大井戸山は旧・加美町を取り巻く山の中にあって、篠ヶ峰の脇に控えているが、麓から見る姿はけっこう鋭さがあり、姿としては悪くないのではと思えた。この大井戸山を1996年11月に旧・加美町の丹治集落からの尾根で訪れた。旧・加美町を貫く国道427号線を北上して、大井戸山の麓となる山口集落のそばで離れる。その山口集落の中に入って行くと、道は集落の奥で林道につながっており、その林道は大井戸山の南麓を巡って緩やかな上り坂で続いていた。林道を中程まで進んで、山頂より南西に延びる尾根の取り付き点近くに駐車とした。そこより南を見ると、丹治集落が山すそに広がっていた。南西尾根の取り付き点付近には、「マツタケ山につき入山禁止」の札が付けられていたが、もう収穫期の終わりでもあり遠慮しながら山肌に取り付いた。すぐに三角点(点名・丹治)のそばを通った。尾根には道と言えるほどのものは見られなかったが、尾根の雑木は疎らで下生えも少なく、易しく登って行けた。尾根には大岩が露出している所が多く有り、場所によっては素晴らしい展望が広がっていた。その一つで暫しの休憩とした。南には妙見山が見えており、そして笠形山から千ヶ峰、深谷山へと続く尾根を間近に眺められた。特に千ヶ峰と深谷山は山麓から山頂まで全姿を見せており、なかなか雄大な眺めだった。尾根は特に傾斜のきつい所は無く、スタートから1時間半ほどで山頂に着いた。山頂は雑木に囲まれており展望は良いとは言えなかったが、北側は開けており、深谷山から北の三国岳、粟鹿山へと続く尾根が良く見えていた。また遠くは須留ヶ峰、氷ノ山までも確認出来た。また位置を変えると、両隣の竜ヶ岳、篠ヶ峰が大きく姿を見せていた。コースを通じて展望の良い山と言えそうだった。ただ松や杉といった針葉樹が多く落葉樹が少ないため、紅葉の美しさが部分的にしか見られなかったのは残念だった。下山は山稜を東へと進み、696m標高点の位置より少し手前から南へ延びる尾根があり、その尾根を下って行った。尾根は途中に伐採の跡地があり、そこにイバラが繁茂していて、けっこう煩わしい思いをさせられた。この尾根も山麓近くが「マツタケ山」の様相を示していた。尾根を最後まで辿らず、林道が近づいたと思えた辺りで尾根を離れて林道方向を目指した。そして無事に林道に下り立った。後は林道を歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2002/3記)(2008/2改訂)(2018/11写真改訂) |