西光寺山は播州では目立つ山の一つで、西隣の洞ヶ山と並ぶ姿は、周囲の山からだけでなく、播州南部の低山からも眺められて、山座同定の目安にもなっている。この西光寺山には西脇市の畑中からのコースと篠山市の本荘からのコースで2回登っていたが、初めて登った畑中からのコースがあまりはっきりしていない印象であったが、西光寺山が兵庫50山に選ばれたことで、その畑中コースがどうやら整備されたようだった。そこで一度のんびりと畑中コースを歩きたいと考えた。
向かったのは2011年10月の最後の土曜日。国道175号線を上戸田交差点で離れ、県道294号線、36号線と走って行くと、中畑町に入ったとき登山口標識が現れた。その案内のままに細い車道を進むことになったが、車をあまり山中へは進めたくなかったので、畑谷川沿いに1台分の空き地を見つけると、そこに駐車とした。その位置より歩き出すと、緩い坂を登った先に最後の民家が現れて、その先で車道は舗装路からダート道に変わった。道は林道の様相となり、すぐにギンナン園に着いた。そこには小さな池もあって公園風になっていたが、重機も見えており、まだ整備途上のようだった。少し歩くと広いスペースが現れたので、車はそこまで進めても良さそうだった。またここにきて分かったことだが、近くに中畑林間ファミリー園があり、そこに車を止めて、そこからの遊歩道でここへと歩いてきても良さそうだった。その先は普通の林道を歩く雰囲気となり、程なく林道は二手に分かれた。標識ではどちらを歩いても山頂に行けるようだった。左手の道は山頂まで1.8kmとあり、右手の道は2kmとなっていた。そこは長く歩く方を選んだが、どうも遠回りとなって、単に林道を歩くだけのようだった。ギンナン園から13分ほど歩いて林道が終点となると、そのそばより登山道が始まっていた。漸くハイキングの雰囲気となった。遊歩道と呼べそうな手入れされた小径で、少し登ると別の小径と合流した。二手に分かれた林道のもう一方が登山道となって、ここに合流したようだった。ごく気楽な感じで登って行った。上空は青空が広がっており、登山日和と言えそうだった。展望が少ないと思っていると、突然のように展望台が現れた。登山コースよりも一段低い位置にあり、西に向かって気持ちの良い展望が広がっていた。遠く笠形山まで一望だった。その展望を少時楽しんで、登りを続けた。このコースは近畿自然歩道になっており、良い感じで登って行けた。展望台を離れてから6分ほどで、このコースのポイントとなる「こぐり岩」に着いた。その辺りは御奉塔などもあって宗教的な雰囲気が作られていた。こぐり岩を見ると、狭い岩の隙間から向こう側に出られるようだった。パートナーはこぐり岩に興味があるようだったが、ここは先に進むことにした。登山道の傾斜は増してきたが、むしろしっかり登れる感じがあって、その坂を楽しむようにして登った。場所によってはロープも付いていたが、無くても登れるのではと思えるほどの傾斜だった。その急坂が暫く続いた後、西尾根に合流した。進む方向は北東となり、山頂が木々を通して望めるようになった。尾根の傾斜は緩やかになり、朝の光も届いて登山道は明るくなった。その辺りは自然林になっており、優しい雰囲気に包まれて歩いて行けた。住吉行者山からのコースが合流すると、登山道は尾根を巻くようになり、その先で急斜面を一登りと言った感じで登った所が山頂だった。少し前よりまた陽射しを受けなくなっていたので、いきなり明るい所に出て、まぶしさに目を細めてしまった。まず三角点があり、そして祠があり、その先に東屋が建っていた。展望は良く、東から南、西へと広くあり、何となく以前よりも少しあか抜けしたように感じられた。どうやら木が切られたりして、少し整備されたようだった。時刻はまだ10時半とあって他にハイカーはおらず、パートナーと二人きりで過ごすことになった。少し早かったが、小腹が空いていたので、東屋で軽く食事をとることにした。良い感じで涼しい風が吹いており、そして明るい空が広がっている。その中で展望を眺めながら食事をしていると、何とも贅沢な気分になれた。そして前の2回のときよりも西光寺山は良い山だと思ってしまった。山頂では一時間は過ごそうかと思っていたのだが、30分もすると十分に満足出来た思いとなっていたので下山することにした。下山は往路を引き返したが、途中のこぐり岩で足を止めた。岩の隙間と言うか岩穴を体を横にして通り抜けると、その先にも岩があり、その上に立ってみると、北向かいの尾根が大きく眺められた。ただ眺めとしてはさほど広がりは無かった。そこはこぐり岩を抜けることが面白いと言えようか。なお途中のコースが二つに分かれる所からは、北へと尾根コースを辿った。こちらはすぐに林道に出ることは無く、暫く丸太の階段道を下った先で林道に下り着いた。もう一つのコースがほとんど林道歩きだったことと比べると、こちらの方が登山道を長く歩くだけに、ハイキング向きと言えそうだった。駐車地点に戻ってきたのは、正午になったばかりの時間だった。西光寺山登山は十分に楽しかったが、短時間で終わったことで足の疲れは少なかった。そこで西脇市街に近い小さな山でも楽しもうと、そそくさと西光寺山麓を後にした。
(2011/11記)(2021/7改訂) |