金梨山には過去2回登っていたが、いずれも南尾根を登ってだった。その金梨山へのコースとして西麓側からの金梨山大権現コースが紹介されているのを見て登ってみたくなった。向かったのは2021年5月3日。ゴールデンウィークの最中だった。兵庫県にはコロナ禍による緊急事態宣言が出ており、政府より外出自粛が呼びかけられていたが。鄙な山を登るのであり人と接することはまず無かろうと考えて、快晴が予想されたこの日に実行した次第だった。
天気予報通りと言うか、朝来市の空には雲の欠片も無く青空が広がっていた。ネットから得た情報により、車は諏訪橋に近い広い路肩スペースに駐車とした。そばに「うどん一心」があり、その駐車場からは少し離れた位置だった。駐車地点からは竹田城跡が見上げるようにして眺められた。まずは国道312号線の路肩を北へと諏訪橋まで歩いた。諏訪橋東詰の交差点まで来ると、金梨山側より小径が始まっており、入口に金梨山大権現の標識が立っていた。ネット情報が無ければ見過ごしてしまいそうだった。その小径は山裾を巡る道で、ほぼ平坦だった。右手には竹田の町並みが見えていた。左手は送電線経路のようで、奥多々良木出石線32番鉄塔、31番鉄塔と見た。その31番鉄塔の先で小さな鳥居が現れると、そこにも金梨山大権現の標識があり、山裾を離れて山頂方向へと斜面を登るようになった。やや急斜面を登って行くのだが、尾根筋ははっきりしておたず登山道を見極めながら登った。周囲は自然林が広がっており、今は新緑の世界だった。若葉が陽射しに輝いていた。ときおり展望が現れて、生野高原や竹田城跡が眺められた。尾根の傾斜が増してくると、登山道はジグザグ道となったので、登るきつさは軽減されていた。標高400m辺りまで来ると、登山道は巻き道となって西面側から南面側へと回り込んだ。そして再び山頂へと向かい出すと、岩が多くなり石垣の前に出た。その石垣を回り込んでその上に出ると、大きな岩室が現れた。そこが金梨山大権現だった。二度目なのだが以前の記憶はほぼ曖昧になっており、その岩の迫力に改めて圧倒された。そこは展望も良く、近くの岩の上に立つと、南西の生野高原から北西の大倉部山まで広く眺められた。そこからも竹田城跡が見下ろす形で眺められた。金梨山大権現からは標識は無くなるも赤テープは続いており、それを追うとヤブに会うことも無く、無難に登って行けた。そして金梨山大権現から4分で山頂到着となった。山頂は木々に囲まれているため展望は無かった。ただ休むだけだったが、強いて展望を探せば木々の隙間から粟鹿山が確認出来た。その金梨山山頂から北西尾根に入れば登山口へと下って周回コースに出来るようだったが、この日は金梨山大権現コースを登るのが目的だったので、帰路も同じコースを歩くことにした。いわゆるピストン登山である。金梨山大権現の前へと戻り、巻き道コースへ、そして急坂へと、赤テープと標識に従って忠実の登山道を下った。駐車地点に戻って来たのは11時35分のこと。昼が近いとあって「うどん一心」は既に開店しており、駐車場は満車で路肩スペースまで車が止まっていた。金梨山登山が目的なら「うどん一心」からは離れて駐車すべきのようだった。
(2021/5記) |