安富町末広に位置する大谷山には2002年に南麓側から登っていたが、ほとんど展望が得られず消化不良気味で登山を終えたものだった。そのため再訪の気持ちは起きなかったのだが、2018年8月に入って膝痛が続いていた。少し良くなってもハイキングに出かけると痛みが増すを繰り返していた。そこで9月に入って中旬の3連休3日目は山頂近くまで林道歩きが出来る山を歩くことにした。そこで長らく登っていない山でもと「山崎」の地図を広げたとき、目に止まったのが大谷山だった。大谷山の北側には林道が走っており、その林道は標高480m辺りまで来ていた。その林道を歩けば楽々と山頂に立てそうに思えた。
向かったのは17日の月曜日のこと。朝から薄曇りの空だったが、天気予報では次第に良くなるようだったので、天気の心配はせずに省エネ登山が出来そうだった。ところが北に向かうほどに雲は厚くなり、安富町に入るとその空は今にも降り出しそうな黒い雲が広がっていた。角屋バス停近くで林田川の小橋を渡ると、その先で路肩が広くなった所が現れたので、そこに駐車とした。後は地図で示された林道を目指して末広集落内の小径を歩いたのだが、林道に通じる小径に入らず直進したため山裾で行き止まりになってしまった。それでも引き返さずに山裾を適当に南東方向へと歩くと、予定していた林道に合流出来た。合流地点のすぐ先に害獣避けゲートがあり、それを抜けて本格的な林道歩きを開始した。舗装林道ながら利用する車は少ないようで、少し荒れている印象を受けた。周囲は植林地が主体とあって展望は無かったが、歩くうちには北の方向に展望を得られることがあった。林道は終始緩やで東の方向に向かって歩いた。その林道はどうやら利用はされていないようで、進むうちに土砂災害で通行不能箇所が現れた。そこを過ぎると歩く向きは南へと変わり程なく林道は終点となった。地図では更に西へと道が描かれていたのでそちらを見ると、なるほど道はあったが様相は一変していた。もう作業道と呼べるほどの細い道で、そこに灌木や雑草が茂って俄然荒れ道となった。道の傾斜も増してきた。もうヤブコギ状態となって進んでいたとき、足下を見てがっかりした。この大谷山の西向かいにある西山は山ヒルの多い所だが、この大谷山も同様だったようで登山靴に何匹も山ヒルが貼り付いていた。以後は山ヒルを剥がすことばかり注意が必要だった。しかもずっとヤブ状態が続いた。堪らず作業道を離れて尾根筋に出ると、一帯は植林地となって漸く歩き易くなった。ところが一度緩やかに下り出したとき、シダヤブに突っ込むことになった。しかも倒木もあってまたやっかいなことになった。そのうちに霧雨が降ってきた。もう山頂まで400mほどの位置に来ていたが、戦意喪失状態になってしまい登頂を断念することにした。そしてヤブの作業道へと下りた。下りた所には展望があって北の風景が見えていたが、霧雨の視界とあって薄ぼんやりとしていた。作業道に出たものの作業道を歩く気は無く、北斜面に入って林道へとショートカットした。急斜面を無理やり下って林道に出ると、もう後は緩やかな林道を戻るだけだった。幸いなことに山ヒルが何匹も貼り付いていたが、血を吸われる被害は無いようだった。林道を歩くうちに霧雨は止んだが、以後も暗い空は続いた。この日は山頂を踏めなかったが、山頂近くで展望のあることが分かったので、山ヒルの被害が無くなる冬の日に改めて訪れてみたいと思いながら麓へと戻った。
(2018/12記) |