丹波の有名山なのに登っていなかった山に鹿倉山がある。理由は単純で、三角点の位置を見て京都丹波の山と思い込んでしまっていた。そのためいずれは登ってみようぐらいの気持ちとなり、登らないままに時が経ってしまった。ただ考えてみればその山体の半分は兵庫県にあり、「兵庫丹波の山(下巻)」では真っ先に紹介されている山だった。そうなると兵庫の山として登ってもおかしくないと思えてきた。そこで漸くの感じで向かったのは2024年4月の好天の日だった。初めて登るとなると、登山コースが良く知られている京都府側からアプローチすることにした。
丹波篠山市側から県道97号線を走って行くと鼓峠を越えることになり、更に箱部峠を越して京都府に入った。緩やかな下り坂を進むと程なく「深山林道」の標識が現れて、すんなりと林道に入った。林道を途中まで進む予定をしていたのだが、すぐにクサリの車止めが現れてその先には進めなかった。但しその手前に駐車スペースがあったので、そこに駐車とした。そばのサクラが満開になっており、盛んに花びらを散らせていた。その花びらがハイキングの準備をしている間に車の中にも入ってきて、少々閉口させられた。まずは林道歩きでスタートした。舗装林道の上に緩やかな道とあって、ごく易しい林道歩きだった。林道のそばに満開のヤマザクラをときおり見かけた。林道を20分近く歩くと、右手にフェンスで囲まれた堰堤が現れた。その位置は鉤掛地蔵コースの分岐点だった。それには入らず今少し林道を進むと、また右手に登山道が分岐した。それは大平寺跡旧参道で、林道をショートカットすることにもなるので、今度は林道を離れて大平寺跡旧参道に入った。ごく細々とした道で、目印テープを追うようにして歩いた。途中で登山道は不確かになり、二手に分かれたように見える所は右手の進路をとった。それは地図の破線路から離れることになったが、かまわず進むとはっきりとした小径となり、林道に再び合流した。そこは林道のほぼ終点位置だった。近くに小ぶりの神社が見えており、それが熊野神社だった。熊野神社の前に立つと、そばから山頂への直登コースが始まっていた。始めのうちはジグザグ道となっており無理なく登って行けたが、途中で大岩が現れると、そこからは急斜面を登るようになった。岩場を巻いての登りは少々険しさがあった。その急斜面を登りきった所に現れたのが烏帽子岩だった。そこは展望地でもあって、暫しの休憩とした。後は尾根筋を歩いて山頂に向かった。途中で天狗岩への道が分かれていたはずだが、見落として直進してしまった。山頂が近づくとまた急坂となり、そこを登りきって鹿倉山の山頂に到着した。山頂は開けており、中央に三等三角点(点名・四村山)が設置されていた。また小さな祠が置かれていた。その山頂からの展望は良いとは言えず、木々の空いた所から京都府側が少し見える程度で、北西方向に三岳山を見た。兵庫県側は木々に遮られていた。ただ山頂の中央に登れそうな木があってその木に登ってみると、多紀アルプスが間近に眺められた。誰もいない静かな山頂で1時間近く過ごすと、下山は北尾根に入った。その尾根が意外とヤブっぽかった。枝を払いながら進んで北峰ピークへと近づいたとき、期待していなかった展望が現れた。北西方向の展望で、五台山から親不知へと続く尾根がすっきりと眺められた。北峰ピークの先は急斜面となったが、長くは続かず途中からはスムーズに歩けて鞍部に下り着いた。そこに鉤掛地蔵を見た。鉤掛地蔵からは尾根を離れて右手の斜面に入った。細々とした小径を赤テープを追って下って行くと、沢筋に沿うようになった。小径も目印テープもはっきりしない所があったが、東へとかまわず沢筋を下って行くと、フェンスで囲まれた堰堤のそばに下り着いた。後は林道歩きで駐車地点へと戻るだけだった。
(2024/4記) |