二度目の妙見山は前回登山から15年後の2015年1月18日、日曜日のこと。前年の暮れに宝塚市の釣鐘山を登っていたのだが、そのとき山上から妙見山が眺められた。妙見山の記憶が薄れてきていたことでもあり、もう一度登ってみようとの気持ちが起きてきた。そこで再訪と決めたのだが、今回は電車利用で計画した。そしてせっかく妙見口駅まで行くのなら、もう一つ山を登ろうと、妙見山よりもアプローチの簡単な高代寺山を併せて登ることにした。
阪急電車、能勢電鉄と乗り継いで、妙見口駅に降り立ったのは朝の9時のこと。先に高代寺山へと向かった。こちらは標高が低いだけで無く距離も短いとあって、妙見口駅には11時過ぎに戻って来られた。少しお腹が空いていたので、駅の待合室で早めの昼食とした。そして改めて妙見口駅から妙見山を目指して歩き始めたのは11時22分だった。まずは妙見ケーブルの黒川駅を目指す。黒川駅へは標識があって、迷わず進んで行けた。単に妙見口駅の駅前通りを北へ歩いて行くだけだった。駅を離れて15分ほど歩くと、国道477号線に合流した。その国道沿いの歩道を北へと歩く。小さな峠を越えて大阪府豊能町から兵庫県川西市に入った。程なく右手に妙見の森ケーブルへの道が分かれると、その麓側の駅である黒川駅までは僅かな距離だった。ケーブルは冬季は休業とあって、駅前は静かだった。こちらは歩いて登るので、駅の右手の道に入った。新滝道コースだった。沢に沿っての車道を歩くことになり、車道は次第に細くなって車一台分の道幅となった。白滝稲荷神社の横を過ぎると更に細り、軽自動車がやっとの道幅となり、そして単に山道と呼べる小径となった。それでもまだ舗装の道だったが、道そばに点々とあった建物を見なくなる頃には土道に変わっていた。前夜の雪で辺りは白くなっていたが、登山道は朝からの登山者のために、既に土の色に戻っていた。登山道は概ね参道と言って良く、階段の所もあったりして、良く整備されていると言えた。ときおり下山者とすれ違うも、冬季とあってハイカーは少ないようで、ごく静かな登山道だった。山上が近づくと階段の道が続くようになり、前方から人の声が聞こえるようになった。そして一般車道と合流すると、雰囲気が一変することになった。おみやげ物屋があり、そばには広い駐車場があって多くの車が止まっていた。もうその辺りから日蓮宗霊場「能勢妙見山」の境内のようで、山上と言うよりも門前の賑わいがあった。ほとんどは参詣客で、ハイカーはちらほら程度だった。山門への石段が北の方向に始まっており、それを登って行くと三角点を示す標識が現れた。それに従って右手の道に入ると、緩やかな上り坂を歩いて山頂に着いた。そこは広場になっており、彰忠碑が建っていた。その一角に四等等三角点(点名・妙見山)を見た。周囲は木立が囲んでいたので山頂からの展望は無かったが、近くに風変わりな建物が見えており、そこのテラスが展望が良さそうに見えた。そこで石段に戻ってそちらの建物へと向かった。建物は星嶺と名付けられた信徒会館で、外のテラスに立つと、そこは予想通りの好展望台だった。南に大阪湾を、南西に六甲の山並みが眺められた。但し冷たい風を受けることになり、それを我慢しながらの展望だった。その後は山門を通って賑わっている社務所の前に出た。本殿を始めとして多くの建物があり、その前を通って駐車場方向へと戻った。下山はコースを変えて大堂越コースを下ることにした。その大堂越コースの分岐点は、新滝道コースが車道に合流した地点とほぼ同じで、土道の車道で始まった。車道はごく緩やかな下り坂で、西の方向へと歩いて行くとリフト乗り場の前に出た。そこからも六甲山の方向が眺められた。これで展望は終わりかと思って車道を進むと、次に現れたのが法華経寺永楽霊園だった。何気なく墓地の方向を見ると、そちらには視界を遮る木立が無かった。どう見ても展望が良さそうだった。そこで部外者ながら墓地に入ると、そこには予想以上の展望が待っていた。南西の六甲山系から北の剣尾山まで一望で、暫くはこの眺めに魅入ってしまった。これで十分に妙見山を味わった思いとなり、後は車道に戻って下山を続けた。程なく車道から大堂越へと向かう登山道が分かれたので、そちらへと入ると、再びハイキングの雰囲気となった。良く踏まれた道で、気楽に下って行けた。もうずっと樹林に囲まれた中での下りだった。大堂越に着くと登山道は尾根を離れて南に向かい出したが、ここで別のプランを実行することにした。それは大堂越を挟んで妙見山と対峙する547mピークに立つことだった。山名としては、振野と山名らしからぬ名前で呼ばれているようだった。大堂越とはさほど離れておらず、標高差も100m程でしかなかったので、ちょっとした寄り道だった。始めに植林地を登った。はっきりとした道こそなかったが、樹間が空いていたので無理なく登って行けた。尾根の傾斜が緩んで山頂が近づくと、自然林に笹が広がるようになった。笹も疎らで、煩わしくも無く歩けた。一応目印も着いていたので、それを追って行くと程なくピークに着いた。但し三角点が見えなかったので、山頂では無さそうだった。周囲を見ると西の方向が若干高いようだった。またそちらにも目印も見えたので、改めて目印を辿った。すぐにピークに着くと、そこに三等三角点(点名・野間)を見た。その辺りも疎らな笹地で、周囲の自然林が視界を塞いでいた。展望は期待していなかったので、すぐに引き返した。大堂越に戻ると、後は南へと登山道を辿った。次第にはっきりとした沢沿いを歩くようになった。右岸側を歩いたり左岸側を歩いたり、ときに沢の中を歩くこともあった。樹林帯を抜け出して畑地が現れたかと思うと、すぐに黒川駅が現れた。後は知った道とあって散歩の感じで妙見口駅へと戻った。姫路に住んでいると妙見山はずいぶん遠いと思っていたが、電車の接続が良いことが分かったので、今少し遠い北摂の山も電車利用が面白いのではと思えた。
(2015/2記)(2020/9改訂) |