◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <北但馬編> ★ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
高竜寺ヶ岳 こうりゅうじがだけ | 696.7m | 豊岡市 京丹後市(京都府) |
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1/2.5万地図 : 須田 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2011年2月】 No.2 | 2011-17(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
但東町坂野より 2011 / 2 |
2011年1月の但馬は大雪が何度かあり、特に但馬北部はたっぷりと雪が積もったようだった。それが2月に入ると、途端に穏やかな天気が続くようになり、5日の土曜日も晴れ間が出るようだった。そこでこの季節でないと見られない風景を求めることにした。それは標高が低くとも、たっぷりと雪の積もる山に登ることだった。そして選んだのが、但馬丹後の国境に立つ高竜寺ヶ岳だった。その高竜寺ヶ岳には98年4月に登っており、山頂の優しげな佇まいに心が休まる思いで、印象は悪くなかった。ただそのときは4月の季節がらかひどい春霞で、視界は楽しめなかった。そこで冬なら視界が悪く無かろうと思え、その考えもあって、高竜寺ヶ岳に登ってみたくなったものである。その高竜寺ヶ岳への登山コースは冬季とあれば易しいコースでと考え、但馬と丹後を結ぶ「たんたんトンネル」の、京都府側に抜けた位置から始まる林道コースとすることにした。 国道312号線を北上していると、播州ではほとんど見られなかった雪が、生野に入ると途端に見られるようになった。どの家の屋根も白くなっていた。但し雪は少なく、屋根の雪は10センチまでのように見えた。それが和田山町に入り、更に国道9号線に入って上夜久野から県道63号線を走る頃より一気に増えてきた。周囲はすっかり雪景色で、どの家の屋根にも50センチ以上の雪が載っていた。小坂峠を越えて但東町に入っても変わらず、中には1メートル近い雪を屋根に載せた家も見られ、雪下ろしが急務ではと思われた。周囲はそのような豪雪地の風景だったが、路上は数日の暖かい天気のためか雪のかけらも無かった。おかげで走るのはスムーズだった。国道482号線を走ってたんたんトンネルを抜けると、すぐの場所に方向転換用なのか、広い範囲で除雪されている場所が現れた。その一角のじゃまにならない位置に駐車とする。その駐車地点は国道の東側であり、西側から林道が始まっていた。但しそちらは除雪されておらず、いきなり1メートルを越す雪の壁になっていた。最初からスノーシューを履いてスタートする。そばに温度を表示する標識があり2℃を示していたが、それほど低いとは思えず、こちらの温度計を見ると5℃を指していた。雪面にはうっすらとトレースが付いていたので、数日前に数人で歩かれたものではと思われた。そのトレースを追って歩き始める。小さな沢に沿って歩くが、林道の雪は更に増えて、1.5メートルほどではと思えた。トレースはずっと続くものと思っていると、ときに消えることがあった。歩かれた後に少し雪が降ったようで、隠れている所もあるようだった。前方に堰堤が見えてくると、もうトレースは見えなかった。林道も終わったようで、コースがはっきりしなくなった。沢沿いに小径が続いているように見えたので、それがコースではと思えて、沢沿いを歩いて行くことにした。それまではほぼ平坦な道だったが、漸く傾斜が増してきた。堰堤のそばを過ぎると斜面を無理に歩いているようになり、どうもその下に小径があるようには思えなくなった。どうやらコースでは無かったようだった。引き返して正しいコースを探してもよかったが、その先の急尾根を見上げると、無理をすれば県境尾根に出られそうに思えた。そこで無理をして登ることにした。距離としてはこちらの方が近そうだった。それがいざ急尾根に取り付いてみると、斜面の雪は柔らかく、それまではスノーシューのおかげで10センチほど潜るだけだったのだが、一歩一歩が30センチ以上は潜ることになった。植林に掴まって体を引き上げるようにして登って行ったが、ときにずり落ちたり、膝上まで潜ったりと、これはけっこう厳しい登りだった。途中からは息が上がってしまい、何度も足を止めて息を整えた。久々にきつい雪山を登っていると思えた。周囲の木立は始めは人工林だったが、次第に自然林に変わってきた。掴まる木が多くなって助かる。後ろを振り返ると、パートナーがこちらが付けたトレースのままを登っている。トレースがあるためか、さほど疲れてはいないようだった。左前方に県境尾根が見えていたが、それが近づいてもなかなか傾斜は緩くならなかった。漸く尾根が緩くなったときは、堰堤のそばを過ぎてから50分ほど経っていた。