TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北但馬
 
来日岳    くるひだけ 566.6m 豊岡市
 
1/2.5万地図 : 城崎
 
【2011年7月】 No.2 2011-76(TAJI&HM)
 
    円山川公苑より  2011 / 7

 円山川の河口が近づくと、この来日岳が西岸間近にすっくと立つ姿が目立ってくる。標高は500メートル台ながら、どっしりと重量感のある姿は堂々としており、登高意欲のそそられる山である。その来日岳を「城崎」の地図だけを頼りに登ったのは1996年1月のことで、雪の積もる中での登山だったが、標高以上に登り応えがあって、良い山だと思ったものである。その来日岳も兵庫50山、兵庫100山と選ばれるようになって、ポピュラーな山に変わってきたようだった。その来日岳を再訪したいと考えたとき、登山ルートは前回と同じく登山道のある東側からとするものの、季節は変えようと考えた。それを実行したのは2011年の7月だった。
 来日バス停を目指して行くと、バス停の隣に車7、8台分の駐車スペースがあった。何の標識も無かったが、バスの方向転換場所でも無いようなので、近くに登山口標識があることでもあり、そこに駐車とする。雲が空の八割ほどを占めるものの、青空も見えるので、まずは晴れと呼べそうな空だった。時間は10時になっており、気温は26℃ほどだったので、少し暑いかと思える程度だった。登山口標識に従って宮代川橋梁の下をくぐると、その先は野道のようになっており、それを歩いて行くと、すぐに登山口標識の前に出た。害獣避けゲートを通って登山道に入る。すぐに登り坂が始まった。周囲の木立は始めは植林が主体だったが、登るほどに雑木が増えてきた。木陰の中を登るようになって、気温は22℃まで下がってきたものの、湿度は高いようで、大汗をかきながらの登りだった。登るほどに登山道の傾斜が増してきたが、しっかり登る感があって悪くは無かった。また周囲の自然林の佇まいも感じが良かった。ただ展望は無かったが、それも登るうちに円山川対岸の尾根が眺められるようになった。また天望と名付けられた所に着くと、そこからも円山川を目にすることが出来た。その天望を過ぎて少し登った位置がピークになっており、「304mの頭」と名があった。その辺りはクマザサが鹿の食害に遭わずによく茂っていた。尾根は緩やかになり、小さなアップダウンを繰り返す。周囲は目に優しい自然林が続いており、尾根の雰囲気を楽しみながら歩いた。前方に来日岳の山頂が見えると、まだ見上げる位置だった。中間点を過ぎて少し歩いた位置より、また尾根の傾斜が増してきた。気温は夏としては低めながらも登り坂が続くため、再び大汗となって歩度がにぶってきた。ただ木陰の中が多いので、あまりばてる感じでは無かった。登るうちに道幅は広くなり、地表は落ち葉に覆われて、道は一段と優しい姿になってきた。足は疲れていても、その風景の優しさに気分としては楽しかった。坂が緩やかになって電波塔が見えてくると、その先が山頂だった。歩き始めてから一時間半だったので、夏としては普通に歩けたと言って良さそうだった。その山頂には電波塔が数基建っており、また車道が通じていたので少し無粋さがあったが、三角点付近は石仏も置かれて、少しは山頂らしさがあった。また展望があるのは良かった。見えるのは円山川流域で、この日の視界はかなり霞がかっていたが、穏やかな流れを見ることが出来た。またそれまであまり受けなかった風も山頂には吹いており、意外と涼しさがあった。上空は雲が広がっているため、直射光を受けないのもかえって助かった。山頂で軽く軽食をとると、木陰で暫し昼寝を楽しんだ。その休んでいる間に山頂に人が現れたが、どうやら車で来た人のようで、登山者の雰囲気では無かった。山頂ではずっと曇り空ばかりでも無く、休むうちに青空の広がることもあって、晴れたり曇ったりを繰り返していた。山頂で涼しさを十分に楽しんだ後、下山とする。その下山の前に山頂そばの展望台に立ち寄ると、円山川の河口風景が眺められた。下山はすんなりと登ってきたコースを引き返す。易しい登山道は下りではいっそうの易しさで、木立の佇まいを眺めながら、また蝉しぐれを聞きながら戻って行った。ほぼ曇り空の下だったので、あまり汗をかくことは無かったが、「304mの頭」を過ぎて下り坂にかかった頃より、木漏れ日が増えてきた。空を見上げると、青空が広がろうとしていた。その後は曇り空に戻ることは無く、青空は更に広がって、麓に下りてきたときはすっかり快晴の空になっていた。
 真夏の来日岳登山はやはり厳しさがあったが、終わってみれば、登山道は十分な登り応えがあるだけでなく優しさもあり、また樹林帯の美しさも楽しめて、来日岳は良い山だったと十分に満足の思いを持つことが出来た。
(2011/8記)(2020/12改訂)
<登山日> 2011年7月23日 10:01来日バス停スタート/10:04登山口/10:31〜35天望/10:38[304mの頭]/10:53中間点/11:22あと10分地点/11:31〜12:38山頂/13:03中間点/13:14[304mの頭]/13:38〜48登山口/13:51エンド。
(天気) 朝は雲の多い空で、青空は少なかった。スタート時の気温は26℃ほどあったが、登るほどに22℃まで下がってきた。但し湿度は高く、また風が無いため、けっこう蒸し暑さを感じた。山頂の気温も22℃ほど。涼しい風が吹いており、気持ち良く過ごせた。空は雲が広がってほぼ曇り空になっていたが、青空の広がることもあった。視界はうっすらとしていた。下山中も曇り空の下で、さほど暑さは感じなかった。その空が、304mの頭を過ぎて急坂下りに入った頃より、急速に晴れてきた。麓に着いたときは、すっかり快晴の空になっていた。
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来日バス停から来日岳山頂がちらりと見えていた バス停そばに来日岳西登山口の標識があった 宮代川橋梁の下を潜る
野道を歩いて行く 除草剤がまかれたようだった 登山口に着いた ゲートを通って登山道に入る すぐに登り坂が始まった
丁石地蔵が点々と置かれていた 始めは植林の中を登った 登山道は急坂で続いた
なかなか展望は現れなかったが、漸く対岸を望む その先で天望と名付けられた所に着く 天望からは円山川が眺められた
 天望を過ぎて少し
 登った所が304
 mの頭だった ク
 マザサが茂ってい
 た

