龍野市の風景を作っているのは、揖保川とその両岸の山並みと思えるが、特に西岸の尾根は、鶏籠山に始まって的場山から亀山、そして祇園嶽へと続き、城下町龍野の背後に大きな壁を作っている。1993年9月のことだったが、この尾根を龍野城を起点に歩き始めて、的場山から亀山をへて亀ノ池、新池、大成池の池巡りをして再び龍野城へと戻ったことがあるが、けっこう歩き応えのある尾根で、山中での池との出会いは楽しいものだった。この山域の最高峰は大蔵山、南から見るとその大きさを十分に認識出来るが、東からの眺めでは、この亀山がその高さを誇っている。この尾根は新宮町と龍野市の境界をなしており、その意味を込めて最近では新龍アルプスと呼んでいるようである。そして幾つか有るアプローチ道も整備されて、けっこう変化のあるハイキングが楽しめるようになっている。この新龍アルプスになぜか足が遠のいており、11年ぶりで主峰の亀山を登ることにした。2004年8月21日のことで、この日は午前のみしか時間が取れず、そこで軽いハイキングでもと思って、この亀山を思い立ったものである。コースとしては新宮町馬立からの大手道コースとした。朝の9時に登山口に着いたのだが、早朝の涼しさはもう消えており、気温はどんどん上がり始めていた。登山口には墓地があり、その駐車場に車を止めて歩き始めた。始めに馬立古墳群があり、周囲は常緑樹の木立が囲んで少々薄暗い。そこを抜けると登り坂が始まった。程なく尾根の登りとなったが、強い陽射しにたちまち汗が噴き出て来た。ただまだ酷暑の時間ではないので、ここは一気に登って行く。振り返ると揖保川流域の山並みや鶴觜山の尾根が一望だった。30分ほど登ると主脈に辿り着いた。そこより北へ進めば祇園嶽で、南が亀山である。亀山へのルートを目指すわけだが、季節柄か道そばにやたらとキノコが目に付いた。ベニイグチが多かったが、他にもアカヤマドリやシロオニタケなど。探せばいくらでも目に付いた。毒キノコが多かったが、食用キノコも多く見られ、道そばだけで20種以上はお目にかかれた。キノコ図鑑が作れそうだった。なお山頂までの途中には東屋があって、そこは格好の展望台になっていた。先ほど登っていた大手道コースから見えた眺めが一段と広く眺められ、一息入れるのには格好の場所だった。そして主尾根に出てから30分ほどでの山頂到達だった。尾根に出てからは木陰では風が通って涼しさを感じられたのだが、亀山山頂は一段と風が良く通っており、下界とは全くの違いようだった。思わず寝ころんでしまった。そしてここも東に展望が開けており、遠くは笠形山まですっきりと見えていた。暑い季節に涼しい風を受けて、暫しの山上での憩いだった。この後は亀山周辺を少しばかり散策し、再び大手道で下山の途についた。
(2004/11記)(2009/9改訂)(2019/10写真改訂) |