市川町北部の小畑集落から北を見ると、端正な山が目に飛び込んでくる。それが小世山で、その小世山には1996年3月にリフレッシュパーク市川から登っていたのだが、地図を見ると小畑集落側から山頂まで破線の道が描かれていた。その破線路を歩いて小世山を再訪することにした。向かったのは2021年5月の最終日曜日、梅雨の中休みと言えそうな晴れた日だった。小畑集落を抜けて北へと向かうと、車道はそのまま東奥山林道となるのだが、林道入口にはゲートが設けられていた。鍵はかかっていなかったのでそのまま進めたが、ゲートには関係者以外は進入禁止の標識があった。そこでゲートの近くにあった駐車スペースに車を止めて、そこからスタートした。ゲートを抜けるとすぐに現れたのが角谷池だった。湖面の色がきれいで、その角谷池を前景として背後に見えていたのが奥山だった。更にその奥に小世山の姿も見えた。東奥山林道はごく緩やかだったが、40分ほど歩いた頃には車の進行は無理と思える道幅になっていた。その東奥山林道も程なく終点となった。地図では谷筋に小径が続くことになっているのだが、はっきりとした道は無かった。ただ谷筋を適当に登る感じだった。そのうちに谷筋の傾斜が増してきた。辺りは植林地になっており、その間伐材が多くあって、それを何度も跨ぐことになった。また石ころが多くあり、それも歩き難かった。しかも登るほどに斜度が増してきた。谷筋歩きでは時間ばかりかかると、標高にして600m辺りまで登ったとき、右手の尾根に出た。その尾根にもはっきりとした道は無かったが、谷筋よりはずっと楽だった。その尾根は山頂から見ると南東尾根で、尾根なりに登って小世山山頂に到着した。歩き始めてから1時間半が経っていたので、意外とかかったと思った。その山頂は樹林に囲まれて展望は無し。記憶ではほぼ平坦な尾根を北へと辿れば少しは展望が得られたはずなので、小休止を終えると北へと歩いてみた。ところが前回登山から25年が経っており、その間の樹木の生長でほぼ展望は無くなっていた。山頂に戻ってきたとき手頃な木に登ってみたが、笠形山が少し見えるだけだった。下山は南西尾根に入った。その尾根にもはっきりとした尾根道は無く、むしろヤブっぽい尾根だった。展望も無かった。ヤブっぽさを我慢しながら下っていると、次第に歩き易くなってきた。ただそのまま下山したのでは、ほば展望無しだったことになるので、予定していた399m地点の鞍部まで下りて来ると、そこからは林道に向かわず、尾根を登り返して奥山を目指すことにした。奥山を登るとなると始めに標高差100mほどの急坂登りがあり、疲れた体にはけっこうきつかった。尾根が緩んできたとき、漸く西の方向に展望が現れて雪彦山の辺りが望めた。その奥山の北尾根も少々ヤブっぽく、灌木の小枝を避けながら進んだ。そして奥山の山頂には鞍部から34分かかって到着となった。その山頂は少し展望があって笠形山が眺められたが、その山頂より少し南に下ると岩場が現れて、そこは素晴らしい展望地だった。南から西にかけて広くすっきりと眺められて、なかでも七種の山並みが近かった。これでこの日の登山に対する不満は無くなった。奥山からの下山は399m地点の鞍部へと引き返すことも考えたが、そのまま南東尾根を下ることにした。けっこう急尾根だったので木に掴まりながらとなったが、木々は適度にばらけていあたのでヤブの感じは少なかった。適当に歩き易い所を探りながら下ると、足下に伐採地が見えてきた。その伐採地を目指して下ると、最後は沢を渡って林道に下り着いた。角谷池の少し北の位置だった。そこから駐車地点までは10分ほど歩くだけだった。
(2021/6記) |