南光町の千種川流域において山崎町との境界尾根を何回かに分けて登っており、2002年の11月は塩地峠から北へと歩き、721mピーク(点名・下河野)を過ぎて鷹巣高原の見えるピークまで歩いていた。その日の最後に立ったピークには巨大な送電塔(33番鉄塔)が建っており、そのおかげでこの日初めてとも言える展望に出会った。北には植松山、東には鷹巣高原を越して黒尾山が小さく見えていた。ただその日は生憎ガスのかかる空模様だったため、周囲をすっきりと見回すことは出来なかった。そこで改めてそのピークから北の笹原山へと歩くことを考えていた。
続きを実行したのは2年経ってしまったが、2004年年11月23日のこと。この日はマイナーな山を登るのにはもったいないような素晴らしい天気で、まさに秋晴れだった。空はくっきりと青く、雲一つ見られなかった。車はバス停「下河野(けごの)」に近い、千種川の西岸側に駐車とした。そして前回の下山で歩いた下河野バス停そばからの山道を歩き始めた。山裾は、ちょうど害獣避けネットの準備がされていた。その道で登って行けばすんなりと33番鉄塔が建つピークに着くはずだったが、谷あいは倒木が多く、それに惑わされてしまった。前回の道を辿っていたつもりが、いつしか方向は北へ向かっていたようで、前回のコースから外れてしまった。それでもかまわず進み、道が消えてからは適当に斜面を登って尾根に取り付いた。その尾根は疎らな雑木林と言った風情で、ちょうど紅葉期を迎えて良い雰囲気だった。ときに真っ赤に色付いたモミジにも出会った。尾根はやや急坂となったり、また植林地が現れたりしたが、とにかく登って行くと、雑木と植林が混じって少し雑然としたピークに着いた。そのピークの中央に三等三角点(点名・大鳴山)を見た。うまく笹原山の山頂に繋がる尾根を登っていたようだった。そこは雑然としていたものの木々は疎らで、上空からの陽射しが燦々と当たって良い日溜まりになっていた。北の方向には木々の空いた所があり、そこから覗いていたのは雄大な千種の1000m峰だった。多少木々に邪魔されたものの、天児屋山から三室山、植松山、大甲山と続く尾根がくっきりと眺められた。その上空は、これ以上は無いと思える青空だった。今少し北西側の雑木が切られれば、後山と日名倉山が加わって、千種の雄峰を眺める一等の山頂と思えたが、ともかくその素晴らしい眺めに暫し目を奪われてしまった。その後は、山頂の日溜まりで温かい陽射しを浴びながら昼どきを過ごした。そして昼食を済ませて一休みしたところで、前回の最北到達点だった33番鉄塔が建つピークまでピストンすることにした。片道15分ほどで、あまりアップダウンは無かった。33番鉄塔では改めて日名倉山を眺めたり、鷹巣高原を眺めたりでひとときを過ごした。それにしても、本当にこの日は最上の天気だった。まだ日も高いことでもあり、もう一つ別の山、展望の良い山に登ってみたい気持ちが湧いてきた。高度感もありしかも簡単に登れるとなると、今見えている日名倉山のベルピール公園コースしかなさそうだった。そこで笹原山登山を切り上げて、そちらに向かうことにした。一度、笹原山に戻り、尾根を西方向へと歩くと10分ほどで34番鉄塔の前に出た。そこもまずまず開けており、西から北西にかけてが眺められた。なお足元は芝地になっていたのだが、そこは鹿にとって良い休憩場所なのか、鹿の糞だらけだった。その鉄塔からは、南の方向へ急尾根を一気に下った。その尾根も疎らな雑木林が広がっており、紅葉が目を楽しませてくれた。ただ下るほどに植林地となった。下りきって沢に下り着くと、後は往路で歩いた山道を辿って駐車地点へと戻った。そして大急ぎでベルピール公園の日名倉山登山口へと向かった。
(2004/12記)(2024/6写真改訂) |