TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨
 
点名・毛利    けどり 581.1m 宍粟市
1/2.5万地図 : 山崎
 
【2008年9月】 No.1 2008-88(TAJI)
 
    梯集落の入口より  2008 / 9

 食べ過ぎてお腹がすっきりしないときは登山はけっこう有効で、ちょっと厳しい登山をすると、すっきりと空腹感が戻ってくる。2008年9月の第三週は5日ほど上海へ仕事で出かけていたが、その間に食べ過ぎの日が続いてしまった。帰国したのは20日の夜。空腹を忘れたお腹の状態を正常に戻そうと、21日はちょっと厳しさのある山を登ろうと考えた。20日は台風13号が通り過ぎた後とあって快晴。その台風一過の快晴が数日続くものと考えていたのに、21日は朝から雨が降っていた。その雨の中でお腹をすかせられる山はと考えたが、どうもうまく思いつかなかった。そこで近郊の山に絞って「山崎」の地図を眺めていたとき、宮山を北から登るのも悪くないと思えてきた。そのコースを具体的に考えていると、尾根続きとなる北に小さな三角点ピークが目に付いた。ぱっと見たところ簡単そうに思えてさほど食指が動かなかったが、ただちょっと気になって点の記を読むと、「山頂は岩石が露出しており、そこまで非常に急坂」と書かれている。これで俄然興味が湧いてきて、雨の中だったが、この581mピーク(点名・毛利)を目指すことにした。コースとしては東麓の与位集落側からも西麓の梯集落側からも尾根に出る小径が地図に書かれていたが、尾根の雰囲気が良ければそのまま北へと歩いて行きたいと考えたので、そのときには梯林道で戻るのがスムーズなので、アプローチは梯集落側からすることにした。このアイデアをパートナーに話すと、雨の中はイヤとあっさり言われてしまい、一人で行くことにした。
 姫路市内は小雨が降っていたが、宍粟市の市街地に入る頃には小止みになっていた。これで晴れ間が出てくれればと願いながら、山崎町五十波から梯集落に通じる道へ入った。岩上神社のそばを通る頃には前方にすっきりと三角形の形をした山が見えてきた。山頂には送電塔が建っている。その位置からしてどうやら581mピークと思われた。小ぶりながらすっきりとした姿に、良いイメージを持って登れそうだった。梯集落の奥へと車を進めると、その先から梯林道が始まるのだが、林道起点にはクサリが張られていた。その起点に近い位置の路肩スペースに車を止める。そして登山準備を始めていると、再び小雨が降り出した。始めの考えでは地形図に書かれていた尾根に出る小径を歩いて行こうというものだったが、それだと山頂には少し遠回りになるので、天気のことを考えて、短い時間で山頂に立ちたいと考え直した。そこで地図を改めて見直して決めたのが、山頂から南西に延びる尾根で手早く登ることだった。その間に雷も鳴り出していた。雨具を着てスタートする。まずはクサリを越えて梯林道を歩き出した。そして適当な位置で尾根端に取り付いた。始めは植林の中を登って行くが、足下が軟らかいため少し滑り易くなっており、木に掴まりながらで、ゆっくりとした歩度だった。雨は次第に強くなっており、雷も近づいていた。もう地図を出す余裕も無いので、方向を定めて登り易そうな所を選んでの登りだった。どの辺りなのかを確認しないので、けっこう適当な登り方だった。やや急斜面を踏ん張って登る上に、蒸し暑さの中を雨具を着ての登りのため、すぐに汗みずくになってしまった。そのことよりも間近で雷がものすごい音で鳴り出したのはちょっと困ったことで、何度か足を止めてじっと佇んでいた。途中まで植林が主だったが、尾根が近づくと周囲は雑木帯へと変わってきた。ただ急傾斜は変わらず、きつい登りのままで尾根に出た。それが山頂から南西に延びる尾根で、漸く傾斜が緩くなった。これで楽かと思っていると尾根には岩場があってちょっとよじ登ったりと、気楽な尾根でも無かった。