宍粟市にあっては低山の部類となる高取山だが、宍粟50名山に選ばれていることでもあり、再訪するのも悪くないと思って出かけたのは、2018年10月の好天の日だった。ほぼ10年ぶりとなるが、コースは前回と同じく觱篥(ひちりき)神社からとした。車は登山口に近い県道537号線沿いの空き地に止めると、そこから歩いて4分で觱篥神社だった。神社に入ると高取山の登山口標識があって、すんなりと登山道に入って行けた。このコースには多くの標識が立っており、そこには山頂までの距離も書かれていた。登山口から山頂までの距離は2.9kmとあり、最初のポイントは聖山城跡で、そこまでは200mだった。易しい登山道を東へと歩いて行き、途中で寄り道する形で聖山城跡に出た。そこまで登山口から7分だった。「山頂展望所」の名も付いており、その名の通りに向かって展望が広がっていた。澄んだ空の下、山崎の町並みが一望だけでなく遠くの山並みもくっきりと見えていた。こんなに天気が良いと分かっていたら、もう少し北部の山を登っても良かったのではと思ってしまった。展望を楽しむと歩いてきた道を引き返さず、別の道で主コースに近づいた。すぐに主コースに合流すると、南東へと向かった。次の目的地は深呼吸の広場で、途中で標準コースと健脚コースに分かれると、往路として標準コースを歩いた。標準コースは緩やかに続いて、健脚コースと合流するとそこから150mで深呼吸の広場に出た。そこには休憩所が建っており、西の方向に展望があった。ただ以前と比べると木々が育ったためか、見える範囲はかなり狭まっていた。そこまで来れば山頂まで1800mだった。尾根筋を歩くようになり、送電塔と出会うようになった。そして二つ目の送電塔に出会って後は山頂まで1kmとなったとき、突然ハイキングを中止することになった。そこに見たのは「入山禁止」の標識だった。そこより先はまったけ山で立入禁止になっていた。宍粟市にまったけ山が多いことは分かっていたが、登山口に標識を見なかったため安心して歩いていたのだが、こうなると先に進むのは諦めるしかなかった。標識を見ると管轄は須賀沢集落のようで、登山口の出石集落とは違っていた。出石集落は山頂一帯がまったけ山であることに注意を払っていなかったと思えたが、何とも不親切と言わざるを得なかった。特にこの日は絶好の登山日和だっただけに、2時間ほどロスすることはもう修正不能で、憤懣はつのるばかりだった。ただ黙々と引き返すのみ。この下山では觱篥神社へは戻らず、途中から左手に分かれた出石集落への近道に入った。そちらは元からの巡視路のようで、プラ階段を多く見た。ただ登山道としてははっきりしない所もあって、一般向きとは言えなかった。麓まで下りて来ると害獣避けゲートが現れたが、そこに標識は無かった。そこはホテル日新会館の近くで、駐車地点までは12分ほど歩くことになった。次は山頂に立つべくまったけシーズンが終わる12月以降に改めて高取山を訪れようと思いながら、県道537号線を北へと歩いた。
(2018/12記) |