   304mの頭から
   は優しい道が続く
前方に山頂が望めたが、まだ見上げる高さだった 丁石地蔵が続く 中間点と名付けられた所を通る
優しげな道は森林浴の雰囲気だった 次第に尾根の傾斜が増してきた 大木のそばを通る
道幅が広くなってきた すっかり落ち葉が覆っ
ている
あと10分の標識を見る 山頂の電波塔が見えてきた
山頂に着く 芝生の広がる山頂はゆったりとした雰囲気だった 石仏の並ぶ向こうに円山川が覗いていた
山頂の三角点は一等三角点だった 山頂のそばまで車道が通じている 車道に下りると、そばにブナ林があった
車道から山頂を振り返った 南西に少し展望があった 大岡山の彼方にある高峰群は雲に隠されていた
NHKの電波塔のそばからは円山川流域が広く眺められた 視界はモヤがかっていた 豊岡市街の先に床尾山がごくうっすら見えていた
上の写真の法沢山を大きく見る 電波塔のそばでタマゴダケを見つけた ナツツバキが一輪だけ残っていた
山頂から少し離れて展望台が建っていた 展望台からは津居山湾の方向が眺められた
津居湾の風景を見る 上の写真の盛上山を大きく見る 下山は往路を引き返す 優しい森を再び眺める
尾根の痩せた所を歩く 304mの頭を通る 陽射しが長く現れるよう
になった
天望みを過ぎて、急坂を慎重に下る
麓が近づくと、円山川がごく近くに見えていた 登山口のゲートが見えてきた 登山口から見上げる空は、すっかり快晴だった