進美寺山と須留岐山の並ぶ姿を一番すっきりと眺められるのは八鹿町伊佐の伊佐橋からで、その姿に惹かれて登ったのは2004年2月のことだった。そのときは登山コースを知らなかったため、地図を眺めて日高町赤碕からの破線路で登ったのだが、その後「但馬ハイキング」が出版されて、そこに北麓側となる日高町日置からのコースが紹介されていた。そこで北側から一度登ってみたいと思ったものだった。それが何となく行きそびれて年月が経ってしまい、ようやく向かったのは前回から13年後となる2017年4月中旬のことだった。
この日は快晴で、天気予報では早くも夏日になると予想されていた。北近畿豊岡道は八鹿氷ノ山IC日高神辺高原IC間が開通したばかりで、終点で降りるとそこはもう日高町の中心に近い位置だった。国道482号線に出てすぐに日置橋に通じる道に入ると、橋を渡った先で右手に鳥居を見た。そこが日置神社だった。右折すると、鳥居のそばの空き地に駐車とした。鳥居からは西の方向に林道が始まっており、その道が進美寺山に通じる道だった。歩き始めると「通行止」の標識を見たが、それは車に対するものと思われた。緩やかに登って行くと、尾根端を回って尾根の西側に出た。その後は尾根を歩くのでは無く、尾根と平行して南に向かった。右手は円山川で、展望が開けると日高町の町並みがすっきりと眺められた。その背後に見えていた白い山は蘇武岳のようだった。程なく小さな祠が現れると、そこに鎮座していたのは「姫路山珠持地蔵」と呼ばれる石仏で、現在地はと地図を見ると、近くのピークに三角点記号が付いていた。それならばと寄り道することにした。適当に登ってピークに出たところ、三角点が見当たらなかった。そんなはずはないと、こんもりと茂ったアセビをかき分けてみると、そこに三等三角点(点名・姫路)を見た。登山道に戻って改めて南を目指した。前方に木々を通して見えてきたのが進美寺山だったが、まだ距離があった。進むうちにいつしか尾根上を歩くようになったが、そのころには林道の道幅では無くなっていたので、林道入口の「進入禁止」は正しかったようである。どうやら古からの進美寺への参道ではと思えた。尾根歩きとなっても、ごく緩やかなまま歩いて行けた。次第に道幅が細くなって歩き難くなったとき、左手間近に林道を見た。その林道が進美寺に通じる道だったので、尾根を離れて林道に下り立った。その林道歩きを始めると、すぐに尾根道も林道に合流した。林道も緩やかな道で、尾根に平行して続いた。その林道に桜の木が点々とあり、今が満開だった。進美寺山が間近に見えるようになると林道の傾斜が増してきたが、桜の木も増えてきて華やぎが出てきた。無線塔が現れると、その先で林道は終点となった。そこから進美寺は目前だった。終点は広場のようになっており、須留岐山がよく見えていた。石段を登って庫裏の前に出たところ、どうも廃屋の気配があった。その先に本堂と呼べる観音堂が建っており、そのそばより進美寺山山頂への登山道が始まっていた。すぐに尾根を登るようになり、西には木々の空いた所から蘇武岳や妙見山が見えていた。尾根の傾斜は次第に増してきて、急斜面を登るようになった。山頂まで急斜面は続き、山頂に着くと白山権現堂が建っていた。その西側の一段低い位置が広場になって開けており、そこに四等三角点(点名・進美寺)を見た。広場は陽射しが溢れているとあって暑かったため、白山権現堂の南側に回って木陰で休憩とした。そちらは木々に切れ目があり、そこからは足下に円山川が眺められた。一休みを終えると須留岐山を目指して東側の急斜面に入った。赤テープが付いており、それを追って下ると進美寺からの道と合流し、自然と尾根筋を歩くようになった。易しい尾根道で、290mピーク辺りは巻き道を歩き、その先で再び尾根筋を歩くようになった。道としては易しいのだが、気温が高めな上に小さなピークの上り下りがあったので、次第にバテ気味になってきた。301mピークを越えて次の330mピークへと急傾斜を登っているとき、後ろを振り返ると進美寺山が見えていた。370mピークに出てもう一段登った所が須留岐山の山頂だった。けっこうバテ気味で到着となった。二度目の山頂だが少し木が伐られたのか北の方向が前回よりもすっきりと眺められた。但し少しうっすらとした視界のために遠方はぼんやりとしていた。この山頂に着いて目に付いたのがアセビで、繁茂している所もあり、どの木も白い小さな花をたわわに咲かせていた。山頂を眺めると浅間寺からのコースがあるようで、そちらにはクサリの手摺りが付いていた。どうやら須留岐山の登山は浅間寺コースが主流ではと思えた。ここでも木陰を求めて休憩とした。下山は進美寺山とを繋ぐ尾根コースを途中まで引き返した。そして290mピークは往路では巻き道を歩いたのだが、帰路では尾根上を歩いてピークに立った。そこは持っていた地図では送電線が通っていたが、撤去されたようで今は無かった。そこから北へと延びる尾根上に巡視路コースがあるはずなのでそれを辿ることにしたが、始めはよく分からなかった。よく分からないまま適当に北斜面に入って尾根を探すと、すぐに分かって尾根を辿れるようになった。少し下るとプラ階段を歩くようになったので、正しく巡視路コースを歩いているとようやく安心した。尾根の途中は少し複雑になって一度谷を越すことになったが、そこもプラ階段が付いていたので、階段のままに歩いて行くとまた尾根上を歩くようになった。プラ階段は途中から見なくなったが尾根筋ははっきりしていたため、問題なく下って行けた。下るうちに植林地を通ることもあり、最後は林道に下り着いた。後は林道を真っ直ぐ北へと歩いた。林道はいつしか農道となり、周囲は農地の風景となった。林道に下り着いてから20分ほど歩いて一般車道に合流すると、そこから日置神社までは数分の距離だった。
(2017/4記)(2020/4改訂) |