TAJIHM の 兵庫の山めぐり <摂津
 
衣笠    きぬがさやま 484m 丹波篠山市
 
行者    ぎょうじゃさん 469.9m
1/2.5万地図 : 村雲
 
【2010年12月】 2010-110(TAJI)
 
   《衣笠山》  南麓の西本庄地区より  2010 / 12

 丹波の山の中で400m台の標高はやはり低く、しかもこの衣笠山の山頂には電波塔群があって、その山頂まで車道が付いているとなれば、ハイキングとして食指は動かないのだが、この衣笠山に注目したのは単純な理由だった。まず始めに久々に弥十郎ヶ嶽を登りたい気持ちが起きたのだが、その前に弥十郎ヶ嶽を間近で眺められる山に登って、弥十郎ヶ嶽のイメージをはっきりさせたいと思った。そこで地形図「村雲」と「福住」を開いて、候補の山を探した。そして見つけたのが高城山だった。ただ高城山はごく小さな山であり登山道も整備されているので、ハイキングはごく短時間で終わりそうだった。そこで高城山は午前の山として、午後にもう一つ山を登ることにした。その午後だけの山となると同じく短時間で登れる山となり、しかも弥十郎ヶ嶽の展望も期待出来そうな山として衣笠山に注目したものである。衣笠山のコースとしては山頂に通じる車道を麓から歩こうと考えたが、そのピストンではあまりにも芸が無さそうなので、尾根続きの行者山まで歩いて周回とすることにした。
 向かったのは2010年12月中旬の日曜日。日曜日に用事の多いパートナーは出かけられず、単独行とする。この日の天気は快晴の予想だったが、篠山は盆地とあって朝はすっかり霧に包まれていた。その霧の空も高城山の登山を終えて麓に下りてきたときは、雲のほとんど見られない青い空に変わっていた。さっそく衣笠山へと移動する。田園風景の中を走って衣笠山の車道入口に着くと、そこにはゲートが設けられていた。但しゲートは関係者以外立入禁止のものでは無く、単なる害獣除けのゲートだった。それなら行こうと思えば山頂まで車で行けるようだったが、ハイキングが目的なので、ゲート近くの空き地に車を止めた。ゲートを抜けて車道を歩き始める。入口と山頂との標高差は250mほど。ひたすら車道歩きが続くが、やはり車道を登るのは面白くないと言うか退屈だった。車道は舗装されており、あまり車は通らないようで、すっかり落ち葉に覆われている所もあった。気温は山かげに入ると10℃を下まわったが、陽射しの中では十分な暖かさだった。登るほどに展望は現れたが、それは南西方向で、弥十郎ヶ嶽のある南東方向に展望が開けることは無かった。40分ほど歩いて最初の電波塔の位置に着いた。車道を離れて電波塔のそばに立つと、それはNTTのもので、ここに来て漸く弥十郎ヶ嶽が眺められたものの、すっきりとした見え方では無かった。むしろ北西方向に三嶽が意外な近さで眺められた。それではと山頂の展望に期待した。ところが数分で着いた山頂はNHKの電波塔が建っており、NTTの位置よりも更に展望が悪かった。ここでも見えたのは三嶽だった。どうも弥十郎ヶ嶽を見る山として衣笠山を選んだのは失敗だったようである。電波塔を眺めている訳にもいかず、すぐに行者山を目指すことにした。少し戻った所にEM篠山佐貫谷局とキンデン篠山無線基地局が建っており、その間から尾根道が始まっていた。少しヤブっぽい感じはあったが、特に歩き難いとも言えず、マイナーな登山道と言った風だった。赤テープが付いていたが、無くとも尾根を外す心配は無さそうだった。尾根はごく緩やかなもので、小さなピークを幾つか越すが、ピークと言うよりも平坦な尾根のちょっと高い所と言えそうだった。尾根の木々は雑木林で、左手となる南側よりも北側の木々が空いているようで、ここでも三嶽の尾根が眺められた。一度は西ヶ嶽から三嶽、小金ヶ嶽まで眺められて、どうも弥十郎ヶ嶽を見るよりも三嶽を見るのが向いている尾根ではと思えた。漸く上り坂となって行者山かと思ったが、その先にピークがあり、それが二度ほどあって行者山山頂に着いた。木々が取り巻かれたごく狭い山頂で、平凡なピークかと思わされたが、周囲を眺めると、すぐそばに小さな祠が置かれていた。また南の方向から登山道も来ていた。行者山と名が付くだけに信仰の山として大切にされているようだった。展望としてはそこからは三嶽は見えず、木々の切れ目から北東方向に八ヶ尾山が覗いていた。下山は少し戻った位置から南へと延びる尾根を下ろうと考えていたのだが、登山道を見たことでそれを下って行くことにした。尾根のままに登山道が付いているのなら春日江か佐貫谷に下り着きそうで、駐車地点まで無理のない距離に思えた。その登山道は急傾斜の尾根にはっきり続いており、途中からは登山道の周囲にビニールヒモが張られて、いっそうの歩き易さとなった。アカマツの木が多いことから、ここはマッタケ山でもあるようだった。その下りを続けているとき、徐々に南東の方向が見えるようになり、そこに弥十郎ヶ嶽が覗いていた。衣笠山よりも行者山で弥十郎ヶ嶽が望めるとは、期待していなかっただけに意外な思いだった。そのまま麓に着くものと思っていると、害獣避けゲートが現れて、そこを抜けると道は二手に分かれた。どうやら春日江と佐貫谷の両方に行けるようだった。当然駐車地点に近い左手の道に入る。その南東方向への道を進むとすぐに溜め池が現れて、その先は田園風景が広がっていた。もうそこから駐車地点までは10分ほどの距離だった。
 ところで弥十郎ヶ嶽の姿は行者山からの下る途中で眺められたので、これでけりがついたとして、次は衣笠山の姿を離れて見たくなった。そこで南麓の西本庄に車を進めたところ、そこからは弥十郎ヶ嶽が高城山で見たときよりも、行者山の尾根で見たときよりも、ずっとすっきりと見えていたのは皮肉なことだった。
(2011/5記)(2021/7改訂)
<登山日> 2010年12月19日 12:10スタート/12:50〜59NTT電波塔/13:07〜18山頂(NHK電波塔)/13:22車道を離れて行者山への尾根に入る/13:52〜14:06行者山/14:42ゲート/14:48溜め池/14:57エンド。
(天気) 快晴。雲はほとんど見られず、風もほとんど無し。日陰は10℃ほどだったが、陽射しの下ではけっこう暖かかった。展望は少なかったものの、視界は悪く無かった。下山を終えて見上げる空には、絹雲が見られたものの快晴に変わり無し。
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山頂に通じる車道の入口にはゲートがあった ゲートを抜けて真っ直ぐ北東に向かう 車道を樹林が囲むようになった
     

