中町から小野尻トンネルを抜けて山南町に入った。西谷集落内を過ぎて、林道・大見谷線の起点に駐車とした。始めに小野山を目指した。スタートすると、林道を北西に向かってひたすら歩いた。途中で林道は二手に分かれると、右手の林道を辿った。周囲を植林地が囲んでいたため薄暗かったが、道の傾斜はさほどでもなかった。けっこう気楽に登って行けた。林道の終点位置に着くと、そこから始まる登山道を見たのでそれを辿った。登山道はイバラが繁茂してきて荒れ出したので、すぐに諦めて林道終点に戻った。今度はそばの支尾根に取り付いて町境尾根を目指した。やや急尾根だったが、下生えが少なため無理なく登れた。その支尾根が小野山の方向から離れ出したので、途中より植林地の急斜面を適当に登った。町境尾根に出ると、はっきりとした尾根道を見た。直ぐに北へと小野山に向かった。小野山への上り坂には階段も設えられており、僅かな距離で小野山山頂に到着した。山頂一帯は広々と刈り払われており、
西に向かって大きく展望が開けていた。その切り開かれた中に、送電塔が一際目立っていた。尾根道はどうやらその送電塔の巡視路ではと思えた。やや冷たい風に吹かれながら、小野山からの展望を楽しんだ。送電塔に視界を少し邪魔されるものの、千ヶ峰から深谷山へと山稜が山裾から眺められた。北にはこの尾根の最終到達点である篠ヶ峰の山頂が望まれた。篠ヶ峰の左手は大井戸山であろう。それにしてもこのどんよりとした視界はいただけなかった。強い風が吹いているにもかかわらずである。黄砂の影響があるようにも思えた。三組尾まで歩く予定だったので、小野山で長居する気はなく、10分ほどの休憩で次の大海山に向かった。南に戻る形で尾根を下った。そして次の494mピークへも巡視路は続いていたので、楽々と歩いて行けた。その494mピークにも送電塔が建っていた。小野山と同じく周囲が刈られており、小野山以上に展望が良かった。笠形山から飯森山、千ヶ峰へと続くスカイラインが雄大に眺められた。次のピークが大海山である。風土記にも記された山であるだけに期待して向かった。すると急に尾根道が荒れ出した。この先の尾根には送電塔が無いため、整備されていないように思われた。荒れていると言っても、尾根道がはっきりしていない程度だった。灌木の空いている所を選びながら進んだ。大海山の手前に小ピークがあり、それを越して大海山に着いた。大海山の山頂は木々は疎らで休むには良いところだったが、周囲は雑木が囲んでおり展望は良いとは言えなかった。特に西側は全く見えなかった。そこで北へと少し戻って北東斜面にあった幼木の植林地に立った。そこからは何とか篠ヶ峰を眺めることが出来た。展望は次の三組尾に期待することにして、大海山を後にした。牛坂と名付けられた峠へと町境尾根を下るのだが、どうも下るべき方向がはっきりしなかった。南の方向へ延びる尾根に尾根道があり、そちらに入り込みそうになった。方向を定めて下ったつもりが左手に少し逸れてしまい、林道に下り着くことになった。持っていた地図ではそこに林道は描かれていなかったので、延伸されているようだった。とにかく町境尾根を目指すことにした。一度道を誤ったため、結局林道を終点位置まで歩くことにした。終点位置に着くと、南へとはっきり尾根が続いているのを見た。どうやら林道は境界尾根まで延伸されていたようだった。安心して尾根歩きに移った。やや急坂が始まると、これが長く続くのでけっこうきつく感じた。但し尾根道ははっきりしていたので、道誤りの不安は無かった。もう528mピークに着いても良いのではと思えても、まだまだ登りが続く感じがあった。登ることに飽いてきたと思える頃に漸く528mピークに到着となった。そこは大海山以上に展望が無かった。周囲はすっかり杉の植林地だった。少々がっかりすることになった。それでも少しは展望を得ようと、登れそうな杉の木に取り付くと、5メートルほど登って何とか展望を得た。間近に堂々とした姿の妙見山を見た。その南には中町の田園風景が広がっていた。その528mピークに着いたときは13時を回っており、十分に昼どきを過ぎていた。そこで南へと今少し歩いて木々が疎らになった位置で、漸く昼休憩とした。その休憩地点でも手頃な木に登って展望を得た。今度は妙見山だけで無く千ヶ峰も眺められた。昼食を終えると、改めて三組尾を目指した。南へと尾根を辿って行くと、尾根は痩せ尾根となった。一部で木々は疎らになり、そこからは北向かいの尾根が割と広く眺められた。その痩せ尾根を過ぎると三組尾への最後の登りとなった。そこまでの行程で足は十分に疲れていたが、最後だと思うとけっこうしっかり登れた。坂を登り切って山頂に着いた思ったのだが、そこに三角点は無かった。地図で確認すると三組尾の山頂部は南北に長くなっており、南端側に三角点記号が付いていた。そこまでまだ300mほどあった。展望はないかと探りながら歩くも、とうとう山頂まで展望は無かった。着いた三角点の位置も樹林に囲まれて展望は無かった。仕方なくそこでも手頃な木に登ることにした。やはり5メートルほど登ることになり、北に向かっての展望を得ることになった。その北に見たのは篠ヶ峰だった。三組尾で16時前まで過ごしたことで、夕暮れが近くなっていた。そこで三組尾からは北東方向に延びる尾根を一気に下った。下り着いた位置は小畑集落と西谷集落の境の位置だった。そこから駐車地点までは1kmほどあり、その車道を歩きながら、今日はよく木に登ったものだと改めて思った。
(2002/4記)(2025/5写真改訂) |