大路山はその背後の尾根の方が高いのだが、国道312号線側からは背後の尾根は見えないため独立峰の感じで眺められて、存在感のある山である。その大路山を再訪しようと向かったのは、初登山から22年後の2017年6月のことだった。登山コースは前回とは変えて、大路ダム側から登ることにした。
大路ダムへは道幅は狭いながら舗装路があり、スムーズにダム湖畔に着くことが出来た。ダム湖の湖畔からはけっこうすっきりと大路山が眺められて、登りたい気持ちを高揚させられた。ダム湖側から大路山へと向かえる尾根は、ダム湖の北西の位置から始まる尾根とその一つ西隣の尾根の二つがあるが、往路はダム湖に近い尾根を登って行くことにした。但し地図を見ると作業道が途中までその尾根と平行して北に向かっていたので、最初は作業道を歩くことにした。車を大路ダム湖の北西の位置まで進めると、その辺りの路肩は広くなっていたので、手頃な所に車を止めた。そこよりまずは車道を西へと歩いた。すぐにクサリが現れて、一般車は進めなくなっていた。そのクサリを越えると作業道が右手から始まっていたが、その起点部にもクサリが張られていたので、それを越えて先へと進んだ。ちょっと草むした作業道だったので、車の走行はほとんど無いように思われた。尾根と作業道の間には小さな沢があり、作業道が尾根から離れ出したとき、その沢を渡って斜面に取り付いた。尾根までの距離は僅かで、すぐに尾根に出るとそこに尾根道を見た。どうやら尾根端となるダム湖のそばから尾根道は始まっていたようだった。後はその緩やかな尾根道を歩いて行くだけだったので、けっこうスムーズな登りだった。尾根道の周囲は雑木林で、植林が現れることは無かった。その雑木林が視界を遮るため、展望に関しては良くなかった。一度木立の空いた所から朝来山が眺められた程度だった。尾根の途中で平らな所が現れると、そこに石垣や礎石を見たので、以前はお寺でも建っていたように思われた。後で調べると、そこは千眼寺砦跡のようだった。山頂が近づくと西の方向へと歩くようになり一度尾根筋を離れたが、山頂が間近になって再び尾根を歩いた。そして歩く方向は南となって山頂到着となった。山頂は三角点周りが少し開けているものの、周囲は雑木林が囲んでいるとあって展望は悪かった。また三角点の辺りはアセビが増えようとしていた。そのアセビを避けるようにして休憩とした。展望が悪いと言っても木々の空いた所からは遠方が見えていたので、今少し展望を得ようと手頃な木に登ってみた。すると一気に展望が広がって、東の方向に朝来山を、遠くは千ヶ峰も望まれた。下山は往路で登ってきた尾根の一つ西隣の尾根を下ることにした。その尾根は山頂から始まっており、南南東へと向かって下り出すと、はっきりとした尾根道は無いものの尾根筋は空いていたため、無理なく下って行けた。目印のヒモもときおり見かけた。この尾根は往路の尾根と比べると少しは展望があり、始めは南南西の方向に物部山を、途中からは東の方向に粟鹿山と朝来山が眺められた。地図を良く見ると尾根筋に岩場の記号が付いていたが、そこは下るのが難しくなるような岩場でも無かった。下っていると尾根筋が二手に分かれるときがあったが、小さな標識があり、左手が大路ダムに通じていることを示していた。そこで左手の尾根へと入った。その途中で展望地が現れて、足下に大路ダム湖が眺められた。また東へと沢に向かう小径を見たが、あくまでも南南東へと尾根を辿った。下るうちに尾根筋が少し不確かになったが、作業道が近くなっていたこともあって作業道へと適当に下ると、崩壊地が現れた。その先に作業道が見えたので、崩壊地を下って作業道に下り着いた。作業道を下ると4分で往路で離れた位置に着き、更に7分で入口に着いた。そこから駐車地点は指呼の距離だった。
(2017/6記)(2020/4改訂) |