国道29号線を北上して宍粟市一宮町に入ると、揖保川の風景と共に伊和三山の姿が目に飛び込んでくるが、三山の中で一番高いのは一番奥に見える岩谷山で、前衛峰として古城山を抱いた姿は高度感を持って眺められる。その岩谷山を久し振りに登ろうと向かったのは2017年9月の最終土曜日だった。今回はガイドブックの「宍粟50名山」で紹介されているコースで登ることにした。そのコースは二つあり、南麓の八幡神社に近い位置から始まるコースと三林集落からのコースだったが、往路は八幡神社コースを登ることにした。
国道29号線を伊和高校前交差点で離れて真っ直ぐ北上すると八幡神社のそばに出たが、裾野に近づこうとそのまま更に北へと向かうとすぐに広い道に合流した。その広い車道は伊和高校前交差点から続く道だったので、八幡神社の前を通る必要は無かったようだった。その合流点近くから岩谷山方向に林道が始まっており、起点に登山口標識を見た。車を標識近くに止めると、入口の扉を開けて林道へと入って行った。配水池の前を通り過ぎたとき、右手の小屋からけたたましい犬の吠える声が聞こえてきた。どうやらそこで何匹もの猟犬が飼われているようだった。気にせず林道を先へと進む。周囲は植林地だった。14分ほど歩いたとき、岩谷山の標識が現れて、植林の小径に入った。少し登ると再び林道に接したが、林道には下りず、すぐに林道そばを離れて植林地の斜面を登った。尾根を伝うようになると、けっこう急斜面になってきた。そのうちにロープが現れたので、ときにロープを掴んで登った。その急尾根が緩んでくると周囲は自然林に替わり、程なくピークに着いた。そこが古城山の山頂だった。展望の無いピークだったので、休憩は僅かな時間にとどめて先へと進んだ。緩やかな自然林の尾根で、ゆったりと歩いて行けた。気温は22℃と低めの上、空気はからっとしてすっかり秋のものだった。左手から三林コースが合流すると、尾根に岩が目立ってきた。ときに大岩が現れて、それを巻くようにして登った。傾斜も増してきた。そこを登り切ったとき岩谷山の山頂かと思ったが、そこは手前のピークで、緩やかに下り緩やかに登り返した。そして岩谷山の山頂に到着となった。歩き始めてから1時間50分が経っていた。山頂は狭い範囲で開けていたが、樹林に囲まれて展望は無かった。その山頂の手前で東に向かって開けた所があったので、そこに移動して昼休憩とした。暁晴山が正面に見えており、ほかにも南東に三辻山、北東に千町ヶ峰が見えており、それを眺めながら昼食をとった。山頂の気温は21℃まで下がっており、そこに涼しいばかりの風が強く吹いていた。その風を受けていると、肌寒さを覚えるほどだった。その清涼の空気の中で暫し昼寝も楽しんだ。山頂で80分ほど過ごすと、下山は歩いてきた道を引き返した。そして岩の多い所を抜けた先で三林コースに入った。三林コースは尾根の西斜面を斜めに横切るように作られており、細々とした山道だった。周囲は概ね植林地で展望は無く、足下も小石が多くあってちょっと歩き難いと言えた。尾根コースに比べるとマイナー感は否めなかった。登山道の崩れている所もあり、少しコースの分かり辛い所もあったが、目印テープは点々と続いていた。下るほどに右手の方向から車の通行音が良く聞こえるようになった。国道29号線からの音だった。周囲の樹林はいつしか自然林に替わっていたものの、麓が近づくとまた植林が現れた。そして登山道がはっきりしなくなった。それでも目印テープは続いていたので、それを追って下るとゲートの前に出た。その先はフェンスに沿う形で東の方向に歩いていると、一部は草ヤブになっていた。程なく三林集落が現れると集落内の道となり、車道に合流した。その入口には岩谷山の登山口標識が立っていた。後は車道を戻るだけだったが、八幡神社コース登山口の駐車地点まで上り坂を歩くことにあり、疲れた足が更に疲れることになった。
(2017/9記)(2020/4改訂) |