 車道は通る車が少
 ないのか、落ち葉
 が道を隠している
 所もあった





 南西に展望が開け
 たとき、そこに見
 えていたのは、午
 前に登った高城山
 のようだった



    
舗装路が続く 車道歩きはやはり退屈だった 頂上方向が望めたとき、そこに電波塔が見えた 車道を離れて最初の電波塔(NTT)に近づく
   
電波塔のそばからは、辛うじて弥十郎ヶ嶽が眺められた NTTの電波塔のそばから良く見えたのは、北の多紀アルプスだった
    
山頂を目指して車道に戻る 山頂にはNHKの電波塔が建っていた 展望の悪い山頂で、三嶽を見るにとどまった
    
山頂から少し戻って行者山への尾根に入る 最初は少しヤブっぽく感じる尾根だった なだらかな尾根で、歩き難いということは無かった
       
尾根から弥十郎ヶ嶽の展望を期待したが、それは適わなかった 替わりに多紀アルプスが望めた 左の写真の三嶽を大きく見る
   
尾根の傾斜が増してきた 小さなピークを二つ越して山頂に着いた 山頂の三等三角点(点名・雲部村)を見る
    
山頂は木々が取り巻いており展望は悪かったが
木々の隙間からながら北東に八ヶ尾山を見る
三角点の位置より西側、少し低い位置に祠が置
かれていた
下山は南からきていた登山道を下ることにした
急角度ながら程よい歩き易さだった
    
登山道にはヒモが張られており、どうやらここ
はマッタケ山のようだった
尾根を下るうちに南東方向が望めるようになり
そこに弥十郎ヶ嶽が覗いていた
左の写真の左手遠くに見えていたのは、北摂の
最高峰、深山と思えた
    
歩き易いまま麓に近づいた 登山道は最後に害獣避けゲート通った 道は二手に分かれたので、南東方向に向かう
    
すぐに溜め池のそばに出た そこから駐車地点までは10分とかか
らぬ距離だった
山上からなかなか見えなかった弥十郎ヶ嶽だったのに、麓の西本荘からはすっ
きりと眺められた