佐用町の北部に位置する行者山は、いかにも尖峰と言える姿をしており、登高意欲をかきたてられる山である。その行者山がガイドブックの「佐用ハイキング」に紹介されていた。そこで三度目の行者山はその紹介コースで登ることにした。
向かったのは2017年9月の第二土曜日のこと。9月に入ると昼こそ暑くなるものの朝晩は涼しく、いかにも秋の季節に入ったことを知らされるようになった。この日は朝から快晴で、ナビのままに走ると、山崎町から県道53号線に入り、県道72号線、県道443号線と走って寺坂峠を越えた。坂を下りきると庵川に沿うようになり、左手に井ノ久保集落が現れると集落内を抜ける道に入った。集落の先で舗装路はダート道となり、すぐに二手に分かれた。その近くに行者山の標識が立っていた。左手の草むした林道が行者山コースだったが、道幅の広い右手の林道に入って駐車地点を求めた。そして路肩が少し広くなった所に駐車とした。そこからのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。始めは林道歩きで、ごく平坦な道だった。林道は沢に沿って続いており、沢は左手にあったのだが、いつしか右手に変わっていた。もう林道は廃道になっているようで、途中には大きく抉れた所があり、四駆車でも通行は厳しいように思われた。林道は沢筋から離れると上り坂となり、峠の位置に出た。そこに着いて漸く標識が現れて、スムーズに右手の尾根に入った。山道を歩くようになったが、山道は一部で分かり難くなっていた。それでも目印テープは続いており、標識も適度に現れたので、コースを外れることは無かった。次第に急坂となり、ロープが張られた所も現れた。そこを登りきった所が460mピークで、標識では「岩峰」とされていた。名の通りにピークは岩場だったが、周囲の木々が育っており、展望は悪かった。少しの休憩で山頂を目指した。始めに緩く下り、歩く方向が北西になると急坂下りとなった。60mほど下って鞍部に着くと、山頂へと登り返した。山頂が近づくと急坂となり、またロープを掴んでの登りとなった。その急坂を登りきって山頂に出た。山頂には見覚えのある小さな社が建っており、そのそばは適度な広さで開けていた。そこに着くまでもまずまずの涼しさだったが、山頂では快いばかりの風を受けることになり、気温も21℃と低めだったこともあって、清々しい空気感の中で休めることになった。展望も悪くなく、北には後山を、北西には那岐山、南西には大撫山と、親しみのある山並みが眺められた。展望を楽しんだ後は少し早かったが昼食もとり、序でに横になって暫し体を休めた。山頂で過ごしたのは50分ほど。久々の行者山を十分に楽しむと、歩いてきた道を引き返して帰路についた。但し山頂近くで目にした「岩窟」の標識が気になって、そこに立ち寄ってみることにした。岩窟への道はトラバース道で、さほど下ることもなかったが道幅が細く、注意して歩かないと斜面に滑り落ちそうになった。主コースを離れてから100mほど歩くと岩窟に着いた。そこは岩室になっており、10人ほどが雨露を凌げる広さがあった。そして何体かの石仏が鎮座していた。それを眺めるとすぐに引き返して主コースに戻った。後は歩いてきた道を辿るだけだったので気楽だった。岩峰には立たず岩峰を巻く形で下山を続けた。そして林道に下り立つと、後は易しい林道歩きだった。往路、復路共に約70分の短いハイキングだったが、展望を楽しめ急坂登りも楽しめて満足のいく行者山だった。
(2017/9記)(2020/4改訂) |