高丸は姫路市安富町の北部、明神湖の西に位置する山で、その山頂の形はどことなく明神山に似ているので、憶え易い山と言えそうだった。その高丸には1997年2月に登っていたが、山頂展望が無かったこともあって、再訪の気持ちは起きなかった。それが2015年5月に明神山を登ったおり、その丸みを帯びた山頂が目に入ってきて、急に登ってみたくなった。そこで少しコースを変えて登ることにした。前回は単純に明神湖側からピストンしていたので、北東にある三角点ピークまでの縦走を楽しむことにした。但し高丸までの往路は、アプローチのしやすさから前回と同様に明神湖側からの尾根を登ることにした。
向かったのは明神湖登山から40日後の6月最終日曜日だった。文殿トンネルを抜けて明神湖まですんなり来ると、すぐに現れた東屋のそばに駐車とした。往路は南尾根を登って行く予定だったので、その尾根が通っている文殿トンネルに向かって歩き出した。トンネルが近づくと山側にフェンスが現れて、その先から階段が始まっていた。その階段を登れば尾根に出られることは知っていたが、フェンスの扉には「立入禁止」の札が付いていた。それを無視してまで階段を登る気は無かったので、トンネルの方向へと歩いた。そのトンネルの左手は菅生ダムの一角で、そちらに歩いて行くと菅生ダムの記念碑が現れた。それを通り過ぎた先で山肌に取り付いた。斜面を少し登って尾根に出ると、後は尾根筋を辿るだけだった。少し進むとコンクリート階段が現れた。右手から階段が続いていたが、その階段が立入禁止とあった扉からの階段だった。暫くはコンクリート階段登りだった。登っている途中で岩場の展望地が現れたので、そこに立ってみると、足下に菅生川流域辺りが眺められた。この高丸が麓から良く見える山であることが分かった。階段の登りを続けると「青のり山中継局」が現れて、階段はそこまでだった。中継局はフェンスに囲まれていたものの斜面に建っていることもあって、その屋上には簡単に上がることが出来た。屋上は絶好の展望地で、東向かいの明神山がすっきりと眺められた。その展望をいっとき楽しむと、尾根歩きを続けた。もうごく自然な尾根歩きだった。周囲は自然林のため雰囲気は悪くなかったが、展望は無かった。420mピークに着くと、そこからは突然のように明神山が眺められたものの、その先からは植林地となり、ただ山頂を目指すだけの感じとなった。山頂は明神山に似た姿だけに山頂が近づくと急坂になり、しっかりと踏ん張って登って行った。そして着いた高丸の山頂は、前回と変わらず樹林に囲まれて展望は無かった。一応山頂に立つ目的は達したので、すぐに縦走を始めることにした。高丸から点名・政井を持つ459mピークまではおおよそ1kmほどだったが、地図をよく見ると小さなピークが幾つかあり、それぞれのピークで微妙に尾根が曲がっていたり、別の尾根が分かれていたりした。そのため尾根のイメージを頭に描いて歩き出したが、始めから459mピークへの尾根道がはっきりしなかった。そこでコンパスを見ながら急斜面を下った。北東へと方向を定めて下ると、程なく尾根を辿れるようになり、無難に歩いて行けた。尾根は緩やかながら、ときおり灌木を避けたり倒木を越したりと、それなりにマイナーな尾根だった。周囲は自然林が続くかと思っていると、植林地に替わったりした。展望も注意していると、植林の切れ目から北の尾根が眺められたり、倒木に立って高丸が眺められたりした。注意すべきは尾根の分岐点で、小さなピークに着く度に地図を取り出して向かう方向を確かめた。慎重に歩いたおかげで無事に459mピークを前方に見るようになり、やや急坂を登って459mピークに着いたときは、高丸の山頂を離れてから一時間が経過していた。そこも高丸のピークと同様に展望は無く、特徴の無いピークだった。そのためすぐに下山に移った。地形図には459mピークの北に破線路が描かれていたので、それを目指すことにした。その鞍部へと下り出すとやっかいな倒木地が現れたが、何とか乗り越えて鞍部に着いた。ところがそこに小径は見えなかった。どうやら廃道になってしまったようだった。そこで沢へと下りて、沢沿いを歩くことにした。そのとき失敗に気が付いた。道誤りでは無く、ヒル対策をしていなかったことだった。湿気の多い所を歩き出したため、とたんにヒルが寄ってきた。足を止めずに歩いたものの、草ヤブもあったため、結局両足共ヒルに噛まれてしまった。何とか車道に出て、漸くほっとすることになった。車道から北を見ると、小畑集落が間近に見えていた。その集落に背を向けて、南へと車道を歩き出した。そのまま歩けば駐車地点に戻り着けるのだが、明神湖は東岸側にも車道があるので、東岸道路を歩いて戻ることにした。車道に出て15分ほど歩くと分岐点が現れたので、東岸に通じる道に入った。始めは沢沿いを歩き、途中から明神湖の東岸道路となったが、樹木が茂っているため、意外と明神湖は見えなかった。それでも緑の美しい道だったので、その森林浴を楽しむためか、散策を目的とした人と何人かすれ違った。菅生ダムに近づくほどに、明神湖がはっきり見えてきた。その菅生ダムの堤上を歩いて西岸側に出ると、駐車地点までは200mほどの距離だった。
(2015/7記)(2020/10改訂) |