黒川ダム湖の北西に佇む青倉山は、山頂のマイクロウェーブ反射板と小槍を持った姿で、周囲の山から比較的目立つ山である。この青倉山には標高550mの位置に青倉神社があってそこまで車道が通じており、また神社から山頂へと登山道が通じて比較的簡単に山頂に立てる山になっている。ただそのルートでは神社から40分ほどで山頂に立ててしまい、山の大きさに比べると少し短すぎるように思われた。そこで地図を開いて青倉山の周囲を改めて眺めてみたところ、気にかかったのが北西隣の朝来山から続く尾根だった。これならそこそこ距離があって手応えのある登山を楽しめそうに思えた。それに興味を持ったのが2007年8月末のことで、まだまだ夏の暑さが続いていた。行ってみたい気になったものの今少し楽なコースはないかと改めて見ると、二つの山の間にある伊由峠から歩き始める縮小案を思いついた。青倉山の西方にある川上集落から歩き出せば伊由峠までは車道があるのでそれを歩き、峠から尾根を歩いて青倉山へ。そして下山は一般ルートで青倉神社に下り、後は車道を歩いてスタート地点に戻ると言う案だった。これなら暑い季節でも無理なく歩けて周回コースで楽しめそうだった。この考えが浮かぶと、さっそく実行することにした。
07年は暑い夏で9月に入っても何ら8月と変わらない。その9月の最初の日曜日に向かったものである。伊由谷川沿いの道を走って川上集落に入ると、集落の外れで青倉神社への道が分かれたが、そちらには向かわず伊由峠へと進む。そして集落の切れた所にあった駐車スペースに駐車とした。着いたのは10時前だったがもう気温は30℃に近づこうとしていた。空は薄曇りで水気をたっぷり含だ空気は蒸しっとしていた。歩き始めるとたちまち汗になった。2,3台が通過するだけの静かな車道を登って行くと、20分ほどで伊由峠トンネルが見えて来た。トンネルのそばまで来ると、1999年3月完成とあり、比較的新しかった。そのトンネルの手前から峠を目指してのり面を適当に登って行った。峠はトンネル工事によるものか広く整地されており、木々は無く広々としていた。そしていきなり涼しい風を受けることになった。北には粟鹿山が間近に見えていた。そこより青倉山へと尾根歩きの開始である。尾根に沿って害獣除けネットが張られており、そのネット沿いを登って行く。涼しい風が助けとなって、暑さを感じず登って行けた。すぐに樹林帯へ入る。イバラが少しあったが、さほど気にならずに歩いて行けた。そのイバラも登るほどに無くなり、尾根自体も歩き易くなった。ときおり木立の空いた所より粟鹿山が望まれた。また山頂も見えて来た。尾根は一本道で山頂へと続いているので、ただ辿って行くだけである。涼しい風が快かった。山頂が近づくと木立は疎らになって、ごく気軽な感じになった。そして直前で急坂となったが歩き易さに変わり無く、その様子のまま山頂に着いた。山頂は以前に比べてすっきりとして明るくなっていた。どうやら三角点周りの木立が切られて、地表の部分が広くなったようだった。そして南から西へとすっきりと展望が広がっていた。その三角点そばには先着していた女性の二人連れがいたため、こちらは少し離れて木立の中で休憩とした。涼しい風がある上に陽射しが遮られているとあって、十分過ぎる快さだった。その風のせいでも無いだろうが、山頂の安らぎは以前より良くなったのではと思われた。二人連れは程なく下山したため、後はパートナーと二人っきりの世界。木陰の涼しさに誘われて暫しの昼寝を楽しんだ。その後でゆっくりと展望も楽しんだが、こちらはモヤの強い視界で、すっきりとした展望を楽しむとはいかなかった。下山は青倉神社への登山コースを下る。ガイドブックに紹介されているコースだけに歩き易く、難なく下って行けた。もう道なりに下るだけだったが、30分で青倉神社到着だった。やはりこの登山コースは短すぎるようだった。後は神社と麓をつなぐ車道をひたすら歩いて下って行く。麓との標高差は350mほどあり、この下りがけっこう厳しかった。もう山上で出会った涼しい風は無く、気温も30℃とすっかり夏の暑さだった。陽射しもまともに受けることになり、この下りがこの日は一番厳しいのではと思いながら川上集落へと長い道のりを戻って行った。
(2007/11記)(2012/7改訂)(2020/9改訂2) |