TAJIHM の 兵庫の山めぐり <北但馬 
 
大野山    おおのやま 615.4m 新温泉町
 
1/2.5万地図 : 味取
 
【2006年7月】 2006-47(TAJI&HM)
 
   北向かいの城ヶ山より  2006 / 6

 氷ノ山から青ヶ丸へと続く尾根は春遅くまで雪が残っており兵庫でも抜きん出た豪雪地帯だが、その北に位置する新温泉町も雪の多い所と言えるだろう。その新温泉町にあって春来集落は高地にあるだけに、雪の多さは十分に想像出来そうである。その春来集落の山として、城ヶ山と大野山が「但馬ハイキング」に紹介されていた。2006年6月に入って、久々に但馬の山を訪れたくなり、春来集落に興味があったこともあり、「但馬ハイキング」を参考にこの二つの山を訪れることにした。
 この日は晴れの予想だったが、雨こそ降らぬもののまさに梅雨空で、どんよりとした雲が空に広がっていた。春来集落の中でも高台にある春来小学校のそばに車を止めて、まず始めに登ったのが城ヶ山で、その城ヶ山の山頂に近い曲輪跡に立つと、南向かいに大野山が少し木々に隠されながらも大きく見えていた。その山頂は平らになって台形の形をしており、麓との標高差は200mほどのためか威圧感は無かった。その姿からよほどのヤブで無い限り、登るのは難しいそうには見えなかった。その曲輪跡からは大野山の右隣に大峰山がすっきりと見えており、こちらは標高が800mを越えているとあって、大野山よりもずっと立派に見えていた。登高意欲をそそられたが、この日二つめの山として手頃な大野山を、予定通り目指すことにした。城ヶ山から下山を終えて春来集落に戻って来ると、集落を貫く旧国道9号線を東へと歩いて行った。緩い上り坂になっており、その一番高い所が春来峠だそうだが、特に標識は無く一番高そうな所を峠と見なすしかなかった。そのそばから南の方向に道幅の狭い林道が始まっていた。その林道に入ると、緩やかな上り坂となって山中へと入ることになった。すぐに棚田に出会い、その棚田を左手に見ながら今少し進むと次に畑が現れた。道をそのまま進むと集落に戻りそうなので、左手の小径に入った。山頂の方向に真っ直ぐ向かっ行くと、道はすぐに草深くなって判然としなくなってきた。ただその方向は三角点の近くに出そうなので、そのまま歩き易い所を選んで適当に進むことにした。始めは谷筋を歩いていたのだが、右手の尾根の方が木々が疎らで歩き易そうに見えたので、尾根を登ることにした。その尾根にはクマザサが生えていたが、疎らなため登る妨げにはならなかった。むしろ自然なままの尾根歩きが楽しめて、小径があるよりも良い雰囲気で登って行けた。ただその尾根を歩き始めた頃より、小雨がぱらついて来た。少しぐらい雨に濡れても良いと気楽に登っていると、山上に出る頃には止んでいた。その山上はクマザサが広がっており、そこに植林もあって少し平凡な風景だった。まずは三角点ピークに立とうとクマザサをかき分けて東の方向へと登って行った。さほど進まないうちに南の間近い所に小径のあることが分かった。その小径に出るとそこには電線の無い電気柵があり、南側の疎らな木々の隙間を覗くと山の斜面は草地になっていた。どうやら一帯は牧場のようで、今立っている小径は牧場の北限に付けられた道のようだった。但し放牧されている牛は見えず、また電線が外されていることから、今は牧場を止めているのかも知れなかった。その小径を東へと歩いて最高点と思われる辺りで再び植林の中に入ると、あっさりと三角点(点名・春来)を見た。そこは単なる植林地の中なので、すぐに小径に出て改めて山上からの展望を求めた。南の木々は疎らと言っても切れ目が無く、そこで手頃な木に登ってみた。すると遠くに孤高のごとく整然と立つ山が見えた。氷ノ山のようだった。