2017年1月の最終土曜日は、久々に多紀アルプスの主峰、三嶽を登ろうと丹波篠山市に向かった。この日は兵庫全域に渡って快晴で、デカンショ街道から見る空に雲はほとんど見られなかった。しかも濁りの無い青空だった。雪に関しては少しは雪の上を歩く程度だろうと考えて、スパッツだけは準備していたのだが、丹波篠山市内に入ると田畑は雪で白くなっていた。また除雪され雪が道そばに続いていた。登山口の火打岩に着くと辺りはすっかり雪景色で、登山者用駐車場には一台の車も止まっていなかった。これでは麓から登るのは相当厳しいように思えて、除雪されているのを幸いに大タワまで車を進めることにした。その峠までの道は除雪された雪で狭くなっており、車一台分の幅で続いた。しかも路面に雪の残っている所もあって慎重に車を進めた。それでも対向車に出会うことがなかったので、無理なく大タワに到着出来た。峠の駐車場には2台の車を見たが、1台はすぐに下りてしまった。もう1台に乗っていたハイカーは小金ヶ嶽に向かったので、三嶽に向かうのはパートナーと二人だけとなった。大タワから登るとなると、もう単純に西へと真っ直ぐ尾根を登るだけであり山頂と峠との標高差は280mでしかなかった。しかもコース上にはこの日に歩いたトレースを見たので、これなら無理をすれば西ヶ嶽まで歩けるのではと思いながらスタートした。登山口辺りは雪が少なくトレースを追わずとも歩けたが、すぐに雪は増えてきた。そこでトレースを忠実に辿ることにした。そのうちに尾根の傾斜が増してきて、急斜面を登るようになった。その急斜面は丸太の階段道があって無雪期は易しいコースなのだが、積雪は50センチ以上になっており、階段はすっかり雪の下だった。そのためどこに段差があるのか全く分からず、普通の斜面よりも登り難くなっていた。トレースを踏み外すと、ときに膝まで潜ることがあった。それでもトレースを辿るとあって、自分でラッセルすることに比べればずいぶん楽と言えた。そのトレースが急斜面の途中で消えてしまった。どうやら深い雪との格闘に疲れて引き返したようだった。その先にもトレースはあったが、それは前日までのスノーシューによるトレースで、コースの目印にしかならなかった。こうなるとツボ足で一歩一歩踏みしめるようにしてラッセルするしかなかった。多量の雪を想定していなかった上にラッセルとなったことで少し心が折れそうになったが、大タワコースは距離が短いとあって、我慢の登りを続けることにした。前方に岩場が見えてそこを巻くようにして越すと、漸く尾根は緩んできた。振り返ると小金ヶ嶽が目線と同じ位置に見えていた。尾根が緩くなってもラッセルすることに変わらず、スノーシューの跡を追って山頂へと向かった。前方に見えているのは山頂手前のピークで、そこに着いて漸く山頂が見えてきた。そこまで来ると北の方向に京都丹波の山並みを見るようになった。その先で少し下ると石造りの祠が現れた。もう山頂まで100mほど残すだけだったが、スノーシュートレースは祠までで、その先は真っ白な雪面を見るだけだった。本当にラッセル状態となり、好きな所を歩いて山頂へと近づいた。そして御嶽山中継局が建つ山頂に着いたときは、歩き始めてから一時間半が経っていた。三角点は60センチ以上はありそうな雪の下とあって確認するのは諦めて、山頂からの展望を楽しむことにした。その展望だが、京都方向は少し望めたのだが、兵庫丹波の山並みは木立に遮られていた。そこで山頂に立つ手頃な木に登ってみたところ、思いのほか好展望が広がって、大野山から白髪岳、妙見山までの山並みを楽しんだ。その山頂はただ雪面が広がるのみだったので、昼休憩は少し戻って祠の位置でとることにした。尾根で測ったときの気温は3℃だったのに、そこは陽射しをいっぱい受けるとあって11℃まで上がっていた。しかも風が無いとあって良い感じで休憩出来た。もう西ヶ嶽まで歩きたい気持ちは消えていたので、下山はすんなりと歩いてきた尾根を戻ることにした。その下山では何人かのハイカーとすれ違ったが、誰もがこの雪の量を想定していなかったようで、ツボ足で苦労して登っていた。雪の下山は勢いのまま下れるので、休まず下って行くと祠から44分で駐車場に戻ってきた。上空は快晴が続いており、本当にこの日は行楽日和だった。この後は時間も十分にあったので、丹波篠山の市街地に入り、レトロな町並みの散策をしたり篠山城跡から三嶽を眺めるなどして観光気分を味わった。
(2017/2記)(2019/2改訂)(2020/4改訂2) |