銀山湖と多々良木ダム湖を限る尾根にもっつい山はある。訪れたのは1997年4月半ばの陽射しのきつい汗ばむほどの陽気の日で、銀山湖周辺にはまだ桜が残っていた。銀山湖を過ぎて市川沿いを遡ると、黒川部落の手前1km程の所まで来て小さな橋のそばに駐車とした。駐車地点より市川を越えると、河原のそばから山に向かって小径が続いていた。この小径が尾根に続いていると思えて進んで行くことにした。道は緩やかな登りとなって続いた。植林の準備なのか、松などの雑木が切り払われていた。更に進むと杉の植林帯に入って道はぼやけて来た。地形は全体になだらかで、どこでも歩けてしまえそうなので、まずは北に向かって登って行くと、程なく山稜に出た。尾根は雑木林が広がっており、まだ芽吹きは見られなかった。その枯れた風景の中にタムシバの花が点々と咲いていた。まずは間近に佇む731mピークに立つことにした。木々は疎らなためけっこう歩き易かった。731mピークに着くと、そこはけっこう展望が良く、北西に多々良木ダム湖が鮮やかに見えていた。遠くには須留ヶ峰が、さらに遠方に氷ノ山がうっすらと見えていた。
続いて稜線を西へと歩いてもっつい山を目指した。雑木の尾根を辿って着いた山頂は先ほどのピークほど展望は良くは無かったが、落ち葉が地表を隠しており、疎らな雑木と相まって良い感じだった。その静かな佇まいに包まれて2時間ばかり休憩をとっていた。下りは南南東に延びる緩い尾根を下って行くことにした。終始歩き易い尾根道が続いており、どうやら送電塔の巡視路と思われたが、有り難いことだった。途中には展望の良い場所もあり、千ヶ峰から高畑山まで、また銀山湖周辺の山々が広く眺められた。またこの一帯の山肌に松の木が非常に多いのが眺められた。小径は尾根端まで続くのでは無く、麓が近づくと尾根の西面に外れ、ジグザグで斜面を下ることになった。そして市川のそばに出た。そのため最後は市川を徒渉して車道に出ることになった。
(2002/9記)(2012/6改訂)(2022/1写真改訂) |