三度目の妙見山は、10年後の2016年6月最終日曜日だった。前日の天気予報では兵庫全域で晴れとなっており、その予想通り播州南部の空は晴れていた。そこで播但道を走って但馬の山へと向かったのだが、北に向かうほど雲が増えてきた。神河町まで来て北の山並みが見えてくると、高い山にはガスがかかっていた。その空を見て北へ向かうのは諦めて、急きょ神崎南ICで播但道を離れた。そして目標を多可町の妙見山に切り替えて、高坂トンネルへと向かった。妙見山も再訪したかった山で、但馬の山を諦めた時点で、すんなりと思い付いた次第だった。高坂トンネルを抜けると、妙見山がうっすらとした視界の中に姿を現した。そちらは曇り空ながら雲は薄いようだった。前回と同様に多可高校のそばからのコースを目指したが、駐車地点は登山口のそばではなく、那珂ふれあい館の駐車場とした。後は妙見山の案内標識に従って歩いた。すぐに林道に入ることになり、そして害獣避けゲートを抜けた。林道を10分ほど歩くと、左手より登山道が始まっていた。それが東山コースだった。登山道の傾斜は緩く、無理なく登って行けたが、この日の湿度はけっこう高いようで、すぐに大汗になってきた。その東山コースだが、コース標識が整備されたようで、合目の標識を見るようになった。一合目があり、そして三合目に着いたときにコースは二手に分かれた。右手が主コースで、左手が城山に通じる道だった。前回は城山に登っていなかったので、この日は寄り道することにした。城山のピークと分岐点との標高差は60mほどだったので、僅かな時間でピークに到着となった。ピークは城山らしく平坦地になっており、まずまずの展望があった。但し一度整備された後に放置されていたようで、灌木類が育っ少して雑然とした姿になっていた。少し離れて南にもピークがあり、そちらも雑然としていたが、笠形山が眺められた。城山から主コースに戻ると、北へと登って行く。次第に傾斜が強くなってきた。七合目まで来ると露岩地が現れて、その辺りは木が伐られており、好展望地になっていた。南の方向が広く開けていたが、梅雨空とあって薄ぼんやりとした視界だった。その近くには「あまんじゃこの忘れ石」があるようだったが、よく分からなかったので探さず先へと進んだ。619mピークは展望台になっており、七合目と同じく南に展望が開けていた。一度鞍部へと下り登り返すと九合目があり、避難小屋が現れた。小屋と言うよりも、ただ雨を防ぐだけの建物だった。もう山頂は近く、小屋から3分で山頂到着となった。山頂は岩場になっており、そのそばを登山道は北へと続いていたので、ただの岩場と見てしまえば通り過ぎそうだった。その岩場に山名標識が見えたので、そこが山頂であることを知ると共に以前の記憶がよみがえった。岩場の上に立つと、20年以上前より置かれている方位盤を見たが、アクリル板はすっかり曇っており、方位盤の役目を果たしていなかった。まずは岩場に腰掛けて昼食とした。モヤの強い視界ながら山頂からは西に笠形山から千ヶ峰、またに山までがすっきりと眺められて、以前ほどでは無いものの好展望が楽しめた。この日は単独行であったため山頂では長居をせず、10分ほどの休憩で下山の途についた。下山は往路を引き返さず、牧野側に下りる登山道に入った。こちらの道は始めこそはっきりした登山道だったが、小さな尾根を巻いて東へと下るうちに、はっきりしない所が現れた。但し目印は付いていたので、目印を確認しながら下った。足下には小石が多く少し歩き難いこともあって、往路のコースと比べるとマイナーな道との印象を受けた。麓が近づくと植林地に入り、そして林道に下り着いた。後は林道を歩いて那珂ふれあい館へと戻るだけだったが、この林道歩きがけっこう長かった。長い上に上り坂になっている所も多くあり、気楽に歩ける訳でもなかった。東山コースの登山口まで40分かかることになり、ようやく知った所が現れたとの思いだった。そこから更に10分歩いて、那珂ふれあい館に戻ってきた。空は今にも雨が降り出しそうな暗い空に変わっていた。
この日は妙見山を周回で登ったことになったが、登山道の状況と長い林道歩きを考えると、東山コースをピストンする方が登山として楽しむ分には良さそうだった。
(2016/7記)(2020/6改訂) |