そうなると左の山は鉢伏山で、その東に長く続く尾根にあるのは蘇武岳から妙見山ではと思われた。天気も少しは持ち直して、空の明るさが増していた。この展望を得て、漸く大野山の但馬で占める位置が実感出来た。このときひょいと山並みの手前を見ると、車が走っているのが見えた。大幹線の国道9号線だった。この大野山がちょうど春来トンネルの上に位置していることが良く分かった。こうして展望も得られたことでもあり下山することにした。下山は尾根を西へと歩いて、尾根越しの車道に出ることにした。その方向は牧場北限の小径を歩いて行くことにもなるが、このとき何カ所かで南に展望が開けて、先ほどの木に登ったときと同じく、氷ノ山を中心とした山並みが眺められた。牧場の小径はやがて麓の方向となる南へと折れたため、後は尾根なりに西へと下って行った。辺りの木々は自然林に変わっており、その中を適当に下って行くと中腹辺りではっきりとした小径に出会った。先ほどの尾根道は牧場の巡視路の雰囲気であったが、新たに出会った小径は遊歩道の雰囲気があり、近くにはベンチも置かれていた。その小径は北西方向に向かっており、そちらは駐車地点となるので、渡りに船と小径を辿ることにした。下るうちに次第に草深くなってきたところをみると、あまり歩かれていないようだった。更に下って行くと道自体が不確かになって遊歩道の雰囲気は消えてしまった。それでも道と思えるところをひたすら辿ると、再び道らしくなり、最後は尾根越しの車道に合流した。その合流点には遊歩道の標識が立っていた。どうやら租岡高原から始まって森林浴としてのコースのようだったが、今はほとんど利用されていないようだった。その車道に出てから15分ほどで、駐車地点に戻り着いた。大野山は山頂への道としては、南麓の牧場側からの道のみのようだったが、尾根にはヤブと言えるほどの所も無く、適当に自然林を楽しむ気持ちで尾根を登れば、山上では雄大な眺めにも出会えるので、新鮮な気持ちの持てる山ではと思えた。
(2006/7記)(2012/4改訂)(2022/2写真改訂)
<登山日> 2006年6月17日 13:40春来峠スタート/14:13尾根着/14:25〜45山頂一帯で過ごす/15:20車道出合(遊歩道入口)/15:34春来小学校前エンド。
(天気) どんよりと曇った中を登り始めると、尾根の途中で小雨が降って来た。その雨も長くは続かず、後は曇り空から少し持ち直して薄曇りへと変わる。山上は涼しさがあり、視界はまずまず良かった。下山が終わった頃より晴れの兆しが見えて来た。
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旧国道9号線を春来峠へと登って行った 春来峠のそばからは、細い林道が分かれていた 林道を歩き始めると、最初に棚田の風景が現れた
山上に出ると、牧場の北限を示す小径が尾根に沿って続いていた 山頂の木立の中に、三等三角点(点名・春来)を見る 山頂一帯は雑木林が広がっていた
山頂そばの牧場の巡視路からは、南の展望が素晴らしかった 大峰山の東側に柤大池公園を見る

(←)
上の写真の氷ノ山
を中心に大きく見


 (→)
  位置を変えると、
  足下に国道9号線
  が望めた

(←)
小径のそばでヤマ
ツツジが咲いてい


 (→)
  下山は西尾根を下
  っ行く 足下に牧
  場の建屋が見える
  ようになった
尾根を西へと辿ると遊歩道に出会った そのそばにはベンチも見かけた 遊歩道を下って行くと、ヤマボウシがひっそりと咲いていた 遊歩道を最後まで下ると、租岡高原から続く車道に合流した
後は車道を歩いて、駐車地点へと戻って行った 春木集落に入ったとき、城ヶ山をすっきりと見る 車を止めている春来小学校が見えてきた