冬の兵庫北部の天気はどうしても荒れがちになるが、そのような日でも瀬戸内側の山は好天に恵まれて陽射しを甘受しての登山が出来るが、2003年3月初めのそのような天気の日に二度目の黒鉄山を目指した。今回はごく軽い登山として南の登山道をピストンする予定だった。自宅を離れるのが遅く、そこで山陽自動車道を走って向かったのだが、なぜか赤穂ICを通り越してしまった。そこで次の備前ICで下りることにしたが、そのとき考えたのが黒鉄山だけならちょっと軽すぎるのではと言うことだった。この日は南面の登山道を歩く予定だったので、どうみても1時間とかからず山頂に立てそうだった。そこで岡山側でも簡単な山を登ってからと考えて、この日の午前を過ごしたのは瀬戸内海の間近に立つ夕立受山だった。この200mを少し越える低山を2時間ばかり楽しんで、そして昼を回ってようやく黒鉄山へと向かった。
夕立受山を後にして国道250号線を赤穂市へと向かった。この頃になると上空の雪雲は勢いを増しており、上空は薄暗かった。赤穂市に入って新田地区で国道250号線を離れる。山陽自動車道、山陽新幹線の高架をくぐり、新幹線と平行する車道を走って行くと、すぐに登山口の標識が現れた。そのそばの駐車スペースに駐車とする。登山口と言ってもそこより登山道の起点まで、林道と呼べそうな地肌がむき出しの作業道を歩くことになる。この作業道は中ほどでロープが張られており、それより先に車は進入出来ないようになっていた。暫く作業道を登って行くと、古びた鳥居の前に出た。鳥居から先に小橋を越えて小径が見えたが、それとは別に山道が沢沿いを始まっていた。それが登山道のようで、ここが本当の登山口と言えそうだった。周囲は常緑樹を主体とした疎らな雑木林で、その中を少し荒れた感じで登山道が続いていた。小石が多く、また地面も滑り易くてけっこう登りにくかった。適度に赤テープが付いているので、それを追って行くうちにいつのまにか沢とは離れていた。小石が少なくなると今度は落ち葉が増えて来て、相変わらず滑り易かった。また登山道の雰囲気としてはちょっと風情に欠けているきらいがあった。やや急坂のまま上り坂は続いていたが、やがて尾根上に出るとほぼ平坦道となってぐんと歩き易くなった。周囲は常緑樹の樹林が取り囲んでいる。尾根上に出て少し西に歩いた所で、ふもとから良く見えていたマイクロウェーブ反射板の前に出た。そこは反射板がある割りには展望が無いので、すぐに山頂に向かった。そして数分で三角点の前に出た。辺りは低木が茂って雑然とした雰囲気だった。その少し南に以前と変わらず展望地点のあることを確認して、この日は西隣のピーク(420m)へと向かった。三角点までは細々と小径があってヤブコギをすることは無かったが、その先はちょっとヤブになっていた。灌木の小枝を避けながら踏み跡程度の道を下って行く。鞍部に着いて小径が現れたので、これで楽になると思いきやすぐにヤブっぽくなってしまった。歩き易い所を選んでいると、いつの間にか踏み跡も怪しくなってきた。そして段々とヤブはきつくなって、イバラも増えてきた。この420mピークはなだらかな上に三角点が無いのでどこが山頂とも決めかねるので、適当にピークと思える辺りへと歩いて行くしかなかった。もうここがピークと思える位置は依然として低木が茂って展望は無かった。そこで引き返すことにして、樹間の空いた所を選んで戻り始めると、ピークとさほど離れていない位置で広く露岩の現れた場所に出た。そこに立つとすっきりと瀬戸内海が眺められた。また南東には赤穂市街も見えている。その左には黒鉄山が続き、更にたつの市の大蔵山辺りも望めた。この露岩地で暫しこの展望を楽しんだ。この後は黒鉄山に戻るため、樹間の空いた所を探すと、踏み跡程度の道が鞍部まで続いていた。どうやら420mピークへの登りではこの小径を見逃していたようだった。黒鉄山に戻ると、山頂の南端にある展望地に立って改めて展望を楽しんだ。そこには何かを囲っている幅1メートル、長さ4メートル、高さ50センほどの鉄製ケースがあり、その上に立っての展望だった。前回もそこに立って展望を楽しんだが、そのときよりも少し雑木が育ったようで、手前の眺めが悪くなっていた。また展望としては先ほどの420mピークの方が少し良かったようで、さほど長くは居らずに下山とした。登りと同じコースを辿って下って行ったが、下りの方がいっそう滑り易く、登山道としてはそんなに楽しめないと思ってしまった。
(2003/3記)(2012/7改訂)(2019/11写真改訂) |