銀山湖を囲む山並みの最高峰がこの法道寺山で、山頂には二等三角点が設置されている。銀山湖の真北に位置しており、その少し頭をもたげたような山頂は、遠くからでも比較的分かり易い姿の山である。この法道寺山に興味を持って訪れたのは1995年も押し詰まった12月のことだった。この山に関しての情報は皆無だったため、登山ルートは地図を眺めて考えるしかなく、その結果選んだのは法道寺谷より一つ西側の谷から登ることだった。その谷の入口付近に駐車してスタートした。この日は雲一つ無い快晴だったが、朝の冷え込みは厳しかった。沢沿いの道を歩き出したものの道はすぐに不確かになってしまい、後は踏み跡程度の道を辿ったり沢の中を歩いたりして高度を上げて行った。ヤブと言えるほどの所は無く、沢も危険な所は見られなかったが、銀山湖の付近ではほとんど見られなかった雪が登るほどに増えて来た。そして旧生野町と旧朝来町を分ける町境尾根に出たときには10センチほどになっていた。ただこの程度の積雪はむしろ楽しいものだった。後は尾根を辿って山頂へと向かうのみ。尾根は道こそ見えなかったが尾根筋ははっきりしており、難儀することも無く山頂に着いた。その山頂は雑木に囲まれて展望は良いとは言えなかったので、木に登って少し展望を得た。また少し離れた位置に移ると、けっこう周囲の山並みを眺めることが出来た。西から北に向かっては生野高原に須留ヶ峰、真っ白な氷ノ山に妙見山から蘇武岳、床尾山、粟鹿山と、著名な山は全て見えていた。そしてそれら但馬の山々は、雪景色一色だった。下山は南に延びる尾根を下ることにした。この尾根はけっこう伐採されており、すこぶる眺望が良かった。銀山湖を前景にして金香瀬山が見えており、その西南には高畑山、東には三国岳から千ヶ峰の山並みも眺められ、その眺望を十分に楽しみながらの下りだった。
(2002/10記)(2007/12改訂)(2022/1写真改訂) |