加東市の範囲と言うか、旧社町の範囲は西光寺山の尾根に被っており、西光寺山の山頂とその南隣のピークである洞ヶ山は加東市では無く、西脇市と丹波篠山市となるが、その次の地図上では標高点も無い640mほどのピークが旧社町の最高点だった。その640mピークを加東市により加東神山と新たに命名されたのは近年のことで、標高も測量されたのか648mとなっている。加東市が作成したパンフレットを見ると、南麓にある「やしろ鴨川の郷」からのコースが紹介されていたので、そのコースで加東神山を登ることにした。ただ加東神山を登るのであれば、尾根続きとなる西光寺山には当然足を延ばしたくなったので、時間が許せば西光寺山まで歩こうと向かったのは、2019年12月13日のことだった。この日は終日晴れと予想されていた。天気予報通り朝の空は快晴で、ナビを「やしろ鴨川の郷」にセットして国道372号線をひたすら走ると、上鴨川交差点で「やしろ鴨川の郷」に通じる県道566号線に折れた。標識もあってすんなりと才ノ神池に近づくと、瀟洒な洋館が池を前景にして絵画を見ている感じで現れた。車はその「あぐりぴあ」の名が付く洋館の前にあった広い駐車場に止めた。駐車場に車は多かったが、どうやらゲートボールを楽しむために来た人のものと思えた。その駐車場の前の道は加東神山の方向に向かっていたので、その道を歩き出した。車道はゲートボール場を過ぎるとすぐに終わり、その先は遊歩道だった。その入口に注意書きがあり、遊歩道で加東神山に向かえるものの道は不明瞭と書かれていた。ただその注意書きで確実に加東神山に行けることが分かったので、道が不明瞭になることは気にせず先に進んだ。その遊歩道は何度か小さな沢を横切るのだが、そこには小橋が架かっていなかった。上り坂に入ると、遊歩道らしく階段道を登るようになった。その階段道を10分ほど登って展望台に着いた。足下に「やしろ鴨川の郷」が見えており、北の方向には笠形山の姿が目立っていた。少し気になったのは空模様で、まだ晴れてはいたものの徐々に雲が増えていた。展望台の先も易しい道だったが、立入禁止になっていた。どうやらその辺りはマッタケ山のようだった。ただシーズンは終わっていたので、気にせず道を進んだ。すると程なく易しい道は終わって急にヤブっぽい道となった。その境目にはまた加東神山へのコースは不明瞭との注意書きがあった。地図もコンパスもGPSも持っていたので、コースを外さないことに注意を払って杣道に入った。ときおり灌木の小枝を払う程度のヤブっぽさで進めた。また目印テープもあったので、迷う感じにはならなかった。四等三角点(点名・上鴨川)のある437mピークを越すとその先はやや急坂となり、鞍部で作業道がごく近くにあるのを見た。その先は上り坂となりそこもやや急坂だった。暫く上り坂が続いて尾根が緩やかになると、地形が少し分かり難くなった。目印テープも2方向に付いていたので、そこは地図を見て正しいコースを進んだ。緩やかな尾根歩きとなり、もうヤブっぽさは無くなってきた。ただ上空は曇り空に変わっていた。その緩やかな尾根歩きを続けて小さなピークに着くと、そこに四等等三角点(点名・大峯)を見た。地図を見るとまだ西光寺山との中間点辺りだったが、既に2時間近くかかっていた。この調子では西光寺山に着いても戻るうちに暗くなる心配が出てきた。そこでその618mピークで手早く昼食を済ませると、少しピッチを上げて歩いた。尾根は緩やかに続いていたので、ピッチを上げても問題は無かった。618mピークから10分ほど歩いて着いた次のピークが加東神山だった。そこはすっかり樹林となっており、山名標識が無ければ単なる通過点になっていた所だった。展望も無いので足を止めずに先へと進んだ。緩やかに登って着いた次のピークが672mピークで、洞ヶ山と呼ばれている所だった。そこには標石があり、そこに洞ヶ山の文字を見た。その672mピークの先に急坂の下りがあり60mほど下った。そして西光寺山へと最後の登りにかかった。その頃には上空の雲は減り始めており、青空も見えていた。登るうちに陽射しを受けるようになった。右手から今田町本荘からのコースが合流すると、そこから200mほどで西光寺山の山頂に到着となった。常に陽射しを受けるようになっており、明るい山頂だった。そこはまずまずの展望があり、丹波、北摂の山並みが眺められた。ただ東の方向は木々の生長のため白髪岳はほぼ見えなくなっていた。山頂に着いたときは13時半になっていたが、昼休憩をとった618mピークからは44分での到着だったので、十分に明るいうちに下山出来そうだった。山頂で休んでいたのは20分ほど。下山は往路を引き返した。地図では618mピークの先で往路とは違う所に破線路が描かれていたが、それがはっきりとした道とは限らなかったので、忠実に往路を辿ることにした。天気は良くなる一方で、明るい中での尾根歩きだった。このコースは下山と言っても途中で二度ばかり大きく登り返す所があるので、易しく戻れるとは言えなかった。再び展望台に立ったときは15時半が近い時間になっていた。足下の「やしろ鴨川の郷」は日陰になっていたが、周囲の山並みは午前よりも明るく眺められた。後は「やしろ鴨川の郷」まで遊歩道歩きを残すだけだった。その遊歩道の下山では残っている紅葉を少しばかり楽しめた。
(2021/10記) |