TAJIHM の 兵庫の山めぐり <南但馬
 
御祓山    みはらいさん 773.1m 養父市
1/2.5万地図 : 大屋市場
 
【2008年4月】 No.3 2008-41(TAJI&HM)
 
    大屋町門野集落より  2008 / 4

 2008年の兵庫の春は残雪期が長く、4月中旬まで雪山を楽しむことが出来た。ただそのため山で桜を見たのは身近な京見山だけになっていた。そこで桜の花を目いっぱい楽しもうと、兵庫の山桜では一番有名ではと思われる大屋のみづめ桜を見に行くことにした。もちろん行く限りは御祓山登山とセットだった。向かったのは日曜日の20日。本当は前日の19日に行きたかったのだが、但馬の天気が思わしくないため人出の多いことが予想される日曜日としたものである。ただ出来るだけ人に会わないようにと、午前はみづめ桜は避けて御祓山登山に専念することにした。それもみづめ桜のある尾根を登るのでは無く一つ北隣の尾根を登ることにした。そちらの尾根には登山コースは無かったが、駐車場のそばから取り付ける上に、ほとんどなだらかに続くため、ヤブで無ければ無理なく登って行けそうだった。
 20日の朝の大屋町は前日の天気が残っているのか晴れとも曇りとも言えそうな空だった。午後は晴れとの予想だったため徐々に晴れ間が広がって来るとは思われたが、北からまだまだ雲が流れて来ていた。青空もちょっと薄ぼやけた見え方だった。糸原集落に入ってみづめ桜の標識を見ると、そこには開花予想があって16日〜22日と書かれていた。と言うことはこの日はちょうど見頃のようだった。駐車場に着くとやはり日曜日とあって20台ほどの車が既に止まっていた。近くの路上ではマイクロバスを見たが、そのバスの客と思われる20人ほどの団体が駐車場の隅で出発準備をしていた。こちらは登山コースを歩き始めてすぐに左手を流れる沢を渡った。そこは倒木が目立ったが、地表には山菜のイッポンコゴミがよく目に付いた。その中を通って北西に見える尾根のすそに取り付いた。最初の目的地は345mピーク。始めに急傾斜の植林地をむりやり登って行く。尾根への距離は短く、ひと登り感じで尾根に出た。その先は北の方向に尾根なりに登るだけだった。周りの木立は植林から雑木林へと変わり、その雰囲気の中で最初のピークに着いた。そこには三角点(点名・糸原上ノ山)があるものの周囲は木立で塞がれており展望は無し。そこから東に向かう尾根に入ると、尾根は一気に緩やかになった。尾根の木立は疎らで、下草も少なくいたって歩き易かった。周囲の雑木は灌木程度のものが多く、そこに点々とコバノミツバツツジの花が咲いていた。ちょうど見頃で、その様を眺めながら気楽な感じで尾根を歩いて行く。途中で尾根は細ったものの別に危ない感じは無く、またその先でゆったりとした感じに戻って相変わらず歩き易かった。そして白い花を付けたアセビが目立つようになってきた。その様子を眺めていてふと思ったことがあった。それはこの尾根は以前はクマザサが繁っていたのではないかと言うもので、そのクマザサが消えての歩き易さだと思えると少し寂しい気持ちも湧いてきた。山頂が間近に見えて来ると急坂になったが、ここはむしろしっかり登ろうと一気に登って行くと、750mピークとの鞍部に出た。そこより南へほんのひと登りで山頂に着いた。山頂には鳥取から来たというグループがいたが、みづめ桜を通る登山コースで今着いたようだった。山頂は高い木が多くあって展望はさほど良く無かったが、三角点を中心に小さく平らになっており、落ち着いた雰囲気になっているのは以前のままだった。まずは北西にうっすらと見える氷ノ山と対面してから昼休憩とした。山頂には少し冷たさのある風が吹いていたので、南面側で休むことにした。正面には木立を通して大杉山から須留ヶ峰に延びる尾根が大きく見えている。その昼休憩の間に上空の雲は少しは少なくなったようで、陽射しをまともに受けるとちょっと暑さを感じた。山頂では長居はせず、いよいよみづめ桜を目指して本コースを下ることにした。急坂の下り坂にはロープが付けられており、足下に注意さえすれば無難な感じで下って行けた。そして15分ほど下ったところで、みづめ桜まであと100mの標識を見た。