(4月21日) 高砂峰は「兵庫丹波の山・上巻」に載っており、その山中に百万岩があって好展望地であることが記されていた。高砂峰は小さな山なので、紀行文では更に北へと榎峠まで歩いていた。その百万岩に興味を持って高砂峰を訪れることにしたのだが、こちらも高砂峰から更に点名・榎峠を越して榎峠まで歩くことにした。向かったのは2023年4月の第三金曜日のこと。この日は午後から晴れの予想だったが、10時過ぎの青垣町の空は薄晴れだった。高砂峰は端正な姿ですぐに分かった。南麓に着くと鳥居が現れて、そのそばに駐車スペースを見た。鳥居はすぐ近くに建つ神楽神社のものだった。そこからは谷筋を目指して山裾道を東から北へと歩いて回り込んだ。前方に高砂峰が見えてくると、その手前に地図に描かれていない砂防ダムを見た。ちょうど近くで草刈りをしている人がいたので、高砂峰について聞いてみた。もう山に入る人はいないので、道は消えているのではと言われた。但し百万岩までなら有るかも知れないとのこと。その百万岩は前方に見える高砂峰の中腹辺りで白い岩として見えていた。登山道が無いのなら適当に登るだけだと決めて、高砂峰へと向かった。害獣避けゲートがあったが、扉は開いていた。前方に見える砂防ダムは、右岸側に階段が付いているのが見えた。ただ山頂へは左岸側となる南尾根が近道となるので、砂防ダムは左岸側を登った。その砂防ダムの堤上に出ると、そこからは右手の急斜面に取り付いた。滑らないようにと木に掴まりながら登って南尾根を目指した。南尾根に出ても尾根は急坂だった。まだまだあえぎながらの登りを続けることになった。南尾根は植林地が多いものの自然林もあり、そこは新緑となっていた。その急尾根を休まず登って山頂が近づくと、尾根は漸く緩やかになってきた。そのとき百万岩に出会っていないことに気付いた。どうやら百万岩は南尾根から少し離れた所にあるようだった。まずは山頂に先着することにした。ずっと展望の無い尾根登りだったが、程なく着いた山頂も樹林が取り囲んでおり展望は皆無だった。三角点が無いだけでなく山名標識も無く、単なる一ピークと言った感じの山頂だった。そのまま榎峠を目指すと、高砂峰の印象は薄いものになってしまうので、百万岩には立ちたいと思った。そこで榎峠に向かうのは止めにして、別の尾根で下山することにした。そこで往路の尾根とは一つ西隣となる尾根を下って、その尾根で百万岩に近づくことにした。その南南西尾根の方が緩やかな上に木々は空いており、歩き易かった。ただ百万岩はその尾根上でも無く、下っていると右手の木々の隙間から百万岩を見た。どうも往路の尾根に近い位置のようだった。そのため一度谷筋の方向へと下って登り返すことになった。それでも小さな山なので、さほどの苦労も無く百万岩に近づいた。そして希望通りに百万岩の上に立ったのだが、天気が激変していた。山頂に立ったときも陽射しを受けていたので、薄曇りに変わってきた空は一時的なことと思っていたのだが、百万岩から見る風景はどんよりと曇り空だった。しかも雲は低く、尾根を隠すまでになっていた。展望としては素晴らしく、東から南、西へと遮るものも無かっただけに少々残念だった。暫く天気の回復を待ってみたものの、回復の兆しは無くたまに尾根の雲が薄れるだけだった。そこで下山の続きに戻ることにした。始めに谷筋を歩いて砂防ダムへと近づいた。そのとき右岸側の尾根で下山することを思い付いた。その尾根端が駐車地点だった。砂防ダムのそばから尾根に上がると、後は尾根を下って行くだけだったが、その尾根には小さなピークが二つあり、それを越しての下山だった。山裾が近づくと神楽神社が現れて、すぐ近くに駐車している車が見えていた。上空は相変わらず暗い空のままだった。
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(4月22日) 高砂峰に登った翌日は高砂峰に近い兵庫京都県境の山、湯舟山を登ったのだが、前日とは大違いの天気で朝から快晴だった。その湯舟山の登山を終えたときは、まだ12時40分だった。快晴は続いており、その空を見て近いことでもあり高砂峰の百万岩を再訪することを思い付いた。この日は砂防ダムが見える害獣避けゲートの近くまで車を進めて、ゲートの手前からスタートした。目的は百万岩だけとして、往路は砂防ダムを階段が付く右岸側から登った。後は沢筋を歩き、百万岩が近づいて右手の斜面に取り付いた。そしてゲートの位置から30分で百万岩に到着した。快晴の上に視界も悪くなく、存分に展望を楽しめることになった。そして下山は往路を戻るも砂防ダムは左岸側を巻いて麓へと下りて行った、前日のモヤモヤはすっかり消えていた。18
(2023/5記) |