アルペンガイド別冊「大阪周辺の山」で、淡路島の山として紹介されていたのが、諭鶴羽山と柏原山だった。その柏原山に初めて向かったのは、2002年2月の寒い日だった。洲本市の洲本温泉街を抜けて由良町に入った。その由良町の集落が切れると、その先は水仙郷として名高い立川地区へと入って行くのだが、程なく林道・柏原山線が分かれた。その柏原山林道を起点辺りからハイキングする予定だったので、駐車出来そうな所を探すことにした。そして林道に入って200mほど進んでカーブとなったとき、そこに手頃な駐車スペースを見たので、そこに駐車とした。
ガイド本では林道は荒れており一般車は不向きと書かれていたが、コンクリート舗装された見るからに走り易そうな道だった。そのまま車を進めたくもなったが、歩くことが目的だったので、そのコンクリート林道を歩き出した。尾根に出るまではジグザグ道だったが、尾根に出てからはほぼ真っ直ぐな道となった。その辺りで標高は200mほどか。尾根に出るとまず展望台があり、そこからは紀淡海峡が眺められた。ただ、この日は風が強いにもかかわらず視界はモヤがかっ
ており、特に海ははっきり見えなかった。小休止にとどめ、先を急いだ。終始緩やかな上り坂が続いたが、周囲は照葉樹の森となっており、展望は無かった。その照葉樹林は瀬戸内側と比べても、はっきりと暖帯系のものと思われる明るさがあった。その展望の無い登りが続いた。風は冷たかったが、陽射しが強いため、さほど気にならなかった。尾根に入って2kmは歩いたと思えた頃、漸く海側に展望が開けて来た。南西遠くには沼島が見えていた。その右手に見える高い山は諭鶴羽山だろうか。海岸まで青々とした森が続く風景を見ていると、淡路島の山に登っていることを実感した。その後は一部で下り坂があったが、概ね緩やかな上り坂で、一時間ほど経った頃、行く手に漸く柏原山山頂の一角が現れた。そこから見る限りでは、平坦な山頂に見えた。その先で50m下って登り返すことになったが、その鞍部の辺りは「まなびの森」としてハイキングコースのようになっていた。そして登り返して山頂が近づくと、「柏原山森林公園」の領域に入ることになった。そこには展望台も作られているようだった。登る前はただひたすら静かな山に浸れると思っていたが、それは違っていたようで、山頂そばまで車で来て、そこで軽いハイキングを楽しむのが相応しいようだった。淡路では高峰となるので、山頂を安易な場所にはしてもらいたくなかったと言うのがこちらの思いだった。ただ見る限りでは、作ったものの有効に利用されているとは思えなかった。森林公園の駐車場を過ぎると、少し下り坂になって瀧水寺の麓に着いた。瀧水寺の前まで来てみると、寺は荒れ果てており廃寺のようになっていた。その寺の裏より柏原山山頂への道が始まっていた。その道についてもガイド本ではヤブ道と記されていたが、まずまず登り易い道だった。その道を登って山頂に着いたところ、すぐに見つかると思った三角点が見つからなかった。辺りを捜しまわって、結局同じ山頂でも南のピークで三角点を見た。漸く山頂に着いたが、そこは雑木林に囲まれており、展望は全く得られなかった。もう昼を回っていたので、展望台で昼食をとろうと、コース標識に従って下って行くと、山頂から見て北西の小ピークに北側展望台が建っていた。周囲は草地になっており、展望台に上がると素晴らしい展望が広がっていた。北側展望台だけに北の展望が素晴らしく、洲本の町並みと海、そして先山が尾根を雄大に引く姿が眺められた。そして南西方向では諭鶴羽山など淡路南部の山々が重畳としていた。午前と比べ
て視界はややクリアになっており、おかげでこの展望を十分に楽しめた。ただ、その休憩中に雪雲が空を覆ってきたときがあり、冷い風が強く吹き付けてきた。おかげで何とも寒々とした中での昼食となった。後はまた林道を歩いて戻るだけだったが、その前に南側展望台にも立ち寄った。こちらは周りの木が育ってしまい、木の間越しに紀淡海峡方向が何とか望めた。この紀淡海峡の展望は、結局は尾根の東端にあった展望台での眺めが一番良いようで、帰路でこの風景をじっくりと楽しんだ。
ところでこの日のハイキングでまたハンターを見かけたが、この淡路南端で何を獲物にしていたのだろうかと不思議に思った。
(2002/2記)(2014/11改訂)(2020/12改訂2) |