尾根コースを離れてそちらに向かうと、登山道に人を見るようになり、そしてちょっと暗い山あいにどんと白い花の塊が現れた。それがみづめ桜で、満開での対面だった。まだ花びらを散らしていないので今少し咲くかと思えたが、見事さには変わりなかった。周囲には10人ほどの人影が見られたが、どの人もただ桜を静かに見ているだけで、ほとんど人声は聞かれなかった。そのみづめ桜の西の空にはまだ白さの残る氷ノ山が佇んでいる。このみづめ桜は2年ごとに大きく花を付けるようで、近くに居た人が言うには、昨年は寂しかったとのこと。空は晴れてはいるものの相変わらず雲は多く、みづめ桜になかなか陽射しが当たらなかったが、陽射しが当たると一気に華やいだ雰囲気になった。このみづめ桜を見る人にザックを背負う姿は少ないようで、桜見物だけに登って来た人が多いようだった。このみづめ桜のそばに30分ほど佇んだ後、下山とする。今度はツツジ見物だった。前日に登った宍粟市の高取山でも満開のコバノミツバツツジを楽しんだのだが、御祓山も同じコバノミツバツツジが更に見事な咲きようだった。深いピンク色の花が尾根を染める様は「花回廊の森」の名に相応しく、終始目を楽しませてくれた。またツツジの花だけで無く展望も良く、山頂では良く見えなかった須留ヶ峰がすっきりと眺められた。その下山中に青空は広がっており、陽射しの中を下っていると初夏と思える暑さを感じるほどで、まさに春たけなわだった。本当にこの季節の御祓山はみづめ桜とツツジで贅沢な山になっており、麓へと満足の思いで下って行った。
(2008/5記)(2012/6改訂)(2020/4改訂2)
<登山日> 2008年4月20日 10:30駐車場スタート/10:42尾根に出る/10:50〜55点名・糸原上ノ山/12:11〜47山頂/13:05〜35みづめ桜/14:28エンド。
(天気) 晴れてはいるものの昼頃までは雲の多い空だった。山頂では少し冷たい風を受ける。視界はややうっすらとしており、淡い見え方だった。気温は朝の尾根で15℃、山頂では13℃と少し低めだったが、下山では青空が広がったこともあり、20℃近くまで上がった。まさに春たけなわの陽気だった。
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駐車場は20台近くの車が止まっていた 駐車場そばの尾根を登ることにした 植林地の尾根を登って行く
尾根に出ると、木立は新緑を迎えていた 最初のピークで三角点を見る 四等三角点(点名・糸原上ノ山)を見る
尾根を歩き出すと、満開のコバノミツバツツジを見た 尾根は緩やかに続いていた コバノミツバツツジが点々と咲いていた
尾根は下生えも無く、優しげな自然林の風景だった 淡い新緑とコバノミツバツツジが並んでいた 少し傾斜のきつい所が現れた
尾根が細っても歩き易さは変わらなかった 木に出来た穴に、ちょっと驚かされた 山頂が木立を通して見えてきた
山頂が近づくとアセビが目立つようになった 山頂は三角点を中心に開けていた 山頂からは北西に鉢伏山を見る

 山頂からは須留ヶ峰は
 良く見えなかった そ
 こで手頃な木に登って
 みたところ、漸くはっ
 きりと眺められた

    氷ノ山も木立の隙間か
    ら覗くだけだった

 山頂から展望の良
 かったのは南南東
 方向だった


  左の写真の千ヶ峰を
  大きく見る
御祓山の山頂を離れて、みづめ桜への登山道を
下る 穏やかな雰囲気が漂っていた
程なく急坂となったが、ロープが張られていた
ので、ロープに掴まりながら慎重に下る
みづめ桜のそばに下りてきた 4年ぶりの対面
だった 陽射しが現れるまで待つことにした

(←)
待つうちにみづめ
桜に陽射しが当た
るようになった

 (→)
  みづめ桜の左手遠
  くに氷ノ山を見る
   

 (→)
  氷ノ山を大きく見
  る
みづめ桜を別の角度から眺める 下山を続けると南に須留ヶ峰を見るようになった 満開のコバノミツバツツジも良く見るようになった
南から西にかけての展望の広がる場所が現れた 左の写真の和田山を大きく見る
下山の尾根はツツジの花回廊だった 和田山をバックに上品に咲くツツジを見る 満開のコバノミツバツツジが圧巻だった