国見の森公園を起点にハイキングコースが作られているのは国見山だが、主園路となる林道を挟んで国見山とは南向かいの牧山も登られていることを知ると、その国見の森公園からのコースで牧山を登りたくなった。向かったのは2021年5月の第四日曜日のこと。前回はいわゆるピークハントとして1998年3月に新宮町側から登っていたので、23年ぶりとなる牧山だった。この日は登山を予定していなかったのだが、梅雨の中での快晴の空を見て、急きょ出かけたくなった。そこで牧山を思い付いたものである。急きょのこととあって、単独行として出かけた。国見の森公園に着いたのは8時15分だった。兵庫県ではコロナ禍により緊急事態宣言が出ており外出自粛が呼びかけられていたのだが、国見の森公園は開園していた。但しモノレールは運休していた。駐車場を離れると、交流館の前を通ってまずは比地の滝へと向かった。駐車場から7分も歩けば滝の前に出た。梅雨どきとあって水量はたっぷりあり、見応えのある姿だった。その滝のそばから林道(主園路)に出る小径は見当たらなかったが、交流館まで戻るのもどうかと思えて、適当にそばの急斜面に取り付いた。その斜面を数メートルほど登ったとき階段道に出会った。どうやら滝の近くから林道に出る小径はあったようだった。後は小径を辿ったのだが、はっきりしない所もあってあまり歩かれていないようだった。林道に出てみると、合流点にはロープが張られていた。注意書きがあり「立入禁止」と書かれていた。道理で滝の小径に標識が無かったはずである。後は林道を西へと歩いて行った。林道は主園路でもあり、そのまま歩けば国見山山頂まで通じている道だった。その林道から長谷山遊鶴寺跡への作業道が分かれると、作業道に入った。分岐点の位置記号は「E」だった。その作業道を5分ほど歩くと堰堤の前に出て、その先で少し広くなった所が現れた。そこが長谷山遊鶴寺跡のようだった。作業道はそこで終点かと思われたが、その先に続く小径に入ると、その小径は程なく作業道の姿になってきた。その作業道は尾根には向かわず、途中で下り坂となって尾根方向から離れだした。そこで作業道を離れると、斜面に取り付いて尾根を目指した。適当に歩いたため一般的な牧山を目指すコースとは違うコースを歩いてしまったようだった。ただ多少のヤブコギは覚悟していたので、とにかくその急斜面を登って行くことにした。ところが少し登ると、右手に新しさのある作業道が現れた。その作業道でも尾根に近づけそうに思えて、作業道歩きに移った。別の作業道と合流してほぼ主尾根が間近になったとき、作業道は終点となった。その位置と主尾根との標高差は数メートルだった。ひとまず近くのピークに立とうと、尾根の高い位置を目指して、小ピークに着いた。GPSで位置を確認すると、そこは510mピークだった。その小ピークを離れて主尾根を南へと歩いて行く。少し下って鞍部に着くと、そこが作業道に一番近い位置だった。その辺りは少し展望があって、東に明神山を見た。更に南へと歩いて行く。尾根道は無いものの木々は空いており、歩くのは易しかった。小さなピークを越して次の510mピークに着くと、そこに標識を見た。牧山の方向を示すだけでなく、そこは国見の森公園の交流館に通じる尾根の分岐点だった。牧山へと緩く下って緩く登り返すと、三等三角点(点名・上比地)が置かれた位置に着いた。但し三角点の周囲はなぜかヤブになっており、歩き易い所を探ると回り込むようにして北側から三角点のそばに出ることになった。周囲はすっかり樹林に囲まれており、展望の欠片も無かった。その三角点の位置は一帯の最高点では無かったので、牧山の名はその辺り全般を指しているように思えた。三角点のそばにいても、単なるピークハントをしただけの気持ちだった。下山は交流館へと通じる尾根を下る予定だったが、主尾根のそばまで続いていた作業道に興味があり、その作業道を歩いて下山することにした。三角点の位置から、ただ引き返すのみ。最初に着いたピークまでは歩かないので、作業道の終点位置まで14分だった。後はひたすら作業道歩きだった。作業道が二手に分かれると、往路で歩いてきた道には入らず、直進する形で北へと下った。新しさのある作業道だったが、いつしか古びた感じになっていた。以前からの部分に入ったようだった。そして突然のように標識が現れた。そこはG地点で、そこより小径が分かれており、それは柏原城跡入口だった。柏原城跡へ行く気は無かったが、その辺りは樹林の切れ目があって展望がありそうだった。そこで少し小径に入って作業道の法面上部に出てみた。すると東の方向がけっこう開けており、そこでも明神山が眺められた。作業道に戻って作業道歩きを続けると、最後は主園路に合流した。そこはH地点だった。どうやら主園路歩きと作業道歩きで主尾根のそばまで出られることが分かったが、牧山はいわゆるピークハントの対象となる山でもあるので、この日のように適当に登って主尾根に出るのも悪くないと思えた。後は主園路を歩いて駐車場へと戻って行ったが、比地の滝が近づくと立入禁止の小径に入って比地の滝のそばに下りてきた。歩かれなくなった小径だが、足下にさえ注意を払えば危険な感じは無かった。下り着いた地点は、往路で無理やり取り付いた位置のごく近くだった。比地の滝は名所とあって、滝には数名が訪れていた。こちらももう一度比地の滝を眺めてから交流館へと戻って行った。
(2021/6記) |