たつの市の大蔵山はけっこう遠くからでも眺められる山だが、その大蔵山の西隣でなだらかな姿を見せるのが屋敷台だった。かつては山上に牧場が広がっており、棚田があって稲作も行われていたとのこと。その屋敷台の山頂まで遊歩道が通じており、気軽に山頂に立てることを知ったとき、一度は訪れたいと思った。
向かったのは2014年12月14日の日曜日。この日は衆議院選挙の投票日だった。急な思いつきだったため、パートナーは誘わず単独で向かった。県道5号線を西へと走って行くと、菖蒲谷森林公園の案内標識が現れた。それに従って公園への道に入った。車を中腹まで進めると左手に紀功碑への道が分かれたので、そちらへと入った。すぐに紀功碑が現れて、その前に駐車とした。そこから屋敷台への遊歩道が始まっており、散歩気分で歩き始めた。周囲は落葉樹が多くあり、ほぼ葉を落としていた。少し登ると水田跡への道が分かれた。こんな山上で稲作が行われていたことに興味が湧き、立ち寄ってみることにした。巻き道を歩く感じで東へと向かうと、程なく現れたのは石垣の棚田風景で、そこが水田跡のようだった。山上へと向かうコースに戻り、山頂を目指す。鉄線沿いを登るようになり、その鉄線は牧場の牧柵跡との説明板があった。急坂は無く、緩やかな丘を登る感じだった。周囲は落ち着いた雑木林になっており、地表は落ち葉ですっかり覆われていた。何とも優しげな風景で、新緑の候にも訪れたいものだと思った。山頂もその感じだった。そこまで展望は無かったが、山頂は少しあり、南に狭い範囲ながら瀬戸の海まで眺められた。また南東方向には的場山が見えていた。遊歩道は屋敷台のピークを越えて更に東へと続いていた。屋敷台までごく簡単に歩いてきたこともあって、まだまだ歩きたい気持ちがあった。そこで大蔵山まで歩くことにした。遊歩道を東へと緩やかに下ると、西ノ峠池に向かう道とアカマツ林山頂広場への道に分かれた。先にアカマツ林山頂広場へと向かう。そこは436mピークで、屋敷台のピークと同じく雑木林が広がっていた。名の通りにアカマツが多かったが、アカマツで覆われていると言えるほどでもなかった。そこからも少し展望があって、的場山が眺められた。その後は少し戻って、西ノ峠池へと下りて行った。そちらへの遊歩道は山陰となるため冷え込んでおり、霜が消えずに残っていた。気温を見ると2℃だった。車道に下りると、そこより少し南東へと歩いた所が西ノ峠池だった。晴れてはいるものの冷たい日とあって、そこには誰もいなかった。池の畔へと下り、縁を回ってカリオンに通じる道に入った。そのカリオンのそばを通って更に登って行くと、自然と大蔵山に向かうことになった。冷たい風を受けながら登っていると、屋敷台の登りで温まっていた体は、すっかり冷えてしまった。大蔵山の山頂に着くも、そこは展望が全く無かったので、山頂に立ったことを良しとしてすぐに引き返した。展望の丘へと向かう気持ちは無く、西ノ峠池に戻って来ると、後は車道をひたすら歩いて、紀功碑前の駐車地点へと戻って行った。紀功碑前まで西ノ峠池から25分の距離だった。
(2014/12記) |