三草山の登山コースとして一般的なのは三草コース、鹿野コース、畑コースの三コースだが、鹿野コースはまだ歩いていなかった。ただ正確には初めて三草山を登った1996年のときは、下山コースとして鹿野コースの3分の2ほどは歩いていた。その鹿野コースを登山口から登ろうと向かったのは2021年4月初めのことだった。この日は兵庫県全域で快晴となっており、加東市の上空には雲の欠片も見られなかった。国道372号線から県道144号線に入ると、県道沿いの桜並木が満開だった。下久米地区まで来たとき登山口方向を示す標識が現れたので、それに従うとすんなり鹿野コースの登山口に着いた。そこに着いて驚いたのは鹿野コースは2年先まで工事のため登山禁止になっていたことだった。禁止と言っても工事箇所を迂回すれば良いのではと思ったが、その注意書きを見て鹿野コースを登る気持ちが失せてしまった。そこで他コースで登ることにした。三草コースは前回に登っていたので、畑コースを登ることにした。19年ぶりだった。ただ畑コースは簡単過ぎるきらいがあるのは難点だった。とにかく畑コース登山口へと急きょの移動となった。その畑コースも畑集落まで来ると案内標識が現れて、すんなりと到着口に着けることになった。その登山口に着いて目を惹いたのは口池を挟んで東に見える風景で、そちらは無量寿寺の敷地だったが、そこの桜並木が今が盛りとばかりに花を開かせていた。登山口そばには数台分の駐車スペースがあり、そこに車を止めると登山口へと入った。その畑コースは適度な上り坂で、丸太の階段道になっている所が多かった。その登山道とは別にごく近い位置にもう一本登山道があり、そちらは自然な感じの登山道だった。道幅は狭いものの幾分歩き易いように思えた。登るほどに道そばにシダが増えてきたが、道に被さることは無かった。15分ほど登ると左手から別の小径が合流して、登山道は緩やかになった。登山道の雰囲気は良く、まさにファミリー向けの易しいコースだった。その登る途中で東に展望が現れると、そこに見えたのは無量寿寺の全貌だった。そしてその背後でこんもりとした姿を見せていたのは清水寺がある御嶽山だった。山頂が近づいて鹿野コースが合流すると、そこから3分で山頂到着となった。登山口からは37分だった。平日とあって他に一人のハイカーを見るだけで、ごく静かな山頂だった。またこの日の視界は良く、ほぼ360度と言ってよき好展望を楽しめた。その山頂で早めの昼食を済ませるなど45分ほどの休憩をした後、すんなりと往路を戻って下山とした。登るのに易しい山だったので、下山はいっそうの優しさで32分で戻ってきた。下山を終えても疲れはあまり感じなかった。二年後には鹿野コースで再訪したいと思いながら帰路についた。
(2021/4記) |