この秀麗な石金山をどこから登ろうかと「中村町」の地図を開くと、尾根まで幾つかの破線路が示されていた。その中から選んだのが、黒田庄町田高から北へと示されていたルートだった。1998年1月下旬に訪れた。前日の雪で付近の山々はうっすらと雪化粧をしていた。田高集落に入って小さな神社前に駐車した。辺りにも雪は見られたが、雪の量としては少なかった。集落内を抜けて、まずは北の306mピークを目指して地図の破線路とおぼしき道を歩いて行った。十分な道幅があったが、道なりに歩いていくうちにどんどん細くなってきた。そして傾斜がきつくなる辺りで分からなくなってしまった。そこで後は適当に歩き易い所を探りながら斜面を登って行ったのだが、どうも道が細ってきたときに雪もあって方向を誤ってしまったようだった。何とか小さな尾根を登るようになったが、その尾根の方向は北西を向いており、ここで予定のコースより大きくそれてしまっていることがはっきり分かった。ただ尾根には細々とながら小径があったので、そのまま登って行くことにした。その小径だが雑木がけっこう茂っていた。
その雑木をかき分けて登るのだが、木に付いた雪が落ちてきて、それが煩わしかった。とにかくその支尾根を登って行くと、その小径がなぜか消えてしまった。もう後は急傾斜となった支尾根を木や草に掴まりながら登って行くしかなかった。雪で滑り易い所があったりシダヤブ帯に突っ込んだりと苦労することになった。そして何とか主尾根に辿り着いた。その尾根にははっきりとした尾根道も付いていた。ここに来て漸く地図を開いてみると、予定の石金山の東尾根では無く、南尾根に出たようだった。ずいぶん西に逸れて登ってしまったようだった。そこからは尾根道を歩いて行くだけなので、漸くスノーハイキングの雰囲気となった。雪化粧をした尾根が美しかった。また新雪の尾根道にトレースをつけて歩くのも楽しかった。北へと真っ直ぐ登って行くと、尾根が小ピークに達して西に向かう辺りで、山頂が見えてきた。鋭角なピークと円やかなピークが重なって見えていた。漸く着いた山頂はけっこう広く、展望もまずまずあった。ただ少し戻った位置に、より展望の良い場所があったので、そちらで展望を楽しんだ。東には間近に白山から妙見山が、東北方向には五台山がはっきり見えている。その他、丹波の山並みが雪をまとって美しい姿を並べていた。ただ山頂では期待した陽射しが得られず、体が徐々に冷えてきたので、1時間ほどの休憩で下山とした。下山は往路として登ってきた南尾根をずっと下って行くことにした。ただ最後まで行けば石原集落に出て駐車地点とは離れてしまうので、尾根の351mピーク(点名・滝ヶ谷)に着いてから東へと尾根を折れた。その尾根に入るとき少し手間取ったが、尾根を下るようになると後は尾根筋ははっきりして、迷わず下って行けた。やや急坂で続いたが、下りきって道に出るとそこは駐車地点の間近な位置だった。
(2002/9記)(2009/6改訂)(2021/11改訂2) |