須留ヶ峰へは南からは笠形山から続く尾根が繋がっているが、その尾根には900mを越えるピークが幾つかあり、兵庫ではけっこう標高のある尾根と言えそうだった。ただどのピークにも地図には山名が無かった。山名が付いていなくとも、そのピークに立ちたいと幾つかのピークに挑んでおり、1999年11月6日は三等三角点(点名・佐中)を持つ931mピークが気になって出かけた。登山コースとしては「神子畑」の地図を見て、鳥ノ奥ダムの東に描かれている破線路をアプローチにすることにした。そこで朝来町神子畑の稲荷神社そばに駐車して、いざ歩き出してみると、一帯は明延鉱業の所有地のようで、いたる所に立入禁止の標識が立っていた。そこでその道を登るのは遠慮してアプローチを変えることにした。931mピークの東に位置する、地図には標高点も書かれていない730mピークにまずは立つことにした。そこで神子畑川沿いを少し東へ進み、730mピークより南南東にほぼ真っ直ぐ延びる尾根の端に取り付くことにした。適当に登り出すと、けっこう急斜面の上に土も軟らかく、木に掴まりながら慎重に登って行くことになった。程なく植林帯の尾根筋に出たが、傾斜の急な状態は暫く続いた。途中、NHKの共同アンテナの設置場所に出たとき、そこからは南向かいの924mピーク(点名・絵本)が見上げるように見えたので、そこで一息入れた。その辺りより尾根の木々は植林から自然林に替わり、落ち着いた雰囲気となった。下生えも少なく無理なく歩けた。730mピークが近づくと、尾根の東側に伐採地が広がっていた。そこに立つと、730mピークから東へと延びる尾根が眺められるようになった。その南面は伐採されて草地になっており、尾根の部分にのみ雑木が残っている風景が眺められた。なんとも長閑な風景に見えた。そしてその右手に端正なピークが覗いていた。地図を見ると、山名は無かったが三角点記号の付く798mピークだった。その798mピークに魅せられた。そこで当初考えていた931mピークに向かうのは止めにして、798mピークを目指すことにした。北に見えている尾根の風情にも誘われた。今歩く尾根を登り詰めると、そこが730mピークだった。そこは雑木に囲まれて展望は無かった。すぐに尾根を東へと向かった。その尾根は北側も伐採されており、そこに見えていたのは須留ヶ峰の尾根だった。伸びやかなその姿を眺められるとは思っていなかったので、これはうれしいことだった。その山並みを見ながら小さなピークを越すと、今度は南面が伐採された風景が現れた。先ほど見えていたのはその辺りで、明るい陽射しの下、素晴らしい展望が広がっていた。南向かいにの924mピークが全姿を見せおり、その右肩には段ヶ峰、笠杉山が覗いていた。南東遠くには千ヶ峰も見えている。また東の尾根が眺められたが、それはこれまであまり目にしていなかった尾根で、この日の始めに目指していた931mピークを含めて、1000mに近い無名のピークが三つ並ぶ姿が眺められた。昼が近づいていたことでもあり、休憩は696mピークの手前でとることにした。そこは鹿の寝床でもあるのか、獣の臭いが所々でしていた。一帯は遠くからは草地に見えていたが、多くは枯れたササが広がる所だった。陽光の下、暫しのんびりと昼を過ごした。なおその一帯の紅葉はまだ始まったばかりで、黄葉が主体で紅い葉は少ないようだった。昼休憩を終えて798mピークを目指す。尾根は概ね植林帯になっており、尾根を伝うことに問題は無かったが、きついアップダウンが待っていた。696mピークを離れると、まずは50m下ってり100mを登り返す。そこが740mピークで、次に南東方向へ150m下って200m登り返す直すことになった。休憩後にしてはけっこうきついアルバイトだった。漸くの思いで798mピークに着くと、そこには三等三角点(点名・大宮山)があった。周囲は疎らな雑木帯で、南西側の一部が伐採されており、そこからは少し展望を得ることが出来た。南方に見えているのは段ヶ峰の山並みで、その左手に見える千ヶ峰は先ほどより近くなっていた。それを暫く眺めた後、山頂を離れることにした。下山は西南西に延びる尾根を下って行った。始めは植林帯の歩き易い尾根だったが、下るにつれて傾斜がきつくなり、尾根も不確かとなってきた。最後は間伐作業中の斜面に出て、そこを下りきると林道に下り着いた。後は林道を下って駐車地点へ戻って行くだけだった。
(2002/1記)(2010/11改訂)(2021/8改訂2) |