国道179号線を西から走ってきて城山を過ぎると、高倉山の姿がいきなり大きな姿を見せる。その姿は端正で、いつ見ても良いものである。2012年6月に入っての最初の土曜日は、形の無い雲が空全体を覆っていた。それを見て近くの山で昼どきを過ごそうと考えた。それが家の片づけをしているうちに出そびれてしまい、昼を回ってしまった。そして13時を過ぎて出かけることにしたのだが、近場で数時間を楽しめる山でと考えたとき、思い付いたのが高倉山だった。高倉山の南東尾根なら、ごく短時間で登れそうだった。また麓との標高差は300m以上あるので、登山としてまずまず楽しめそうだった。
高倉山の麓にある栗栖神社に近づくと、車道に害獣避けのゲートが設けられていた。ゲートを開けて車を進めてもよかったが、ゲートの手前に車を止めて、そこから歩き出すことにした。ゲートを通って栗栖神社のそばを通る。左手に溜め池が現れて、それを横目に今少し進むと、道が二手に分かれた。1996年に初めて登ったときは、右手の道を進んで谷筋から登っていたのだが、この日は南東尾根上のコースを目指すべく、左手を進んだ。すぐに尾根の位置に着くと、そこから登山道が始まっていた。この後のハイキングの様子は下の写真帳で見ていただくのが分かり易いので、ここには詳しくは書かないが、ほぼ真っ直ぐな尾根をただ登って行くだけなので、コースとしては単純だった。ただ尾根を登り始めると、程なく傾斜がきつくなったが、その辺りの地表はもろくなっており、滑らないように注意が必要だった。中腹辺りはなだらかになり、植林地になった所を過ぎた先で、また急坂になった。木立に掴まりながら登ると、あまり緩くならないままに山頂に着いた。山頂はさほど広くもない範囲で平らになっており、そこに小さな祠がある風景は以前と変わらないと言えたが、祠がボロボロになっていることが変化とは言えた。また南に向かっての展望は、以前より少し広くなっているのではと思えた。ここまでの登山は風をほとんど受けなかったため、蒸し暑さを感じていたのだが、山頂は南から程良い涼しさの風が吹いていた。すぐに汗は引いて、暫し風の涼しさに身を任せた。視界はうっすらとして良くは無いので、風の快さもあって、少し横になって僅かの間だったが昼寝も楽しんだ。下山は登ってきた尾根コースを引き返すのみ。中腹から先の急斜面では、もろい足下に注意を払っていたのだが、一度滑ってしまった。このときはストックの必要性を感じて、あわててパートナーのストックを一本借りた。麓に下り着くと、溜め池のそばから高倉山を眺めたのだが、池では一匹の赤いコイが悠然と泳いでいた。
(2012/6記)(2019/1写真改訂) |