北摂三田の上本庄に位置する奥山に向かったのは、世間で新型コロナウィルスに対する警戒感が強まっていた2020年3月の春分の日だった。南麓にある駒宇佐八幡神社に近づくと、神社の入口に駐車場を見たのでそこに駐車とした。駐車場を離れて鳥居を潜ると、始めに古色ある参道を歩いて本殿に向かった。長い参道を歩いて本殿に着くと、その右手より登山道が始まっていた。幅広の道が真っ直ぐ北へと向かっていた。その道は登山道と言うよりも堰堤への作業道で、堰堤の手前で細々とした山道が右手斜面に始まっていた。目印テープが点々と付いており、それを追うようにして登った。途中で地図を眺めてみると、破線路は神社の背後より尾根筋に描かれていたので、今歩いている小径は破線コースからは少し離れていた。その小径は程なく尾根筋に近づき、漸く破線コースを辿ることになった。尾根の傾斜はややきつめで少しヤブっぽさがあったが、尾根が緩むと共にゆったりと歩けるようになった。ずっと樹林に囲まれて展望のない登りだったが、尾根の途中で送電塔(東播線33番鉄塔)に出会うとそこはまずまず展望があった。南東に千丈寺山を、南には六甲連山も眺められた。その送電塔を離れると、また樹林の中をずっと登ることになった。登るうちに灌木が増えて、またヤブっぽさが出てきた。小さなピークを越すとほぼ平坦な道となり、程なく奥山山頂に到着となった。そこもすっかり樹林に囲まれて展望は無し。マイナー感は否めない山頂だった。日だまりの中で昼食を済ませると、下山は北東尾根を下った。ヤブっぽい尾根ながら目印テープが点々と付いており、目印テープを追いながらほぼ真っ直ぐ北東に下った。下るうちに前方に展望が現れたが、ただ東向かいの尾根を見るだけだった。沢が近づくと尾根の傾斜が増してきて、木に掴まりながら下った。そして山頂から30分ほどで沢そばに下り着いた。そこは奥山川の源流部で、目印テープはその沢筋にも点々と付いており、それを追って沢筋を下流側へと歩いた。沢は小さな滝もあって渓谷美を見せていたが、はっきりとした小径は無かった。小石も多くけっこう歩き難さがあった。テープを追いながらも歩き易い所を探りながら歩いた。沢筋を20分ほど歩くと堰堤が現れ、その先よりはっきりとした道を見た。そして県道310号線へと近づいた。県道に出ると駐車場まで僅かな距離だった。
(2020/4記) |