江笠山に関する情報が無いため、地図を眺めて江笠山へのアプローチとしては但東町薬王寺から薬王寺峠へと向かう県道63号線に注目した。その県道の途中から林道が分かれており、江笠山方向に向かっていた。その林道の入口から歩き出そうと考えた。
向かったのは1999年9月の中旬のこと。南側から薬王寺峠に向かおうとしたのだが、薬王寺への道を間違えてしまい薬王寺峠の北に位置する赤花集落へ大回りしてしまった。そして北側から薬王寺峠越えて林道入口に就くことになった。車は予定通り林道入口に駐車して歩き始めた。林道はあまり利用されていないらしく下草が生えている所が多くあった。林道の終点とおぼしき地点まで歩くと、その先にも車が通れそうな道幅で山道が細流に沿って続いていた。ただその道は轍が深く抉られていたり倒木が塞いでいたりして、車の通行は実際には無理と思えた。細流沿いに進んで行くと道の傾斜が増して倒木も増てきた。そして細流も消えてきた頃、山道は漸く終わることになった。その辺りで標高は既に550m近くになっていると思われた。当初の目的通り山頂から南西へと延びる尾根に向かって左手の急斜面に取り付いた。辺りは灌木林で疎らにクマザサが生えていた。その斜面を幹に掴まりながら登って行った。灌木が少し密集しており、少々煩わしさを感じた。斜面を50mほど登ったろうか、突然のように山道に出会った。但しその山道は山頂に向かっておらず、山襞を巻くように続いていたので山道を歩くことは諦めた。再び尾根を目指して灌木の斜面に取り付いた。目指す尾根に着いたと思えても、尾根は丸みを帯びておりあまりはっきりしていなかった。雑木に貧弱な杉が混じっている尾根を北東に向かって登った。そのうちに傾斜が緩くなり杉の植林帯に入った。程なくその植林地を抜け出ると、そこが江笠山の山頂だった。山頂は密集したクマザサに覆われており三角点の周りだけ刈られていた。その時はちょうど陽射しがきつくなっており、あまりの暑さに植林帯に逃げ込んだ。植林帯は風も無いのに涼しさがあり、体の熱気を収めてくれた。その適度な過ごし易さの植林帯で昼食を済ませた。そして改めて三角点の前に立った。南側のみ展望が開けており、生憎のモヤがかった天とあって視界は良くはなかったが、三岳山がどっしりと見えていた。主に京都府側の山が見えており、兵庫県側はほぼ見えていないため少し物足りなさを感じた。下山は南へと県境尾根を下った。尾根筋はクマザサの密集帯だったが、すぐそばの西斜面側は植林帯になっていた。尾根筋を外さないように慎重に下った。間もなくクマザサが疎らになると共に尾根も緩やかになった。628m地点からは南西方向に向かえる尾根に入ったところ、すぐに山道に出会った。登山コースかと思ったが、その山道はただ山襞なりに続く道のようだった。そこで改めて南西尾根を下った。
道が無いため灌木によく足を引っかけたが、自然林の尾根の雰囲気は良かった。木々の隙間から山頂方向が眺められたり、兵庫県側が少し覗けたりした。その尾根を下りきると往路で歩いた林道に合流した。川辺で体を休めた後、駐車地点へと戻った。なお下山途中の稜線付近で「ヤマジノホトトギス」の可憐な花を幾つか見かけた。
(2001/8記)(2011/1改訂)(2019/11写真改訂) |