このところ4月になるとヒカゲツツジが咲く丹波の山を登っており、2020年は八ヶ尾山を訪れることにした。ただ例年なら四月の中旬以降で目指すのだが、2020年は暖冬の影響でどの花も開花は早いようだった。そねためヒカゲツツジも早く咲き出すのではと考えられて、4月10日といつもより10日ほど早く丹波に出かけた次第だった。
丹波篠山市に入り、国道173号線を北上していると、桜並木が満開で迎えてくれた。これで上空に青空が広がっておれば言うこと無しだったが、この日の空は晴れとは呼べるものの雲の多い空だった。程なく見えてきた八ヶ尾山の上空も雲が広がっていた。国道173号線を離れて小原集落に入ると、山裾を走る林道に向かった。林道に入って西へと向かって行くと、八ヶ尾山のほぼ真南の位置まで来たとき、小さな登山口標識が現れた。「八ヶ尾つまご坂登山口」とあり、そばに2台分ほどの駐車スペースを見たので、そこに駐車とした。登山口には小さな祠が置かれており、そのそばを通って登山道に入った。細々とした登山道だったが、ヤブの感じは無くスムーズに登って行けた。登るほどに満開のコバノミツバツツジやアセビを見るようになった。またときおり満開のタムシバを見た。少し残念なのは青空が広がらないことで、空の七割ほどを雲が占めていた。そのため陽射しを受けている中で眺めることは少なかった。登山道は急坂部分は無いものの緩やかな所も少なく、傾斜としてはややきつめで続いた。ヒカゲツツジが現れたのは尾根が緩やかになって山頂が近くなってからだった。それでもほぼ満開の姿になっていたのは良かった。ただやはり時期が早かったのかヒカゲツツジの木は少ないようだった。山頂に着いたのは登山口から55分後だったので、やはりつまご坂コースは八ヶ尾山への最短コースのようだった。その八ヶ尾山の山頂は広く開けており、視界を妨げる木々はほぼ無かった。おかげで360度と言っても過言でない眺望があり、その上この日の視界は澄んでいるとあって申し分のない展望を楽しめた。その山頂に着くのを待っていたかのように上空は青空が広がり出して、暖かい陽射しの中で過ごせることにもなった。昼食後は西の方向へと尾根を歩いて四十八滝側に下ることも考えていたのだが、展望を楽しんでいる間にまた雲が広がってきた。その空を見て尾根歩きを続ける気持ちが萎んでしまった。そこで下山はあっさり歩いてきた道を引き返すことにした。そして再びヒカゲツツジやコバノミツバツツジを愛でながらつまご坂コースを戻って行った。
(2020/10記) |