山頂が間近になったとき小さなピークに着いた。そこから少し下って山頂へと最後の登りとなるのだが、そこがすっかり岩場になっていた。しかも急傾斜でちょっと登るのは無理ではと思えた。そこで左右どちらかに迂回しようかと考えたが、そちらも急傾斜だった。そこで改めて岩場を見ると、急傾斜と言っても手がかりがありそうで、慎重に登れば登って行けそうに思えた。雷も少し遠くから聞こえるようになっており、そこで思い切って正面の岩場を登って行くことにした。雨で滑り易くなっていたが慎重に登って行く。そして何とか岩場を登り切ったときは、ほっとする思いだった。また面白かったの気持ちもあった。もう山頂は数メートルと離れていない。振り返ると視界を遮るものは無いので、展望は良さそうだったが、雨とガスとで周囲の山並みはすっかり隠されていた。山頂に出ると、そこはごく狭い所で、あるはずの三角点が見当たらなかった。一瞬山頂では無いのではと考えたが、そこより高い位置は無いので、改めて足下を探ると、木の葉の下から三角点が現れた。その山頂の位置も展望は良さそうだったが、ガスでほとんど見えなかった。近くの宮山がうっすら分かる程度だった。この天気ではそれ以上登山を続ける気にはなれず、暫しの休憩の後は下山することにした。漸く雷は鳴り止んでおり、雨も小雨程度になっていた。下山は南へと続く尾根を歩いて、宮山との鞍部より地形図に示された破線路で下ることにした。ところが始めに急斜面があり、そこを歩き易い所を選んで尾根を目指しているつもりが、尾根とは離れた位置を下っていることに気づいた。その位置より尾根を目指してもよかったが、小さな山なのでそのまま歩き易い所を選んで適当に下っても問題無さそうだった。そこで軌道修正せずにそのまま下ることにした。雨で地面は緩くなっており、ときどき滑りそうになったが、掴まる木も多くあって、さほど危ないとも感じず無難に下って行けた。麓に着く直前に害獣避けの柵があり、それを越すのに手間取ったが、車道に出るとそこは駐車地点とはごく近い位置だった。あいにくの天気でかなり無茶な登山になってしまったが、岩場の面白さもあり、改めて登ってみたいと思った。そして次こそは山頂展望を楽しもうと思った。そのちょっと充実感を持って車のそばに戻ったとき、気持ちが暗転した。少し足首辺りがかゆいと思ってズボンの裾をめくると、そこに山ヒルが一匹貼り付いていた。これは手抜かりだったとあわててもう一方のズボンの裾をめくると、何とそちらには小さな山ヒルが4匹貼り付いていた。あわてて剥がしたが、当然足は血だらけだった。山ヒルの多い宍粟市南部の山でしかも雨の中、それもじっと佇んでいた時間の長かった結果だった。その予防を考えていなかった自分のうかつさに腹立たしくもなり、もう山のことは忘れてただ情けない思いで帰路についた。
(2008/12記)(2021/3改訂)
<登山日> 2008年9月21日 10:55梯林道の起点をスタート/11:42尾根の岩場に出る/11:53〜12:03山頂そばの小ピーク/12:14〜30山頂/13:25〜30展望地/13:55エンド。
(天気) 小雨から雷を伴うやや強い降りへと変わる。気温は22℃で蒸し暑さを感じた。視界はほとんど無し。下山を終える頃に雨は止んだ。
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駐車地点から南を見ると、宮山が望まれた 適当に植林地の山すそに取り付いた 登るほどに急傾斜になってきた
   
登っているとき、大きな岩に出会った 南西尾根は緩やかに続いた 山頂手前のピークから山頂方向を見る
   
山頂の手前は岩場になっていた 山頂に着いて、北に続く尾根を見る 山頂の四等三角点を見る
   

 山頂から南を見る
 とガスの薄れたと
 ころから宮山が現
 れていた

 下山中に、木立の
 空いた所から麓の
 梯集落が眺められ
 た