからは北に向かうコースに入った。始めに少し分かり難い所があったが、下るうちに尾根を辿るようになると後は楽だった。その尾根でも送電塔に出会い、そこからは北西の方向に展望を得た。相変わらず曇り空ながら視界は良かったので、七種山塊がくっきりと見えていた。後は尾根歩きを続けた。緩やかな尾根で終始易しく歩けた。このコースも地図の破線路とは違っており、破線路よりも一つ東の尾根を下っていた。但し道ははっきりしており、こちらが正しいのではと思えた。下り着いた所は日光池のそばだった。池は易しげな佇まいを見せており、その畔に立っているとどこかの避暑地に来ているような錯覚を覚えた。後は池の北を走る車道に出て、そこより駐車地点の方向へと歩いた。そのまま素直に車道歩きを続けておれば良かったのだが、山裾に小径があるように思えて、途中から山裾に向かった。てっきり小径ぐらいあると思ってのことだったが、山裾は用水路が通っており、そのそばを小径とも言えない怪しげな道が続いていた。引き返さずにその道を歩いたのだが、それは失敗だったようで、途中からヤブ道になってしまった。それでもムリヤリ進むと、ぬかるみに入ったり害獣除けフェンスに阻まれたりして、けっこう苦労することになった。それでも何とか駐車地点に戻って来られた。
(2016/9記)(2020/6改訂) |