千丈寺湖の東岸に位置する菩提山は山頂のそばに花山院菩提寺が建っており、車道がそこまで通じているので、車で上がってしまえば山頂との標高差は20メートルでしかなかった。そこで菩提山をハイキングとして楽しむのであれば、車道とは別にある地図の破線路を辿るのが正しいと思えたが、菩提山を登ろうと考えたのは2023年8月に入ってのことで、猛暑日が続いているときだった。そうなると車道を麓から登る一択だった。
菩提山に向かったのは8月5日の土曜日のこと。その日も朝から快晴だった。菩提山へと通じる車道の入口に着くと、そこに駐車場があったが、それは道路を挟んで建つ蕎麦屋のものだった。そこで付近を探ったのだが、適当な駐車場所は見当たらなかった。それなら花山院へと通じる車道のどこかに止めようと車道に入ってみたところ、小さなお宮の先で駐車出来そうなスペースを見た。そこにあった丁石は「二丁」だった。駐車禁止の標識が無いことに甘えて、遠慮しながらもそこに駐車とした。歩き出して現れたのは車道のゲートで、9時から16時半までが開門時間だった。また花山院の駐車場は参道護持費として500円の寄付を求めていた。まずは車道歩きを進めるが、その舗装路はけっこう急坂だった。気温は33℃を越えており、すぐに大汗となった。出来るだけ木陰を拾いながら歩いた。その車道のそばの谷筋は大規模な堰堤工事が行われていたが、完全二日制の工事とあり、この日はひっそりとしていた。丁石は三丁、四丁と見たのだが、次に気付いたときは七丁になっていた。そして花山院の山門に着くと、そこの丁石は八丁だった。花山寺は人の訪れの多い寺のようで、第一駐車場にも第二駐車場にもそれなりの車を見た。まずは大汗をかいての到着だった。すぐに本堂、薬師堂が現れて、その前を通り過ぎてから斜面に取り付いた。取り付いた位置が良かったのか、すぐに小径を追えるようになった。その小径のそばには点々と石仏が置かれており、以前は遍路道があったのではと思われた。それも山頂が近づくと石仏は見なくなり、単なる山道を歩いている雰囲気となった。その雰囲気のまま山頂に着いた。そこに四等三角点(点名・花山院)を見たものの、一帯は雑木林でヤブっぽさも感じられた。単なるピークハントをした感じでもあり、すぐに引き返した。花山院の境内に戻ると本堂の前のベンチで一休みとした。その後は寺務所へと歩いてみると、寺務所の前が有馬富士展望台の名が付く展望地になっていた。展望の得られぬまま菩提山ハイキングを終えると思っていたので、これはご褒美をもらった気分になれた。なるほど前方に有馬富士が見えており、その背後は丹生山系まで遮るものも無く眺められた。南西遠くには高御位山も望めた。その展望を得られたことで山頂の物足りなさは帳消しとなり、満足の思いで下山に向かった。下山は再び車道歩きだった。昼を回って暑さは増しており、すぐに大汗となってしまった。下るとあって足は軽いのだが、下り坂を見て改めてこの菩提山の車道が急坂であることを実感した。冬期に路面が凍るようなことがあれば、車の通行は厳しいのではとさえ思った。それにしても暑い下り坂だった。
(2023/8記) |