緩くなると雪は少し固くなって、スノーシューもあまり潜らなくなった。少し進むと、北から来ていた尾根に合流した。前方に木立を通して高竜寺ヶ岳の山頂が見えていた。緩やかなままに進むと、少時で県境尾根に合流した。その県境尾根にはうっすらとトレースが付いていた。そして登山コースがあることを示すように、尾根筋だけ白い道となって木立が生えていなかった。もう後はコースなりに登って行くだけだった。上空はうっすらと青空が見えており、ときおり穏やかな陽射しが現れた。いくぶん気温は上がって8℃になっていた。始めは西の方向へ緩やかに歩いて行く。右手前方に北西尾根の小さなピークが見えていたが、ごく近いのにうっすらとした見え方だった。この日の高竜寺ヶ岳は展望も期待していたのに、2月だと言うのにまたもや春霞に見舞われるとは不運なことだった。程なく尾根の方向は山頂へと南に向きを変えると、少し傾斜が増してきた。傾斜が増したと言っても先ほどの急斜面と比べるとずっと楽で、歩幅を小さく歩度を緩くと心がければ、無理なく登って行けた。周囲はブナの大木も見られるようになっていた。山頂が近づくと尾根筋がはっきりしなくなったため、歩き易い所を適当に選んで登って行く。トレースの見えない雪面を登って山頂へ近づくのは、登山の楽しみの一つと言えた。山頂が間近になると、山頂に建つ東屋が見えてきたが、ほとんど雪に埋まっており、屋根の下が少し空いているだけだった。そばに立ってみると、どうも雪は2メートルは積もっているのではと思えた。少ない所も1メートル以上あり、予想以上に積もっているようで、雪の厚ぼったく積もる山頂風景は山に重量感を持たせており、700mに満たない低山とは思えなかった。東屋の建つ所は北向きのため少し風を受けたので、山頂のマツの木を風避けに南の方向を向いて休憩とした。風は来ず、陽射しを受けていると、ほんのりと暖かかった。昼食をとって一息ついたところで、山頂からの展望を楽しむことにした。楽しむと言ってもひどいモヤのため、うっすらとした風景を見るだけだったが。北西方向は来日岳が見えるはずだったが、近くの青地岳がやっとだった。東は県境尾根のピークが重なって見えている。南は東里ヶ岳がうっすらとながら姿良く見えていた。西には法沢山が近いはずだったが、そちらの方向は樹林に隠されていた。そこで南東へと尾根を少し下ると、木立の隙間より漸く法沢山が望まれた。穏やかな雰囲気に包まれて一時間ばかりを山頂で過ごした後、下山とした。下山は「たんたんトンネル」北口まで、忠実に登山コースを辿ることにした。途中までは自分の付けたトレースを辿るのみ。往路コースが左手に離れると、後は東へと県境尾根歩きを続ける。緩やかに続く尾根には、うっすらとトレースが付いていた。歩くうちに前方に尉ヶ畑峠が見えてきた。峠の手前に一つピークがあるようだった。尾根歩きのままに峠に近づくものと思っていると、小ピークが近づいたとき、林道に下りることになった。林道は尾根の南側に付いており、小ピークを回り込んで尾根の鞍部に出ることになった。その鞍部が尉ヶ畑峠だった。そこより林道を離れて再び登山道を歩く。後は北へと向かう支尾根に入って、尾根を下ることになった。登山道はすっかり雪に隠れていたが、コースははっきりしていた。急斜面になることも無く、気楽な気持ちで下って行けた。どこに下り着くのかと思っていると、林道が間近になって左手に堰堤が見えてきた。そしてすっかり雪で隠れている小橋を渡って林道に下り着いた。朝に歩いた自分のトレースが堰堤方向に向かっている。なるほどここで林道を離れるべきだったのかと辺りを感慨深く眺めると、近くに登山コースの方向を示す標識が立っていた。朝の時点では、その標識は雪に隠されていたようだった。往路はコースを離れて厳しい登りになってしまったが、結果として周回で歩けたので、これで良かったと思うことにした。この日は終始パートナーと二人っきりの登山となったが、もくろみ通りにたっぷりと雪の積もった高竜寺ヶ岳を楽しむことが出来て良かったと、満足の気持ちで「たんたんトンネル」に近づいて行った。 (2011/2記)(2020/5改訂) |
<登山日> | 2011年2月5日 | 10:00たんたんトンネルそばの登山口スタート/11:18〜22北尾根に合流する/11:29県境尾根に合流する/11:55〜12:55山頂/13:38尉ヶ畑峠/13:59林道に下り着く/14:12エンド。 | |
(天気) | 薄晴れの空。一部にごくうっすらとした青空が見えていた。気温は樹林帯で5℃、尾根ではうっすら陽射しが現れて8℃ほどとなる。山頂にいるときは南向きの位置で陽射しを受けていたこともあり、10℃以上に感じられた。視界は春霞と言うかモヤがきつく、近くの山もうっすらとしか見えなかった。山頂は、北向きの位置では少し風を受けたが、南向きの位置は風は来ず、いたって過ごし易かった。積雪は1〜2mと、たっぷりあった。 | ||
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