国道312号線を北上しているとき、竹田城跡の辺りまで来ると、北に台形の姿で室尾山がすっきりと眺められる。その室尾山を久々に登ろうと向かったのは、2020年6月中旬、梅雨の中休みの日だった。本来なら南麓の法宝寺からのコースを登るのだが、暑い季節になってきたことでもあり、中腹のキャンプ場から歩き始めることにした。
和田山町室尾に入って室尾山の南麓に近づくと、林道の入口が現れてそこに中腹にある施設の標識を目にした。その林道がキャンプ場に通じる林道だった。舗装林道に入ると、やや急坂の上り坂が続いて、もくろみ通りキャンプ場に着いた。時間は11時になっていた。誰もいないキャンプ場は敷地の入口にロープが張られていたので、入口近くの路肩が広くなっている所に駐車とした。この日は快晴で天気は申し分なかったが、心配は山ヒルのことだった。山ヒルが多い室尾山を梅雨の季節に登るのだから、足下には十分に注意が必要だった。それでも血を吸われたときは残念と思うことにして、足下はスパッツを付けただけで歩き始めた。キャンプ場の入口に室尾山の標識が立っていたので、それに従うとキャンプ場を抜けてスムーズに山中に入った。その登山道はハイキングコースとしてはけっこう上位に位置付けしたくなる感じの良い道で、歩き易いのはもちろんだが、周囲の自然林の美しさを楽しめるコースだった。しかもこの日は暑さとは無縁で涼しい中を登れたのも良かった。つづら折れの緩やかな登山道を登って尾根筋に近づくと、男山へのコースが分かれた。その男山に少し興味が起きたので寄り道することにした。男山は分岐点から100mとごく近くにあり、さほど登ることもなく到着した。そこは地図には標高点も記されていなかったが、手書きの標識があり470mと書かれていた。ベンチが置かれてはいたが展望は皆無だったので、すぐに引き返して室尾山山頂を目指した。先ほどの分岐点の先でコースは南西尾根の上に出て、真っ直ぐ山頂に向かうようになった。やや急傾斜となったが、道幅はたっぷりとあり歩き易いことに変わりなかった。そして男山コース分岐点から25分で山頂到着となった。そこは三等三角点(点名・岡田山)を中心に開けていたが、周囲は樹林が囲んでおり、展望は西から北西にかけてに少しあるだけだった。その山頂では涼しい木陰で昼休憩としたが、その後に東西に長い山頂の東端まで歩くことにした。前2回の登山ではどちらも東端まで歩いていなかったことが心残りになっていた。地図を見ると西端の三角点ピークと東端のピークとでは標高差は10mも無かったので、ごく緩やかな尾根道歩きだった。尾根筋ははっきりしており、そこも自然林が美しかった。それを眺めながら東端まで来てみると、そこは木陰が多く休むには良い所だったが、展望は乏しかった。その東ピークからは北へと緩やかな尾根が始まっていたので、その尾根を少し下ってみることにした。すると初めに北西の展望が現れ、次に樹林帯を抜け出ると、どんとばかりに前方に西床尾山が眺められた。これで展望に関しても満足出来たので、東ピークへと引き返した。更に三角点ピークへと戻って下山の途についた。午後も涼しさは変わらず、自然林の風情を楽しみながらゆっくりと戻って行った。
ところで山ヒルのことだが、スタート時から全く気にしていなかったのだが、下山を終えて足下を調べてみると、スパッツの中で2カ所が噛まれていた。やはり室尾山では山ヒルに注意が必要なようだった。
(2020/7記) |