2014年7月下旬に坂ノ辻峠に近い1002mピーク(点名・平野)を登ったが、その帰路で県道8号線を西へと下っているとき、前方に見えたのが行者山だった。その端正な姿を見て、また登ってみたいとの思いが出てきた。そこで4度目となる生栖行者山に向かったのは、約1ヶ月後の9月第一週の土曜日のことだった。但し、その日は行者山を目指して出かけたのでは無く、今少し北に位置する山を目指していたのだが、どうも北の空はどんよりとしており、ガスの中を登るのではと思えた。そこで急きょとなるが、登りたい気持ちを持っていた行者山に切り替えたものである。その行者山への生栖集落側からのコースは二つあり、一つは行者堂を通るコースで、もう一つは月谷川のそばから始まるコースだった。行者堂コースは何度か登っていたのだが、月谷川コースはまだ登っていなかった。そこで月谷川コースを往路として登り、行者堂コースは下山コースとすることにした。月谷川は堰堤工事が行われているようで、ダンプとのすれ違いを心配したが、他の車に会うこともなく登山口に着くことが出来た。そのそばに駐車スペースを見たので、そこに駐車とした。登山コースは枝分かれした林道を歩くことから始まった。最初にゲートがあり、それを抜けて暫く林道を歩いて行く。この月谷川コースで行者山をピストンするのであれば、林道に車を進めても良さそうだった。ただ林道は進むほどに荒れた箇所が現れたので、奥まで進むには四駆車でないと厳しそうだった。林道は二度ほど二手に分かれたが、標識に従って進むと、20分ほどで終点となった。その先は植林地を登ることになった。尾根を登って行くのでは無く、トラバース気味に登る感じだった。ときに自然林が現れるも、概ね植林地の中を登った。気温は23℃と高くなく、また湿度もさほど高くなかったのだが、しっかりと登る感があって、けっこう汗をかきながらの登りだった。登山道に入って20分ほど登って、漸く尾根を登るようになった。そして主尾根との合流点が近くなって、周囲は自然林に替わってきた。主尾根に出ると、山頂までは僅かな距離だった。山頂は陽射しを受けて明るく、以前と変わらぬ落ち着きが感じられた。その山頂で昼休憩をする前に、今少し南西へと歩いた。ほぼ平坦な感じで進むと、「行者山」の山名標柱が立つ前に出た。その前には三角点もあったが、以前のままの哀れなほどに削られた姿だった。早く新しい三角点に置き換えてもらいたいものだと思った。引き返して山頂で憩うことにした。但し陽射しの下では暑いので、木陰を求めて昼休憩とした。他に人影は無く、ごく静かな山頂だった。その山頂に着いて漸く展望を得ることになったが、この日の視界は濁っており、北の空はほとんど何も見えなかった。下山は予定通り行者堂コースを下って行くことにした。山名標識の先で下り坂となり、一部でロープが付けられていた。少し下ると、行者堂への道が分かれた。行者堂まで数十メートルの距離だったので、瞥見する程度に立ち寄った。コースに戻って下山を続ける。自然林だった周囲の木立はいつの間にか植林地に変わっており、その中を淡々と下った。それにしてもこのコースの合目の表示は不思議だった。山頂からけっこう下ったのに、現れたのは八合目の標識だった。感覚としては六合目ぐらいまで来ていると思っていたので、ちょっと勘が狂った。中腹をかなり過ぎて六合目が現れ、休み堂のそばの登山口でやっと五合目だった。そこから麓の生栖集落までは13分程度だったので、どこが一合目なのかと不思議に思った。麓に着いてからは集落内の車道を北東へと歩き、月谷川に向かう林道に入った。朝に車で通った道を歩くことになったが、車では気付かなかった棚田風景をじっくり眺めることが出来て、徒歩で歩くのも悪くないと思った。駐車地点に着いたときは、山頂を離れてから80分が経っていた。周回で行者山を楽しめて良かったと思いながら、帰り支度をいそいそとした。
(2014/10記)(2020/12改訂) |