多可町と丹波市を限る尾根に竜ヶ岳は悠然と立っているが、この竜ヶ岳への一番易しいコースとなれば、多可町の清水地区側から清水峠経由で登るコースであろう。播丹尾根に近い位置まで林道が延びており、そこまで車を進めれば、一時間ほどで山頂に立ててしまう。堂々とした竜ヶ岳にはこれでは申し訳ないことだが、暑い季節の登山対象としては手頃なコースとなり、山頂の木陰で涼しい風に出会えそうである。その考えで向かったのは2011年8月の暑い盛り、お盆休暇中の15日だった。多可町の空は多少青空が見られるものの、雲の多い空だった。国道427号線を北上して行くと、清水地区に入ったとき、竜ヶ岳の標識が現れた。その標識に従って集落への道に入る。道なりに進んで集落を抜けると、自然と林道に入った。その林道を登り出すと、すぐに右手で大きな工事が進められているのが見えた。看板を見ると、清水坂トンネルの工事が進められているようだった。それを横目に林道を走ると、林道は舗装路からダート道に変わった。道はえぐれた所も現れたので、慎重に車を進めると、途中でコンクリート舗装が現れた。どうやら道のひどい所は補修されているようだった。おかげであまり気を使うことも無く、登山口の広場に着くことが出来た。この後の登山の様子は下の写真で見ていただくとして、登山はごくスムーズだった。播丹尾根に出ると涼しい風に出会え、山頂では風は更に強くなって、一段と涼しかった。但し、空はガス状の雲が広がっており、千ヶ峰を始めとして、周囲の高い山は雲に隠されており、モヤの強い視界と相まって展望を楽しむとはいかなかった。そこで山頂ではひたすら涼しさを味わおうと、昼寝を楽しむことにした。困ったのは小蠅の多いことだったが、それも雨具を着て防いだ。雨具を着てちょうどの涼しさなのも良かった。おかげで山頂では2時間ばかりも過ごしてしまった。ちょっとのんびりしすぎではと思ってしまった。下山は往路をすんなりと引き返す。山頂で長々と過ごしていた間に視界は幾分良くなっており、下山は少しばかり展望を楽しむことが出来た。西の空はまだガス雲が千ヶ峰の頂を隠していたが、東は五台山の尾根まですっきりと見えていた。その下山は50分ほどで終わり、後は丹治地区にある春蘭荘に立ち寄って温泉で汗を流し、さっぱりとして帰路についた
。 ところで山頂に着いたときのことだが、パートナーの足首から血をたっぷり吸った山ヒルが落ちてきた。登山の始めに小さな沢のそばを歩いたのだが、そのおりパートナーは沢で手を洗っており、そこで山ヒルにひっつかれたのではと思われた。竜ヶ岳には山ヒルはいないと思っていたのだが、これからは用心が必要のようだった。
(2011/9記)(2018/11写真改訂) |